荻原浩さんの『金魚姫』を読みました。
私にとって荻原さんの作品は、幸せな読後をくれるもの。それを期待して読むわけですが、本作も良い感じで幸せな気持ちにしてもらえた、温かくて切ない、長編のファンタジーなお話でした。
恋人が去り、ブラックな仕事に追われ、自殺まで考えていた潤は、ふらりと立ち寄った夏祭りの金魚すくいで琉金を手に入れた。その夜、突然赤い衣の謎の美少女現れ、潤に「どこだ」と問いかけた。美少女は琉金の化身。そして誰かを探している様子だが、記憶を失っていた。ときどき美少女に姿を変える琉金に「リュウ」という名前を付けて、奇妙な共同生活を始める潤は、その日を境に特殊能力を身に付け……。
潤は仏壇のセールスの仕事をしています。営業の仕事ってヘタするとブラックになりがちだと思うんですけど、潤の勤める会社はブラック中のブラック。サラリーマンでいることに価値があると考えているのであれば我慢できるかもしれないけど、そうでなければ「いる価値なし」くらいのブラック。こんな会社、現実にあったら嫌だわ~。
そんな仕事の状況の中、潤はリュウとの生活を徐々に楽しく感じるようになります。自殺まで考えていたのに、だんだんと生活を楽しむようになる。この変化が良いんですよね。
中盤を過ぎたあたりで、潤がすっかり立ち直ってたくましく感じられたくだりがありました。
生きろ。
寿命が尽きるまでは、しっかり生きろ。
しっかり生きるために、僕は変わらなくては。
素晴らしい!
本当にそうだと思う。この作品はファンタジーかもしれないけど、この部分だけで読んだかいがあったって思いました。
そしてラストは、荻原さんの作品らしく、哀しいけどちょこっと幸せな気持ちにさせてくれる、というものでした。大きなハッピーエンドなんて世の中にそうそう転がってなんていないから、このくらいの幸せが本当の幸せを感じられるのだと、読後はいつも思います。
良い作品だったな~。荻原さんは短編よりも長編が良いな~。この先の基準は文庫本の厚さ1.5cm以上だな。
私にとって荻原さんの作品は、幸せな読後をくれるもの。それを期待して読むわけですが、本作も良い感じで幸せな気持ちにしてもらえた、温かくて切ない、長編のファンタジーなお話でした。
恋人が去り、ブラックな仕事に追われ、自殺まで考えていた潤は、ふらりと立ち寄った夏祭りの金魚すくいで琉金を手に入れた。その夜、突然赤い衣の謎の美少女現れ、潤に「どこだ」と問いかけた。美少女は琉金の化身。そして誰かを探している様子だが、記憶を失っていた。ときどき美少女に姿を変える琉金に「リュウ」という名前を付けて、奇妙な共同生活を始める潤は、その日を境に特殊能力を身に付け……。
潤は仏壇のセールスの仕事をしています。営業の仕事ってヘタするとブラックになりがちだと思うんですけど、潤の勤める会社はブラック中のブラック。サラリーマンでいることに価値があると考えているのであれば我慢できるかもしれないけど、そうでなければ「いる価値なし」くらいのブラック。こんな会社、現実にあったら嫌だわ~。
そんな仕事の状況の中、潤はリュウとの生活を徐々に楽しく感じるようになります。自殺まで考えていたのに、だんだんと生活を楽しむようになる。この変化が良いんですよね。
中盤を過ぎたあたりで、潤がすっかり立ち直ってたくましく感じられたくだりがありました。
生きろ。
寿命が尽きるまでは、しっかり生きろ。
しっかり生きるために、僕は変わらなくては。
素晴らしい!
本当にそうだと思う。この作品はファンタジーかもしれないけど、この部分だけで読んだかいがあったって思いました。
そしてラストは、荻原さんの作品らしく、哀しいけどちょこっと幸せな気持ちにさせてくれる、というものでした。大きなハッピーエンドなんて世の中にそうそう転がってなんていないから、このくらいの幸せが本当の幸せを感じられるのだと、読後はいつも思います。
良い作品だったな~。荻原さんは短編よりも長編が良いな~。この先の基準は文庫本の厚さ1.5cm以上だな。