あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

徳の人

2011-09-04 | 本(文庫本)
宮城谷昌光さんの『華栄の丘』を読みました。ここのところ毎度書いていますが、この作品も読み終えてから2か月くらい経てるし…。
この作品で宮城谷さんの中国古代小説を何冊読んだでしょうか。「何作」ではなく「何冊」。宮城谷さんの小説は「1作につき5冊」なんてかなりフツーなことなので、ここ数年でかなり読んだような気がします。冊数で言うと、ここ数年でいちばん読んでいる作家さんかも。事実、文庫本棚には宮城谷さんのものがかなりの存在感を示しております。

さてこの『華栄の丘』は、中国の戦国春秋時代の小国・宋の宰相となった華元の物語です。
華元がどんな人物であったか、一言で表すと「徳の人」。宮城谷さんが描く華元は「出目で太鼓腹」というルックスですが、争いごとが嫌いで、まだ孔子が現れていない時代に「徳」を説き、楚に攻められたときも争いごとが嫌いな華元は長期にわたって籠城で抵抗し、戦に負けない粘り強さを見せます。それが結果、小国を守り、人々を守り、国を保つことになります。
以前読んだ(読書記録としては残していませんが…)『夏姫春秋』にも華元は出てきましたが、このときの彼はそれほどの人物とは描かれていませんでした。どちらかと言うと嫌な奴だったように記憶しています。「徳」とは縁遠いキャラクター設定だったような…。
しかしこの作品での華元はかなり魅力的でした。印象深く残る言葉もたくさんありました。たとえば、

「徳は、生まれつき、そなわっているものではない。積むものだ。足もとに落ちている塵をだまってひろえ。それでひとつ徳を積んだことになる」
「不遇であることは、人を育てます」
「礼は、ひとつだ。ちがう礼とは、非礼または無礼のことである」

礼を重んじ徳を積み、小国を守った名宰相。今の時代の誰かさんたちに聞かせてあげたい話で、見習っていただきたい話であると思いました。もういい加減、日本にも「名宰相」が出現しても良いのではないかしら?
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