荻原浩さんの『二千七百の夏と冬』を読みました。
短編小説の切れの良さは言うまでもないのだけど、実はじっくり読ませる長編もかなりイケると思っている荻原さんの作品。本作は何と、縄文時代を描いたものでして、最初は「そもそも縄文時代を描くって、何?」だった私ですが、読み始めた途端、夢中になって壮大な物語にのめり込んでしまいました。
東日本大震災があった2011年の夏。ダム建設工事が行われていた現場で、縄文人の少年と弥生人の少女の人骨が発見された。2人の骨は顔を向けあい、手を握り合うような姿だった。二千七百年ほどの大昔に、この2人はどのようにして出会い、なぜ一緒に亡くなったのか。戦場カメラマンの恋人を亡くしたばかりの新聞記者・香椰は、悠久のロマンの謎を追いかける。
そして物語のメインである紀元前7世紀。日本は縄文から弥生時代へと移っていく丁度そんなとき。ピナイという村で暮らす15歳の少年ウルクが主人公で、彼は10歳のときに父を亡くして以来、母と弟の生活を支えている、まだ幼さも残る働き者でした。
縄文人ののどかで牧歌的な暮らしの中に、集落で暮らす渡来系弥生人の異文化が入って来る時代の過渡期で、ウルクは弥生人のカヒィと出会います。2700年後のダム工事現場で見つかったのは、この2人の骨です。
どうしてウルクとカヒィが手を握り合った姿で亡くなったのか、そこに至るまでのウルクの成長物語であり冒険物語です。もう、ムチャクチャ面白かった!
いや~、何だろうな、荻原さん。凄いわ。確かに荻原さんの作品はハズレがないけど、縄文時代を書いてもハズレない。壮大な物語なのに、そこここに荻原さんらしいユーモアもちりばめられているし、縄文時代だけど荻原さんらしい「人情」も感じられて、ラストが分かってるだけに、そこへ向かう切なさが本当に切なくて。実にお見事でした。
この作品を読んだだけでも、今年の「読書の秋」は大成功で大満足です。出会えたことに感謝。
短編小説の切れの良さは言うまでもないのだけど、実はじっくり読ませる長編もかなりイケると思っている荻原さんの作品。本作は何と、縄文時代を描いたものでして、最初は「そもそも縄文時代を描くって、何?」だった私ですが、読み始めた途端、夢中になって壮大な物語にのめり込んでしまいました。
東日本大震災があった2011年の夏。ダム建設工事が行われていた現場で、縄文人の少年と弥生人の少女の人骨が発見された。2人の骨は顔を向けあい、手を握り合うような姿だった。二千七百年ほどの大昔に、この2人はどのようにして出会い、なぜ一緒に亡くなったのか。戦場カメラマンの恋人を亡くしたばかりの新聞記者・香椰は、悠久のロマンの謎を追いかける。
そして物語のメインである紀元前7世紀。日本は縄文から弥生時代へと移っていく丁度そんなとき。ピナイという村で暮らす15歳の少年ウルクが主人公で、彼は10歳のときに父を亡くして以来、母と弟の生活を支えている、まだ幼さも残る働き者でした。
縄文人ののどかで牧歌的な暮らしの中に、集落で暮らす渡来系弥生人の異文化が入って来る時代の過渡期で、ウルクは弥生人のカヒィと出会います。2700年後のダム工事現場で見つかったのは、この2人の骨です。
どうしてウルクとカヒィが手を握り合った姿で亡くなったのか、そこに至るまでのウルクの成長物語であり冒険物語です。もう、ムチャクチャ面白かった!
いや~、何だろうな、荻原さん。凄いわ。確かに荻原さんの作品はハズレがないけど、縄文時代を書いてもハズレない。壮大な物語なのに、そこここに荻原さんらしいユーモアもちりばめられているし、縄文時代だけど荻原さんらしい「人情」も感じられて、ラストが分かってるだけに、そこへ向かう切なさが本当に切なくて。実にお見事でした。
この作品を読んだだけでも、今年の「読書の秋」は大成功で大満足です。出会えたことに感謝。