三浦しをんさんの『愛なき世界』を読みました。
年明け最初の読書は本書と決めていました。待望の三浦しをんさんの文庫新作ですもの。気持ちを新たにした新年にこそ読みたかったのです。
洋食屋「円服亭」の見習いコック・藤丸陽太は、店のお得意さんであり、T大で植物学研究者をめざしている本村紗英に恋をした。しかし彼女は恋愛にも生殖にもまったく興味がなく、興味があるのは葉っぱの研究だけ。殺し屋のような見た目の教授や、サボテンおたくの後輩男子など、個性的なメンバーに囲まれて研究に没頭する日々だ。そんな紗英が遂に新発見をする。しかしそれは……。
まず本書、装丁がとにかく美しい。今まで手にした文庫本の中でもダントツの美しさだと思います。中公文庫さん、よくぞ頑張ってくれました。パチパチパチパチ。
で、読後の感想ですけど、素晴らしい! 面白くて面白くて、ほぼ一気読み。文章のテンポもよく、ユーモアも随所にちりばめられており、登場人物がそれぞれ愛らしく、愛せない人物などひとりも出てきません。
思考も感情もなく「愛」の概念をもたない植物の研究をしている人たちが愛おしくてたまらないだけでなく、円服亭の師弟コンビもたまらなく愛おしい。本書のタイトルは『愛なき世界』ですけど、愛テンコ盛りです。こんなに純粋で根本的で大きな「愛」にあふれた世界があるでしょうか。これこそが「愛ある世界」なのだと思います。
エンディングもいいんですよね。巷では「あっさりしすぎている」との声もあるようですけど、そこに余韻を感じられたので、私は納得してますよ。物語は終わっても、その先の希望とか幸福とか、あ、そうだ!「愛」を感じられましたから。
すべてが美しく、本当に幸せな読書をしました。2022年の読書の良いスタートがきれました。
年明け最初の読書は本書と決めていました。待望の三浦しをんさんの文庫新作ですもの。気持ちを新たにした新年にこそ読みたかったのです。
洋食屋「円服亭」の見習いコック・藤丸陽太は、店のお得意さんであり、T大で植物学研究者をめざしている本村紗英に恋をした。しかし彼女は恋愛にも生殖にもまったく興味がなく、興味があるのは葉っぱの研究だけ。殺し屋のような見た目の教授や、サボテンおたくの後輩男子など、個性的なメンバーに囲まれて研究に没頭する日々だ。そんな紗英が遂に新発見をする。しかしそれは……。
まず本書、装丁がとにかく美しい。今まで手にした文庫本の中でもダントツの美しさだと思います。中公文庫さん、よくぞ頑張ってくれました。パチパチパチパチ。
で、読後の感想ですけど、素晴らしい! 面白くて面白くて、ほぼ一気読み。文章のテンポもよく、ユーモアも随所にちりばめられており、登場人物がそれぞれ愛らしく、愛せない人物などひとりも出てきません。
思考も感情もなく「愛」の概念をもたない植物の研究をしている人たちが愛おしくてたまらないだけでなく、円服亭の師弟コンビもたまらなく愛おしい。本書のタイトルは『愛なき世界』ですけど、愛テンコ盛りです。こんなに純粋で根本的で大きな「愛」にあふれた世界があるでしょうか。これこそが「愛ある世界」なのだと思います。
エンディングもいいんですよね。巷では「あっさりしすぎている」との声もあるようですけど、そこに余韻を感じられたので、私は納得してますよ。物語は終わっても、その先の希望とか幸福とか、あ、そうだ!「愛」を感じられましたから。
すべてが美しく、本当に幸せな読書をしました。2022年の読書の良いスタートがきれました。