あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

あの日に帰りたい?

2011-08-25 | 本(文庫本)
荻原浩さんの『あの日にドライブ』を読みました。
ずっと読書記録を書けないでいたら、ものすごく久しぶりになってしまいました。この作品も春に読んでいたのに「今頃かい!」とセルフ突っ込み。早く書き残しておかないと、ストーリーを忘れてしまうかもと、焦り気味に記しております。
そういえば、昨年も8月末に、ギリギリまで遊んでしまったがための8月末の夏休みの宿題的に、バタバタで読書記録をUPしたような…。

大手銀行に勤めていた牧村伸郎(48歳)。元銀行員というエリート意識は強いが、現在の彼の仕事はタクシードライバー。あるきっかけで銀行を辞め、次の就職先(もちろん彼のプライドを満たしてくれる転職先)もすぐに決まるだろうと、ほんの腰掛けのつもりで始めたのだが、現実は厳しかった。ある日の勤務中、伸郎は青春時代を過ごした街を通りかかる。懐かしい街並みを目にし、もう一度人生をやり直すことができないかと想いをめぐらす。

こんな時代だから、ということでもないけれど「○年前に戻れたらなぁ~」と考えたりしないわけでもない。でもこの作品を読み始めたとき、何だかとっても嫌な感じがしました。中年オヤジの「~たら・~れば」ばかりで、「イライラする! とみ、イライラする!」(←これ、もう古い?)でした。
しかしそのうち、都合のよい「もうひとつの人生」なんてないことに、今と明日からのことをどうにかするのは自分だけなんだということに気付かされます。
あの日に戻ったって、それから先が「良いこと・善いこと・佳いこと・好いこと」だけになるはずはないのですから。それを、荻原さん流のユーモアを随所にちりばめ、厳しいながらも優しく人生を見せてくれました。

ちょっと疲れたオトナの方、とくに過去にあまりこだわらない女性よりも男性におススメしたい作品です。
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