伊坂幸太郎さんの『ホワイトラビット』を読みました。
仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。立てこもり犯である兎田は、愛する妻が誘拐されたために立てこもり事件を起こす羽目になった。遂に SITが出動し逃亡も不可能な状況になるが、事態は次から次へと思わぬ方向へ展開して……。
とにかくいろいろあります。「大盤振舞」とはこの作品のことかもしれません。それがラストまで突っ走って、最後の最後に予想外の感動的なエンディングを迎えて、ちょっと油断していると落涙するところでした。伊坂さんは泣かせようとは思って書いていないだろうから泣きはしませんでしたけど。
本作の特長として、ユゴーの『レ・ミゼラブル』の技法が取り入れられているということがあります。中学生のときに河出書房新社の世界文学全集で唯一購入したのが『レ・ミゼラブル』で、人生初の海外文学体験(童話を除く)だったように記憶しています。とても感動して「こんな人の人生があるんだなぁ」と、世界が広がったように感じたものです。
が、文体がこんなんだったってこと、覚えてないんですよ。それ、だめでしょう。ウン十年ぶりに読み直しでしょう。そうしないと本作の魅力を十分に味わったとは言えないでしょうよ。
さらに「オリオン座のベテルギウス」。これもキーワードになります。
オリオン座を構成する星のひとつであるベテルギウスの光が地球に届くまでに640年かかるため、現在見えているベテルギウスは640年前の姿。地球でベテルギウスの爆発が確認されたとしてもそれは640年前のことなんですね。それを本作でも出てくる泥棒の黒澤さんは「すでに起きてる出来事も、時間がずれないと見えないわけだ」と言います。これがキモ!
いつもクールに事件に関わる黒澤さんですけど、本作ではなぜか周りに振り回されてドタバタします。それがクスッとおかしくて面白い。よいアクセントになっていると思います。
何よりこの作品の中で心に残ったのが「はい、生まれました。はい、死にました。その間にはいろいろあるんだよ」という言葉。
ホント、そのとおりね。いろいろあるもの。いろいろありすぎて大変だけど面白かったりもするよね。
黒澤さんが出てくるシリーズの中でいちばん好きかも、な作品でした。
仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。立てこもり犯である兎田は、愛する妻が誘拐されたために立てこもり事件を起こす羽目になった。遂に SITが出動し逃亡も不可能な状況になるが、事態は次から次へと思わぬ方向へ展開して……。
とにかくいろいろあります。「大盤振舞」とはこの作品のことかもしれません。それがラストまで突っ走って、最後の最後に予想外の感動的なエンディングを迎えて、ちょっと油断していると落涙するところでした。伊坂さんは泣かせようとは思って書いていないだろうから泣きはしませんでしたけど。
本作の特長として、ユゴーの『レ・ミゼラブル』の技法が取り入れられているということがあります。中学生のときに河出書房新社の世界文学全集で唯一購入したのが『レ・ミゼラブル』で、人生初の海外文学体験(童話を除く)だったように記憶しています。とても感動して「こんな人の人生があるんだなぁ」と、世界が広がったように感じたものです。
が、文体がこんなんだったってこと、覚えてないんですよ。それ、だめでしょう。ウン十年ぶりに読み直しでしょう。そうしないと本作の魅力を十分に味わったとは言えないでしょうよ。
さらに「オリオン座のベテルギウス」。これもキーワードになります。
オリオン座を構成する星のひとつであるベテルギウスの光が地球に届くまでに640年かかるため、現在見えているベテルギウスは640年前の姿。地球でベテルギウスの爆発が確認されたとしてもそれは640年前のことなんですね。それを本作でも出てくる泥棒の黒澤さんは「すでに起きてる出来事も、時間がずれないと見えないわけだ」と言います。これがキモ!
いつもクールに事件に関わる黒澤さんですけど、本作ではなぜか周りに振り回されてドタバタします。それがクスッとおかしくて面白い。よいアクセントになっていると思います。
何よりこの作品の中で心に残ったのが「はい、生まれました。はい、死にました。その間にはいろいろあるんだよ」という言葉。
ホント、そのとおりね。いろいろあるもの。いろいろありすぎて大変だけど面白かったりもするよね。
黒澤さんが出てくるシリーズの中でいちばん好きかも、な作品でした。