YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

柳美里著「8月の果て」新潮文庫

2007年02月10日 | 
柳美里著 「8月の果て<上・下>」 新潮文庫 のページを繰り終わりました。
やっと という感じです。帯の福田和也氏、高橋源一郎氏の言葉は感動を期待させるものでした。でも、私は読むのではなくページを繰ることにさえ疲れを覚えたのです。

4代に渡る李家の話が本筋です。この4代に渡る登場人物がやたら多い。しかも姓名が日本と異なる表記のため、最初のページに家系図が示されているにもかかわらず、たびたび誰のことなのか分からなくなりました。また書いてある出来事が、現実なのか、虚擬(頭の中の出来事)なのか、時々分からなくなりました。

カタカナが多く使用されています。カタカナにはひらがなのルビが振られていて、韓国語と日本語の両方で読み進められるようになっています。これが、不慣れな私には大変読みにくく感じました。

走ることを「すっすっはっはっ」という擬音語で表しています。今時のマラソンランナーが、ジョギングの初心者みたいにこんな息づかいをするのでしょうか。とても気になりました。

男女の関係をあまりにあからさまに記していて嫌気がさしました。

ところどころにゴシック体を用いているが、どうして?

形は上記のような、私には読むに苦しい形態を取っていますが、内容は深く感じました。一市民が受けた、感じた日本統治に対する考え方。そうであったろう日本軍の横暴や日本人市民の立場など、現代にも影を落とす複雑な日韓関係を嫌みなく表現していると思いました。

エンターテインメントのひとつとして小説を楽しむ私には合わない小説でした。しかし、これはのんびりと日々を送る戦後生まれの日本人市民への警告であるのかもしれません。
参考文献のリストだけでも相当なものです。


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