初詣で私はそりゃもう不細工な猫を拾った。
目も鼻もぐちゃぐちゃ。
猫風邪が治ったとしてもまれに見る不細工猫だ。
こりゃ、もう貰い手希望者なんか無理だなと諦めの境地で仕方なく保護したのだ。
保護した子猫の中で一番の不細工猫だった。
だが、賢さも一番だった。
人語を解するとしか思えない。
やはり誰もこの子を欲しがる人はいなかったけど。
板橋から母親と高校生の息子がやってきた。
老猫を見送り今度は黒猫が欲しいと言う。
2匹いる黒猫のどちらにしようか明るい母親は浮かれていたが息子は物静かだった。
そしてまた「赤い糸」が発動したのだ。
猫が飼い主になる人間を選ぶのだ。
あの不細工猫がそろっと息子のあぐらをかいた膝の中に滑り込んだ。
息子はそっと撫でている。
母親は聞いた「その子がいいの?」
黒猫は2匹とも取り残され不細工猫(ちなみに女の子)が決まった。
「綺麗になるように姫とつけたのですけど、ものすごく似合わなくて呼べないんですよ。
でも賢くて一度言われたらやらないし息子が制服を着かえるまで抱っこは出来ないよと言ったらちゃんと足元で待つんです」
黒猫を諦めたけどこの子が来てくれて本当によかった。
写真を見せても誰も可愛いと言ってくれないし姫とも呼べないけど私と息子の自慢の猫がなんです。
すごく嬉しい言葉だった。
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