長旅のまえに

好きなだけ、存分に、思ったまま、怒涛のように書こう

2023/11/25

2023-11-25 14:39:06 | 日記
夫が退職金を持って愛人と駆け落ちしてしまった妻がいた。
夫はその金で家を買い愛人は化粧品の営業所を開いた。

50代ではあったが小柄でふくよかな体にミニスカート。
髪はロングで赤茶に染めて真っ赤な口紅と濃いアイシャドー。
明るく無邪気に甘え男に媚びるが優しい気質だった。

当然だが妻は許せない。
そして法的処置の前に占い師の所に駆け込んだ。

「今、離婚してはいけない。
待ちなさい。夫は戻ってくる。戻ってきたら責めてはいけない。離婚も責め立てることもあなたの孤独が深まるばかりだ。
幸せになりたいのならとにかく待つのです」

わけのわからない占いだったが妻は従った。
半年後、愛人が車になねられ即死。
愛人の遺体はその配偶者と息子に引き取られていった。
息子だけが頭を下げて言った。

「母はやりたい放題の人でしたが僕には優しい母でした。幸せな人だったと思います。ありがとうございました」

残りの人生は愛人と過ごすつもりだった夫はすっかり無気力になり妻の元に帰ってきた。

なにがいいとか悪いとかではなく日常がそれぞれに再開した。

占い師の言ったとおり妻は夫を責めなかった。
夫婦の心の奥底は周りの人間にはなにも見えない。

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