【申告内容】
”う” と ”こ” のキー入力ができません。
【初診】
2004年の発売のおもちゃなので年数が経過しており、ラバー接点の劣化が疑われます。
他のキーの入力も確認すると、複数のキーが反応していません。
さっそく分解して様子を見ていきます。
まずは、ラバー接点の劣化が見られるので予防保全ですべてのラバー接点にアルミ箔を貼付して、再確認しました。また、フィルムの櫛歯接点部の汚れも無水エタノールで汚れを拭います。
ごしごしやって印刷パターンを削り取らないように注意しながら行います
しかし、症状はかわらず、パターンを確認しました。
キーマトリックスを観察すると、制御基板につながる接点の間近の部分に打痕があり、どうもここで断線が起きているようでキー入力ができないキーと一致しました。
治療方法ですが、導電印刷されている箇所が表面に露出していれば治療も楽ちんなのですが、断線箇所も2枚有るフィルムを貼り合わせてある内側にあるのでそうも行きません。
断線箇所の両端をバイパス線でつなぐ必要があり、印刷配線が露出している箇所を探すと、制御基板との接続接点と”←”キーの櫛歯接点部が近いようです。
フィルムなので半田付けができませんから導電塗料を使用してポリウレタン銅線と導電印刷パターンをつなぎます。
導電塗料は、接着剤ではないので強度は弱いです。そのため導電塗料が完全に乾いたあとに,ウルトラ多用途S・U プレミアムソフト クリヤーで接着しました。
導電塗料は、プラスコート株式会社の導電塗料タッチアップ PTP-G1501です。同じような製品で”Wire Glue”と言う商品もあるのですが、高額の割に使用しないうちに硬化してしまうのでもっぱら今回のものを利用しています。
キーの入力が復活しました。
【治療後記】
不具合の対処療法はできましたが、なぜ打痕があったのかは不明です。生産時のものか、ユーザーが何かの目的で開いてそのときに起きたのかはわかりません。
これで、今しばらく印刷配線がさらに劣化して断線するまでは一緒に遊べそうです。
今回は、ポリウレタン銅線でバイパスしましたが、導電塗料をフィルム上に塗布し針で穴を開けスルーホールとして短絡させることもできると思います。印刷パターン条件によると思います。
全国のドクターで”Wire Glue”の希釈液をご存じの方がおられましたら、一報をいただけると嬉しいです。