【申告内容】
14,15年前に購入してしばらく遊ばないでいて、久しぶりに遊ぼうとしたら動きません。
【初診】
エルモのおもちゃは、他のおもちゃ病院で数件治療記録がありますが初めての患者さんです。どのようなおもちゃなのかを調べるところからです。
いつも治療に役立たせて頂いている”おもちゃ病院奈良”のトミーマックさんの資料から引用させて頂くと、
”1996年に発売されて大人気になった「くすぐりエルモ」を10年後の2006年に復刻したのが「くすぐりエルモ X(エキストラ)」です。更にそのバージョンアップ2008年版の「くすぐりエルモ EX(エクストラスペシャルエディション)」の3種類が国内で販売されています。”
とのことで、くすぐりエルモ EX(エクストラスペシャルエディション)ということがわかりました。国籍はアメリカです。
早速動かないとの事なので、電池ケースの端子の確認からです。1箇所怪しそうな負極があり磨くと目覚めました。これで治療は終了かと、ちょっとだけ寂しさを感じながらどんな動きをするのかと動かしてみました。これは、おもしろい。一時期人気のあった笑い袋に動作を加えた人形と言ったところでしょうか。立位から自分で腰を下ろし笑い転げて一連の動作が終了すると、立位に戻るです。
立位から臥位になったり身体のバランスをうまく使いとても良くできていると思います。一通り楽しませてもらって退院かと思ったら、うつぶせ姿勢から動かなくなることがあります。腰を曲げるために右腕が上に伸びている必要があるらしいのですがなぜか下を向いており、これでは機構的に腰を曲げられない状態です。まずは、内部を確認していきます。
動作をするための要素は、たとえば ”ロビジュニア” のように瞬間瞬間静的に動くようなしくみではなく、ロータリースイッチや姿勢センサーからのフィードバック信号を利用して、カムとからだのバランスを利用して動的に動かす構造です。プログラムの難易度は高いと思われます。
腕の回転角度を検出する仕組みは、腕の回転軸についているカムに接触ローラーがついており、これがロータリースイッチのパターン上を移動することで可能にしています。
腕のモータギヤボックス内の減速ギヤ、モータピニオンギヤには割れなどの異常は確認できませんでした。
エルモは、腕が上方に上がっていないと腰が曲がらないようにカムを利用して機械的に止める構造になっています。
足の駆動も腕と同じようにロータリースイッチで腰の曲がり具合をフィードバックしています。モーターのピニオンギヤにも割れなどの異常は確認できませんでした。
時々動きを止める現象のプログラミングロジックがわからないため、原因追求が困難です。推測としてはロータリースイッチ信号が正常に戻らないためか?とは推測しますが、視覚では異常を確認できません。残念ながら原発巣を確認できず経過観測とさせてもらいました。
【治療後記】
楽しませてもらいましたが、時々起きる動作停止の原発巣の治療までには至りませんでした。今後、確実に病状が現れるようになりましたら、リベンジです。楽しい設計のおもちゃでした。