【申告】
・パンをかまどに入れてもおしゃべりをしません。
・ふいごを押しても、光りません。
【初診】
パンをお持ちになりましたか?とお尋ねしましたが、指で押せばできますとのことで入院です。
まずは、メーカの情報です。
遊び方を動画で確認しながら本来の姿を確認していきます。かまどにパンを入れるとおしゃべりが始まり、ふいごを吹くとパンが膨らみかまどを開けるとパンが焼けて出てくるようです。
内部を開けていきます。
まずは、パンをかまどに入れても反応しないことから検査です。
炉床の内部を見ると圧電センサーがありました。リーフスイッチかと予想をしていましたがパンをかまどに入れた時の振動を検知するためでしょう。
配線外れもセンサー自体も視覚での異常はありませんでした。と、言うことは制御基板側に病巣があるのでしょうか?
制御基板を眺めます。
制御基板の裏面には、2つのスイッチがあります。かまど扉の開閉検知とふいごを押したかを検知するスイッチです。まず、このスイッチから動作検査をしました。
かまど扉スイッチが動作をしていませんので、接点が破損しているかと内部を確認しました。
接点は破損していませんでしたが、接点に異物が付着していました。異物を除去するとスイッチは動作を始めました。この異物は大きさからもスイッチの外部から侵入したと思えず、このスイッチの製造段階から内部にあったものと思えます。推測ですが、スイッチレバーの樹脂バリが有ってこれが外れたのかもわかりません。
接点を掃除して接点復活剤を塗布して、組み戻しました。
スイッチの治療を終えてかまどの動作を確認すると、ゆびで炉床を押してやるとおしゃべりをします。どうやら治ったようです。
かまど開閉検知スイッチが解放状態であったため、かまどが開けられている状態と判断され、パンをかまどに入れてもパン焼きがはじまらなかったようです。よく考えられています。
【治療後記】
思わぬ治療終了となりました。プログラムのロジックがわからない分絞り込みも難しくなりますが、元気になってよかったです。
たのしいごっこ遊びができるおもちゃでした。
おもちゃで遊ぶ場合、単純にスイッチを押すなどの場合の他に、動作に関連する部品があり単純な動作だけではないことも有ります。実際の部品での動作確認ができないと本当に治療ができたのかが確認できません。おもちゃ治療には、動作に関連する部品もお持ちください。
【おまけ】
・炉床の分解の手順がねじを外せばよいという構造ではありませんでしたので、手順を載せます。
かまどの上部のねじを外してから、スライドさせて外します。かまど扉部についても同様にスライドさせます。
・パンを焼くときにふいごを吹くとパンが膨らみます。一定以上には膨れて破裂しないように、かまどの扉を開けるとパンの膨らみもなくなるように空気圧を抜く弁を開く仕組みです。
パンが膨らむと検出板を押し、弁が開きパンは破裂しません。
かまどの扉を開くと、キートップが押され弁が開きます。