【申告内容】
マウスカーソルが動きません。
【初診】
ご自宅では、DCアダプターを使用して遊んでいるとのこと。電池ではなぜか電源が入りませんでした。
申告内容の他にも問題を抱えているようです。
まずは、電池で電源が入る状態にしなければなりません。早速診察です。
3端子DCジャックを挿入しない場合はバッテリーのマイナスが接続され、ジャックが挿入されると機械的にバッテリーのマイナスの接続が切り離される構造になっています。
ところが、ジャックを挿入されていなくてもバッテリーのマイナスが切り離されたままの状態です。おそらく、常にジャックを挿した状態で使用しているので、機械的にバネの力が弱くなり切り離された状態のままになっているものと思われます。今回は、端子を短絡してバッテリーでも動くようにして治療を進めます。
マウス動作の診察です。
・赤外線LEDが点灯しているか、デジタルカメラで確認しましたが、点灯していません。
・LED順電圧方向の電圧降下を計ると0.6V弱有ったので赤外線LEDは壊れてはないようです。
・マウス内部を確認しましたが、目で確認できるような断線など有りませんでした。
・残るは、マウスケーブルの断線、マウスケーブル接続部の剥がれ、制御基板の故障でしょうか。
マウスケーブルは、表示パネル側で接続されているので表示パネルの開頭です。
フィルムの下に11箇所、蝶番に2箇所隠しネジがあります。Aのねじは、他のねじより長いので注意が必要です。
フィルムは、ドライヤーで熱を加えながらヘラで剥がし始めます。剥がれ始めてもつよく引っ張ると折れ跡が残るので、無理に引っ張らないで下さい。
隠しネジを外すと制御基板とマウスのケーブルが見えます。
制御基板のマウスケーブル接続部とマウス内のコネクター部で導通を確認したところ、見事に5芯の線のすべてが断線していました。細い線なのでマウス操作で切れるのでしょう。
手持ちに5芯のケーブルの持ち合わせがないので、4ペアのLANケーブルで接続しました。これで、マウスカーソルの動きが復活しました。
8芯あるケーブルなので太く固くなりましたが、許してもらいましょう。
【治療後記】
2017年にバンダイが発売しているパソコンです。ディズニーブランドで販売するためかもの作りの品質は良いものです。マウスケーブルの接続先にたどり着くために、パネル部のフィルムを剥がす必要があり、インクの剥がれを懸念しましたが年数も浅かったため、インクの柔軟性も残っており無事剥がし隠しネジをはずすことができました。
治療内容は、ケーブルを交換するという容易な内容でしたが、そこまでにたどり着くことが困難なおもちゃではあります。ケーブルの持ち合わせがないため、太く固めになっていましましたが病院でもケーブルの準備をすることにしましょう。