【申告】
車体と充電池を繋ぐコネクタを手で押さえてないと動きません。
【診察】
2.4GHzで動作する車体の天地がないスタントカーです。
(amazon商品ページより)
車体から出ているコネクタと充電池を繋ぐSM型のコネクタです。接続してもペアリングができません。
申告を元にコネクタの接触を確認します。車体側のコネクタはピンなのでソケットの充電池側を確認します。
ハウジングから接触子を取り出し、芯線の圧着品質、接触子の汚れ、変形など接触不良につながる問題がないか確認します。確認する限り芯線の圧着もきれいですし、接触子の汚れ、変形などもありません。
このコネクタに多数回の抜き差しの信頼性を求めてはいけないのですが、おもちゃということでバッテリーの接続に使用されています。
今回できる事と言えば、コンタクト部を起こし少しでもピンとの接触を強くし、接点復活剤を塗布することくらいです。ただ、これも一時的な対処に過ぎずすでにコンタクト部の弾性が失われていると、ソケットコンタクトを交換する他はありません。
2個の充電池のコンタクト部の調整をしました。
コネクタの接触改善をして、もう一度車体コネクタと接続し、ペアリングを実施しました。ところが、ペアリングができません。ペアリング時の車体側の情報がなかったので、車体内部を開いていきました。
電源スイッチは、正常に開閉ができていました。
制御基板のはんだ付けを観察すると、とても品質が悪く複数個所でコネクタピンとのはんだが濡れていなくピンとの隙間が有ります。特に電源コネクタのピンにはんだが濡れていないことがわかりました。かろうじて接触されていたのが、何かのきっかけで離れてしまったのでしょう。
DIP型の部品のはんだを再度はんだこてを当てて、はんだを溶かし込みました。
この後、無事にペアリングもできラジコンカーは、走り出しました。直接遊んでいるこどもさんから状態を聞き出せませんでしたので、今回の申告内容の原因がはんだ付け不良だったのか、コネクタの接触不良もあったのかは断言できませんが、今後様子を見ていただいて再び動作をしないような症状が出た場合はコネクタの接触子の交換も検討しなければならないと思います。
【治療後記】
このラジコンのamazonの商品評価は、さくら評価が加わりとても良い評価になっていました。しかし、悪い評価のコメントを見ると数日で動かなくなったとか、メーカに問い合わせてもなしのつぶてだとの内容が多いです。中には今回のようにはんだ品質が悪く動かなくなっているものもあるかもわかりません。
いずれにしても、経過観察とします。
【おまけ】
治療を進める中で気にかかったことが有ります。
充電池を充電する時に充電ケーブルに接続するのですが、充電中のLEDが点灯しないことが有りました。充電池のソケットコンタクトを調整するとLEDが点灯するようになったので、この事実からするとコネクタに接触不良もあったと思われます。
車体から出ているコネクタと充電池を繋いで、コネクタを指で押さえていると動いたとの申告について考えます。コネクタの接触不良もあったかもわかりませんが、おそらく電源コネクタのはんだ不良が主原因だったと思われます。おそらく、この時のコネクタの持ち方で電源配線が動き制御基板の電源コネクタピンがはんだに接触したと思われます。
はんだ付けの不具合でコネクタピンに濡れない状態でかろうじて接触した状態で組み立てられ、その後非接触になった要因として考えられることは車体内部の電源配線が固定されていないことです。
・充電池の交換時に車体側電源ケーブルを引き出し充電池のコネクタを接続します。
・コネクタを接続し、充電池形状と合わないと思われる電池ボックスに押し込みます。
・車体は、アクロバットな動きをして充電池は電池ボックス内で振動します。
これらの動作で電源ケーブルは振られて、この動きが制御基板の電源コネクタピンに伝わり、かろうじて接触していたはんだと離れたと推測します。
対策として電源ケーブルをグルー接着剤で車体に固定しました。これにより電源コネクタピンには今までのようには力が加わらなくなります。