【申告】
購入して10年ほど経過していて、亡き母が大切にしていたミルルです。
症状は、ある日突然 普通に話をしてるのですがそのバックでガタガタと音が鳴ります。まぶたきは、します。
近くのおもちゃ病院で内部を診てくれましたが、治療できないと言われました。
平成30年9月に東京のおもちゃ病院での治療履歴が有ります。この時も、まぶたが動かなくなりました。
【診察】
関西地方からの来院です。
触診から始めていくつかの症状を抱えていることがわかりました。
・まぶたは閉じたままでしたが、モータは回転している音はしています。何か、干渉している音がします。まぶたを動かす機構部に問題を抱えていそうです。ガタガタ音のことでしょう。
・左右のおててセンサーのクリック感が悪く、左のセンサーはチャタリングを起こすことがあります。
・なでなでセンサーの感度が下がっています。
・姿勢センサーが機能していません。
・アジャスタ、リセットスイッチのキートップが窪んでいます。
・両目尻の皮膚にたるみが有り、後頭部の髪の間から中綿が散見しています。
持ち主様との問診で、ミルルドックを実施することにしました。
おもちゃドクターが理由は不明ですが削ったのでしょうか?スイッチは機能していて持ち主様も気にされていないようなので治療はしませんでした。
両目尻のしわの原因は、本来は結束バンドで締め付けるところをタコ糸状の糸で締めています。そのため力が足らなかったものと思います。
中綿が見える状態であったり、人形の顔にしわがのこるような状態でお返しするのはおもちゃドクターとしての姿勢に、大きな疑問が残ります。それは、治療ができるできないの前のドクターとして元の状態でお返しするという心構えが不足しているのではないでしょうか?
なでなでセンサーを確認すると、つぶれたセンサーを修正した痕跡が有りました。おやすみセンサーも感度が低下していると思われますので、交換しました。おやすみセンサーにはいつものように、カバーを付けました。
まぶたの機構部です。
持病である歯車が崩れてしまい、隣り合う歯車とかみ合わせができなくなっていました。これが ”ガタガタ” 音の原因でまばたきをしなくなった原因です。
いつものように2つの歯車を組み合わせ乗せ換えました。また、これも持病のトルク歯車の割れもありましたので3Dプリンタで作成した歯車に交換しました。
次に東京のおもちゃ病院でスイッチ内部の接点を手作りして治療してあるスイッチも、今後の発病リスク軽減のために交換しました。
まぶたを動かすモータの電流値も測定しましたが、異常はありませんでした。
姿勢センサーの接点の接触不良が有りましたので、分解して清掃して接点復活剤で接触を改善しました。
おててセンサーも配線も含めて交換しました。
制御基板に直接はんだ付けされている配線が経年で外皮が固くなり、接触不良や断線につながります。そこで外皮の柔らかいシリコーン配線に交換しました。
電池ボックスにあるヒューズを確認しました。異常ありませんでした。
音量切り替えスイッチには、接点復活剤を塗布して接点の酸化被膜を削減しました。
【治療後記】
ミルルドックをして、主なチェックポイントは必要に応じて治療をして元気に退院です。
今回お近くにあるおもちゃ病院の対応を見聞きし、おそらく経験が浅いドクターだったのではないかと思いますが、わが身も律しなければならないと考えさせられました。