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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

ミニ茶運び人形が来院しました。

【申告】

 2024年4月に購入して組み立てをしたのですが、途中で動作が止まってしまいます。

【診察】

 2021年に大人の科学マガジン 名作付録復刻シリーズ第4弾のミニ茶運び人形です。

 身長13Cmの手乗りサイズ本体に、江戸時代に作られた茶運び人形とほぼ同じ機構を搭載されています。進む、おじぎをする、止まる、旋回するという一連の動きをします。初期のものと比べて異なる点は、足が動かない、サイズが小さい、着物が紙、機構の実現方法が簡略化されているなどです。

 

 

 まず、外観で気が付いたことは、次の2点でした。

 前輪陀のバネを留めるねじが締められていませんでした。

 次にゼンマイのさびがひどい状態でした。

 ねじは締め付け、ゼンマイはさび取りをして防錆油を塗布しました。ゼンマイの解放の力はあまり強さを感じませんでした。

 ただ、これらのことは動作が止まる原因とは思えません。

 組み立て説明図を見ると、底板と本体の固定具合が悪いと動力がうまく伝わらないと書かれています。この固定具合に関係する歯車は大歯車と動輪を回す歯車、速度を一定に保つ働きをするガンギ車歯車と動輪歯車です。おそらく固定具合で止まるとすれば、このガンギ車歯車と動輪歯車とのかみ合わせが悪かったと思われます。そのため、ガンギ車とアンクルのリズムが崩れて止まったと考えます。

 

 

 来院した状態も決して明らかに固定具合が悪く感じられませんでしたが、かみ合わせ具合がわずかにずれていたのかもわかりません。組み立て直すと止まらず動くことが確認できました。

 

【治療後記】

 江戸時代に作った際には今と違い、樹脂の歯車も、ゼンマイもなく木材、糸、クジラのひげで作られていたそうです。

 大歯車の回転を動力としてカムとリンク、速度を一定に保つ調速機(テンプ)と脱進機(ガンギ車とアンクルで構成)で構成されています。何よりも速度を一定に保つ働きが盛り込まれていることがすごいことです。私が小さいころ遊んだゼンマイ仕掛けのおもちゃは、最初は早く動き次第に遅くなっていったものです。そして、これが今の時計にもつながっています。

関心のある方は、次のHPも参考にしてください。

調速機と脱進機

茶運機の機構

 

 
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