写真1 おしゃべりまーくん
まーくんの特徴
特定のことばに音声認識ICによって会話ができます。
5歳の男の子の声が入っているのでかわいさも満点で癒しの人形です。
約700もの言葉を話し、「おはよう」「こんにちは」など気分次第で色々な言葉を返してくれます。
季節にあった歌を歌ってくれて毎月歌が変わります。
頭をなでたり、だっこしたり、寝かせたりするとことばを返してくれます。
時計も内蔵しており、時刻や日付を答えてくれます。
申告内容
1,右手と左手のひらにスイッチがあるけれど、左手のスイッチを押しても動かない。
2,初期設定で希望の設定を選ぶ前に、次々と設定したい値と異なる値に進んでしまう。
初診
左手は、スイッチの配線切れと想定しました。
右手は、申告通りの動作でスイッチの接触不具合か、配線が切れかかっているものと想定しました。
入院して検査です。
写真2 左手スイッチ断線
①左手のスイッチは、配線とスイッチのカバーとの角で断線していました。
接続してホットメルトで固定しました。
②右手のスイッチは、配線が切れかかっており、クリック感に異常を感じました。
写真3 右手スイッチ断線切れ間近
何度かスイッチを押していると、クリック感がなくなったのでスイッチの破損です。
内部を切開してみると、ドーム状であるべき部品がすり鉢状に変形していました。
スイッチを押した時のまーくんの反応が悪く、強く押しすぎたのかもわかりません。
このため、押さなくてもスイッチが押された状態になり、押しもしないのに押された処理が進められていました。
写真4 スイッチ構成部品
写真4の黄色矢印の部品がくぼんでいることがわかると思います。本来は、押されている間はくぼみ、離されると元に戻る動作になり、これがクリック感になります。
スイッチを交換しました。
他に異常はないか?
これで申告症状は治療できたのですが、入院されたので他にも治療すべき箇所がないか全身検査をしました。
全身にあるスイッチ、センサーは下記の写真のようにあります。
写真5-1 センサー位置 写真5-2 ねんねセンサー?
センサーA:左手上げセンサー ・・・・・ 左を上げたことを検出します。
スイッチB:左手設定スイッチ
スイッチC:右手あくしゅスイッチ
センサーD:左足だっこセンサー ・・・・・ だっこをすると喜びます。
センサーE:ねんねセンサー ・・・・・ 上向きに寝かせると眠ってしまいます。
トントンセンサー ・・・・・ 胸のあたりをトントンすると眠ってしまします
センサーF:なでなでセンサー ・・・・・ 頭をなでると喜びます。
③左足のだっこセンサーをまず確認しました。
写真6-1 左足センサー 写真6-2 センサーと切れた配線
写真6-3 センサー拡大 図1 センサー構造
図1のように導体の球が導体の筒の中にあり、球が極Aに接触すると極A,極Bが短絡状態になります。
センサーの配線は切れていましたので、配線を延長してセンサーに接続しました。
写真6-4 センサー接続 写真6-5 ホットメルトで固定
④次にねんねセンサーとトントンセンサーの在処と検査をしました。
写真7-1 センサーE設置部 写真7-2 センサーE
センサーEは、左足にあった傾斜センサーと同じものです。
センサーの働きを確認すると、内部の球の動きが悪かったのですが開けることはできないので、振って球の動きをスムーズになるようにしました。不完全ではありますが、今はここまでです。
トントンセンサーが別にあるか、制御基板を確認しました。
写真8 制御基板
基板上にはセンサーらしきものは、実装されていないので触診で胸からお腹までセンサーがあるか診察をしましたが、ありませんでした。センサーEでねんねセンサー、トントンセンサーとして働かせていると思われます。
⑤左腕にあるセンサーAは、直接確認はしませんでしたが左腕を上げると動作するので同じ傾斜センサーが入っているものと思われます。動作に異常はなかったので直接センサーを確認はしませんでした。
⑥なでなでセンサーは、なでられることを雑音としてマイクでとらえているものと思われます。動作に異常はなかったので直接センサーを確認はしませんでした。
最後に、ひとみの色が剥がれていたので色を入れました。
写真9-1 治療前 写真9-2 治療後
これで、元気に退院です。