【申告内容】
尾っぽを回してゼンマイを巻いて放すと、身体が回転するのですが動かなくなりました。
【初診】
尾っぽを回してもゼンマイを巻けていなく、ゼンマイの巻き初め部の切れが想定されました。開腹して検査です。
内部を観察すると、尾っぽにつながったギヤボックスがあるだけです。さらにギヤボックスを開けていきます。
写真の通り巻き芯近くでゼンマイが破断しており、巻き初めのゼンマイが逆回転方向に変形しています。これは、ゼンマイを戻す方向に巻かれてゼンマイが変形したものと思われます。破断の原因がこのためかどうかは断定できませんが、要因の一つです。
ゼンマイを取り出し変形を元に戻し、巻き芯に巻き付け直しました。
【治療後記】
今回のようなゼンマイ切れの治療内容的には、まき直せば終わりというものですが、これがなかなか手が掛かります。その理由は次の2点です。
・ゼンマイを開放すると広がってしまい、これを元の場所に巻いて納めるには指を切らないようにゼンマイと力勝負です。
・今回のものは、巻き芯にゼンマイの端を固定するのは挟み込む様な構造でしたので容易でしたが、ゼンマイの端に切り込みが有り巻き芯から抜けないような形になっているものがあります。この場合は、ゼンマイの焼き入れされたはがねを削らなければならず加工が一手間になります。
元気に退院です。