【申告】
長い間眠っていて電池を入れましたが、動きません。
【診察】
このロボットは、2001年にツクダオリジナルより発売されたものです。
5つの機能が有ります。
歩きます。
うたをうたいます。
こころ機能があり、ご機嫌になったり不機嫌になったりします。
おしゃべりをします。
ゲームができます。
診察をします。
電池電極に腐食が有ります。
左腕がぶらぶらです。骨折をしていそうです。
内部を開けると電源配線が切れています。
まずは、マイコンが生きているかの確認です。ユニバーサル電源で4.5Vを加え頭の左右にあるボタンを押してみると、何か電子音がしました。PINO語なのか異常音なのかはわかりませんが。
希望をもって診察を進めました。
まずは、電極のさび落としです。
次に、ぶらぶらの左腕の診察です。
左腕のリンクの軸が折れていました。
折れている軸もひび割れがあり弱い状態でしたが、チューブが軸にかぶさりそれがリンクに挿入されている構造でした。止めねじの先端部で折れています。
そこで、止めねじを長くして腕の根本で締め付けて固定することができました。
ここまで来て、電池を接続して動作状態を確認を進めましたが、頭の左右にあるボタンを押してもPINO語?を話したり、だんまりだったり不安定です。
駆動系を取り出し、さらに検査を進めました。
回路図を眺めると、RESET信号は負論理、頭の左右のボタンは正論理でした。
RESETスイッチの動作が不安定でしたので交換しました。
振動センサーも動作をしていませんでした。
電池は3本あり4.5Vですがマイコンは、何Vで動いているのか外部にレギュレータはないので不明ですが3.3Vでしょうか?
RESET信号の非動作時の電圧レベルを観測すると1.6Vです。何とも微妙な値です。RESET信号は、R1の51KΩで釣られていますが高い値に思えます。試しにこれを4.7KΩで釣ると3.3Vまで引き上げることができましたが、残念ながら動作に変化はありませんでした。
また、頭の左右のボタンを押すとなぜかRESET信号レベルが電源電圧まで上がります。COB内部でおかしなことが起きているようです。
次の手掛かりは、R4の120KΩです。これを100KΩ、130KΩに振って診ましたが動作に変化はありませんでした。
最後に基板をじっくり眺めましたが、基板パターンのクラックや半田ルーズもありませんでした。
【治療後記】
残念ながら、この患者さんを元気にするだけの力が足りませんでした。