【申告】
ほとんど音が出ません。電池をセットした時にたまに音が出ます。
【初診】
BANDAIから発売されているソフトビニール製の仮面ライダーギーツです。
申告通り背中の腰部のボタンを押しても音はなりません。
電源スイッチは左腹にあり、音を鳴らすスイッチは背中ベルトにあります。
電池ボックスは、背中にボタン電池2個をセットするようになっています。ただし、左側の電池は抜くのには専用の道具がいるくらい固く入っています。
内部を開けて行きます。内部は制御基板に専用のICとコンデンサが1個あるシンプルな構造です。これに電源スイッチ、音を鳴らすスイッチと頭内部にスピーカがあるだけの構造です。
音の鳴りが不安定な主な原因として一般的に考えられるのが
・配線の切れかけ
・音を鳴らすスイッチの汚れや導電性の低下
・スピーカの故障
・電源系の不具合
・その他
です。今回配線の切れや、スイッチ接点の汚れや劣化、スピーカの不具合でもなさそうです。
そこでボタン電池の電極の確認を行いました。最初電池ボックスのふたを開けた際に、右側の電池は浮いてきましたが左側の電池は外すことが大変でした。
右側のボタン電池の正極端子を確認すると、奥側に引っ込んでおり電池との接触がされていませんでした。そのため申告にあったように電池を交換した時に、音が鳴ることがあったと思います。
では何故正極端子が奥側に引っ込んでしまったかを観察すると、正極端子を支える樹脂が軟らかく厚みが薄いために電極のバネの力に負け変形していることがわかります。素材が軟らかいので止むを得ない部分もありますが、構造的な設計に一工夫が欲しかった所です。
今回は、正極端子の形状を修正して様子を診たいと思います。
最後に左側電池が抜去できない件は、何とかしないと電池交換が大変です。
そこでデンタルフロスを仕込んで電池を抜く際は、デンタルフロスを引いてもらう構想で持主様の了解を得て加工しました。これで、交換作業が容易になったと思います。ただし、デンタルフロスが電極と電池に挟まって絶縁状態にならないように注意は必要です。
【治療後記】
ソフトビニール素材のために起きた病気かもわかりません。それをカバーする構造設計がされることを望むのですが、おもちゃだからで済まされるのでしょうね。