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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

白い犬に第二の犬生(?)を送ってもらいましょう。

私どものおもちゃ病院へ、”十分に遊んだので再利用してください。”と譲っていただきました。

2013年のイワヤさんのわんちゃんです。

まだ、治療すれば十分にあたらしいお友達と遊べそうなので治療を始めました。

 

【病状】

外観、触診からです。

・電池ボックスの端子に液漏れによる腐食などなく、電池を入れると足を動かしてくれます。

・鳴きません。

・頭がグラグラしており安定していません。

・左前足がやや右足に比べると内側に曲がっているように感じます。

【内部検査】

 電池ボックスの回りから毛皮を剥がしてゆきます。

 毛皮を剥がすと、鳴かない理由がわかりました。鳴き笛がふいごから脱落しています。

 脱落していた鳴き笛をふいごに接着して、手で動かすと鳴きます。ところがふいごを頭部に戻し動かすと鳴き声がしません。違いを考えるとふいごを動かす速さなのですが、特に仕組みが破損しているようには思えません。鳴き笛を指でふさいで、ふいごを動かすと空気が抜けてしまいます。更に注意深く眺めるとふいごの紙に小さな穴が複数有ります。ふいごの紙を替えることにしました。

 紙を剥がすとばねの固定の片側が、外れていましたので接着しました。

 次にふいごの紙を貼り付けです。紙は、グラシン紙を使用しました。

 頭部に戻し鳴き声を確認できました。ふいごの紙にあった複数の穴から空気が抜けていたのが、鳴かない原因だったようです。

 

 次は、頭がグラグラしていた原因ですが、頭を支える頸椎の骨折でした。

 画像の”頸椎骨折6”が本来の状態ですが、見事に折れています。

 接着しづらい材質であり、頭部の重さを支えることもできないので接着では治療できません。

 そこでΦ0.35mmのステンレス線で縛ることにしました。Φ0.4mmの穴を開け2本で締めて、緩まないようにエポキシ接着剤で固めました。

 最後に左前足を確認しました。

 骨折までにはなっていませんが、ひびが入って変形しています。足の付け根に近いところでしたが、厚さ0.2mmの鉄板で足を包み小ねじで供止めしました。

 歩行を確認して、問題ありませんでした。

 毛皮を戻します。身体をきれいにして第二の犬生(?)に出発準備です。

 【治療後記】

 おなじみのイワヤさんの動物シリーズです。このわんちゃんは、病状から推測するとわんちゃんの頭部に座ったかな?。マイコンを使用しないでモーター、ギヤ、カム、リンクで動き鳴き声も出します。早歩き→3回鳴く→ゆっくり歩く→1回鳴く の繰り返しです。眺めていて動く仕組みがわかるおもちゃは楽しいものです。

 【おまけ】

 動作のしかけです。

 動きは、4つの状態遷移をします。モーターが回転してギヤの噛み合う組み合わせを順次変えているのですが、順序制御をどのように実現するかがミソです。今では、マイコンのプログラムで好きなようにできますが、メカだけでは簡単ではありません。

 モーターの回転は、減速してギヤに伝えられます。

 ギヤCが左右に動き噛み合うギヤが変わるのですが、ギヤAに噛み合っているギヤBとCの2つのギヤに秘密が隠されています。

 実は、ギヤBとCにはカムが付いており、Bの歯数は34,ギヤCの歯数は33です。回転速度が違うので、それぞれ回転しながらカムによりギヤBとCの距離が変化します。

 ギヤCと2段ギヤDは、1体物です。

 ゆっくり歩きをするときの、ギヤの組み合わせです。

 鳴いて、尾をまるめるときの、ギヤの組み合わせです。鳴く回数の違いは、2段ギヤDとFの噛み合っている時間の差です。

 早歩きをするときの、ギヤの組み合わせです。

 ギヤBとCのように歯数を変え、カムを使って動かすしくみになっている動物おもちゃが多いようです。(^_^)

 

 

 

 

 

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