【申告】
動かなくなりました。
【診察】
2020年にイワヤから発売された”よちよちあるきのちぃペンちゃん”です。
触診をすると右足も骨折をしています。頭もグラグラしています。あちこち痛い思いをしているようです。
さっそく内部を診るために毛皮を脱がしにかかります。いつものように電池BOXの周りのホットボンドをドライヤーで暖めて行きます。
右足はくるぶしで骨折しています。
ペンちゃんの身体は滴型なので毛皮は脱がしづらいのですが、身体の側面を交互に上げるようにすると脱がすことができます。
さらに両翼は、万歳状態にして脱がせます。両翼は軟らかい素材なのでやさしく上げれば骨折はしないようです。
毛皮を脱がすと頸部骨折が2箇所確認出来ました。
骨折部1は、イワヤの動物で骨折しやすい箇所です。
頭蓋骨との勘合があり、針金でぐるぐる巻きをすると組み立てができなくなるため、ねじを通し接骨し接着剤で補強します。
骨折部2は、Vの字に曲がっている箇所で折れています。形状からして縛って固定するのが良いと思いますが、形状が悪く締めるとVの字が閉じる形になる可能性があるためスペーサをいれて防ぎました。
2箇所の接骨後です。
右足の骨折治療です。
くるぶし箇所に飛び出さないように、ねじを埋め込み接骨します。
鳴き笛が鳴きません。ふいごに破れなどなく空気漏れではありません。ふいごを切って鳴き笛を確認したところ、笛自体に病巣があるようです。
そこで、一度笛を分解して再度組み立て直すと無事声が復活しました。後は、グラシン紙(*1)でふいごの蛇腹を作成して貼り合わせれば完了です。
これで頭部の治療を終えました。
最後に毛皮を着せますが、こどもに上着を着せるように両翼を万歳させて毛皮を通してから足元へ下ろしてグルーガンで固定します。
【治療後記】
イワヤの患者さんを診るのは久々ですが、毛皮の脱着がペンちゃんは大変でした。また、鳴き笛自体がならなくなる症状も初めてで交換かなぁと思いましたが、とりあえず組み立て直し鳴くように戻りましたので治験が増えました。これでペンちゃんとまた遊べます。
治療後、退院予定日に最後の治療結果を確認するために歩かせていましたら、再び右足が骨折してしましました。急遽退院を延期させていただき再手術です。当初くるぶしで骨折した箇所をねじで連結して接着剤で固定したのですが、それでは弱く外れてしまっていました。そこでさらに接着後にステンレス線でねじの連結部を巻いて外れないようにしました。リハビリをして退院することになりました。<(_ _)>
【おまけ】
*1 グラシン紙
見た目は、トレーシングペーパやクッキングシートと同じように見えます。これらは元はグラシン紙で、表面に加工を施したものです。
普段見かけるグラシン紙は、窓付きの封筒の窓の部分がグラシン紙です。
ふいごの蛇腹の部分なので軟らかく破れにくく、空気を逃がさない紙が求められます。