【申告】
何年もしまってあって、動かそうとしたら乾電池が液漏れをしてオルゴールも鳴りません。
【診察】
大切なクリスマスツリーとのこと。申告通りアルカリ電池がひどい液漏れを起こしています。
オルゴールは、ゼンマイを巻いて様子をみていると動き出しました。
台湾で作られたガラス製のクリスマスツリーです。内部を開いて治療開始です。
まずは、液漏れをしているアルカリ電池を取り除き、腐食した電極の錆落としからです。いつものように錆落とし剤で処理しました。ベースの金属は多くの端子のように銅合金にすずメッキされたものでなく再使用を出来そうでしたが、バネ部は黒く酸化した状態だったのでバネのみを交換しました。
さらに、内部配線の芯線も黒く酸化しており半田ものらない状態でしたので交換することにしました。照明は、LEDではなくフィラメントランプでした。ランプのリードは、ソケットに挿入されているようでしたがソケットも腐食して、配線の交換も出来ずフィラメントランプのリードから直接配線を接続してホットボンドで固定しました。
次に照明スイッチ接点も接触不良を起こしており、分解して接点の表面錆びを取り除き接点復活剤を塗布しました。
これで照明もできオルゴールも動き出しましたが、照明フィルターが一定時間毎に上下にがガタガタ振動するような動きをしています。
照明フィルターの回転軸にクラウンギヤがついていて、オルゴールシリンダーに付いているギヤと勘合して回転している構造です。観察をすると、特定のシリンダギヤの場所に来るとクラウンギヤとの勘合がスムーズでなくなるようです。クラウンギヤとシリンダーギヤの歯を見ても変形や摩耗は確認出来ません。可能性としてしては、シリンダーギヤの芯が振れていてクウウンギヤとの勘合力が強くなると、勘合に不具合が発生していると思われます。
そこでクラウンギヤとシリンダギヤの勘合する力を弱めるために、クラウンギヤ軸にスペーサを挿入して相互の距離を離して状態を診ました。
スペーサを2枚挿入してクラウンギヤをシリンダギヤから引き離す事で、照明フィルターはガタガタするような事もなく回転できるようになりました。ただ、このガタガタはおそらく当初から有ったのではないかと想像しますが、オルゴールの音で気づかれずに来たのでしょう。反面、気づかないのなら治療する必要性を問われそうな気もしますが。
元気に復活です。
【治療後記】
液漏れをしたアルカリ乾電池の使用推奨年月が2011年でしたので、おそらく15年近く眠っていたと思われます。オルゴールは劣化も感じられずきれいな感じでした。
クリスマスツリーのようなおもちゃやディスプレーなどは、期間限定利用が多くなります。しまうときには、必ず乾電池を抜きましょう。