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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

白いBMWラジコンカー が来院しました。

【申告】

 前輪中央部にある ”補助輪” が外れて車体内部に落ちましたが、取り付け方がわかりません。

【診察】

 遊ばれているこどもさんの情報ではないので健康状態を知るのが難しく、 ”補助輪” と呼んでいるのは、開いた穴にあったであろう操舵輪のカバーのことを言われていました。

 このラジコンカーは、前輪操舵機能がありません。送信機には、前後進のボタンだけです。前輪は車軸でつながっているだけです。直進と後進しかできません。空いている穴とトリマー用つまみ穴?にはどのような仕組みがあったのでしょうか?破損部品もなく手掛かりがありませんでした。

 トリマー用つまみ穴?にあった部品で、開いた穴にあったであろうタイヤ(操舵輪)の向きを変えて遊ぶのだろうか?ただそれにしても、同じ円を回るだけなのでおもしろくないだろうな?と思いながら内部を確認しました。

 操舵輪の軸を押える操舵輪カバーを固定するボスが折れていました。

  

 

 本来の姿がわからず頭を抱えていましたが、輸入販売会社の連絡先が分かったので問い合わせをしたところ、画像をはじめ情報を頂くことができました。

 

 空いている穴には操舵輪が入っているだけで、トリマー用つまみ穴?には何の部品も付いていませんでした。

 これで、健康な状態がわかりました。

 病状は、

  ・操舵輪がない

  ・操舵輪カバーを固定するボスが折れていて、操舵輪の軸を固定できない

 ということになります。あとは、治療あるのみです。

 

 操舵輪の作成をします。

  タイヤは、滑らないようにラバーで作成します。

  ラバーに軸を通しただけでは、回転がスムーズでなくなりますので3Dプリンタでタイヤフォイールを作成します。

 タイヤは、厚さ5mmのラバー板からコンパスカッターで切り出します。その後タイヤフォイール径に合うように中穴を開けます。

   

 タイヤの寸法は、前輪を浮かせて、かつ操舵輪カバーに接触しないことが必要です。

  

 これらを軸と合体して、紛失した操舵輪の完成です。

 

  次に操舵輪カバーの治療です。

 ボスが根元から折れていますので、接着では強度が不足します。そこで折れたボスと操舵輪カバーを接着し、シャーシ側から固定する方法に変更しました。イメージは次のようになります。

  

  ボスの折れ方によりシャーシも薄くなって弱いところは、座金付きのねじに変更して固定強度を持たせました。

 

 元気に動くようになりました。

 

【治療後記】

 今回のような前輪操舵方法のラジコンカーは、初めての患者さんでした。そのため、多く経験する前輪操舵をするラジコンの様にトリマ機能が付くような形状個所と操舵輪にどのようなしくみの機構があるのかわかりませんでした。

 幸い輸入販売会社から情報を頂けたので治療をすることができました。感謝です。

 

 他方、前輪のトリマーばねを取り付ける穴?は、前輪操舵方式のシャーシにも使えるように樹脂型を作ってあるのだと想像します。

 

【おまけ】

 ラジコンカーの動きの説明です。

 2つの前輪は、見せかけだけで回っていません。

 前進の場合は、操舵輪の車軸は見せかけの前輪軸と平行になります。

 後進の場合は、操舵輪の軸受けの右側の切りかけが長いので操舵輪の車軸が切りかけの長さ分動きます。そのため車軸が傾き車は左に舵を切ることになります。

 この仕組みのラジコンカーのできることは、前方に直進すること、左後方に曲がることだけです。

 操作ボタンは2つだけですので、小さいこどもさんには簡単でいいのかもわかりません。

 販売価格低減策でしょうか?

 私などは、想定できない仕様のラジコンカーでした。治験がまた1つ増えました。

 

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