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支流からの眺め

冬の奈良散策(2)大和三山

 先のBlogで述べた大神神社の近くには展望台がある。そこから西を望むと大和三山が望める。写真の左から天香具山(標高152m)、畝傍山(198m:林の向こう)、耳成山(139m)だ(その右は大神神社の大鳥居)。平坦な橿原の地に浮かぶような姿だ。これら三山を巡った(一日仕事です)。



 天香具山は北麓の天香具山神社から登る。ここは占いの神・櫛真智命(くしまち)を祀る。近くには月の誕生石と蛇の繋ぎ石(花崗閃緑岩の巨石)がある。山頂に國常立神社(くにとこたち、天地開闢の神)、中腹にイザナギ神社とイザナミ神社、南麓に天岩戸神社(ご神体の岩屋は隠れるには小さいが)が鎮座している。



 天香具山は多武峰から続く丘陵地の端にあり、山というより丘の風情だ。しかし、産する陶土で神武のヤマト平定に際し神器を作った、天岩戸の神事で使った真榊の材料を供したなどの伝承もある。「天」の尊称を与えられ、万葉集でも13首に詠まれているなど、三山で最も神聖視されている。

 次は耳成山へ。本山は三山の中で最も円錐形に近く端正な姿だ。突出や変形がないので耳無と呼ばれたとの説もある。瀬戸内火山帯に属する死火山で、山体は流紋岩で出来ている。八合目付近に耳成山口神社があり、祭神はタカミムスビとオオヤマツミとされる。但し、明治以前は農耕神や水神を祀っていたらしい。

 最後は畝傍山だ。西麓に畝火山口神社があり、気長足姫命(おきながたらしひめ:神功皇后)、豊受比売命(とようけびめ)、表筒男命(うわづつのおの)を祀る。元は山頂にあったが、神武陵を造営する際に不遜とされ降ろされたらしい。耳成山に似た火山で中腹から上の登山道には白色の流紋岩が眩しい。



 山頂や麓から三山を眺めると、中大兄皇子の「香具山は畝傍愛しと耳成と相争ひき・・」、持統天皇の「春過ぎて・・」、舒明天皇の「大和には群山あれどとりよろふ天の香具山・・」、柿本人麻呂の「久方の天の香具山このゆふべ・・」、「玉だすき畝傍の山の橿原の・・」などの味わいが深まる。

 神武天皇陵と橿原神宮にも訪れる。神宮の創建は明治23年と最近だ。広大な敷地と造作を見て、当時の皇国史観への入れ込みが半端ないと実感する。神宮の蛇の絵も印象的だった(サムネール)。因みに今年の干支は乙巳(きのとみ)で、蘇我氏が滅んだ乙巳の変と同じ年だ。大変革の年となるのか。(続く)



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