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支流からの眺め

武漢ウイルスで見直す国々 (4) 朝鮮

 覇権国ではないが、近隣の国として朝鮮を取り上げる。

 古代より朝鮮半島には中原、北方、日本から勢力が入り込み諸国が割拠した。モンゴル帝国の圧政に苦しんだ後、1393年に李成桂が明に通じて開祖となり、明の命名で「朝鮮」と名乗った。以後、明と清の冊封体制下に王朝が続いた。1880年代より日中露の紛争の地となり、1910年より35年間は日本が統治した。日本撤退の後は、北緯38度線の南北で国連軍とソ連軍が対峙し、1948年に朝鮮を分断して大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が建国された。1950年に朝鮮戦争が勃発し、1953年の休戦後は、両国は実効支配した地域で独自に歩んでいる。

 韓国の初代大統領は李承晩で、1950年代の日本との国交断絶の間に、竹島の占拠や日本漁船の拿捕などの反日行為を行った。次期大統領の朴正煕は、1965年に日韓基本条約を締結して日本との戦後処理を終結させた。1960-70年代には、日本からの経済援助やベトナム戦争特需などを受け、「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を遂げた。1988年のソウルオリンピック、1991年の国際連合加盟などで国際的認知度も上がった。日本は韓国を半島唯一の合法政府と認定、友好国として20世紀末の通貨危機にも支援を行った。民主体制は確立しているが、最近でも大統領が告発・処分されるなど、政権交代は荒々しい。

 近年の韓国のGDPは約2兆ドルで、日本の4割程度である。この額は1990年の6倍、2000年の3倍である。一方日本のGDPは1990年の1.7倍で、2000年からは成長していない。その結果、韓国/日本比は、2000年は13%に過ぎなかったが、今は40%になった。人口も40%程度であり、一人あたりのGDPは同等である。軍事費は対GDP比2%で(日本は1%)、GDPと並行して増加して今は日本とほぼ同額である。北朝鮮との臨戦態勢にあることも軍事費を上げる要因となっている。但し、そのミサイルが日本に向けられれば、日本の全域が射程に収まる。

 北朝鮮では、伝説の抗日戦士とされる金日成が、対抗勢力を粛清して1972年に国家主席に就任した。その後、金一族の世襲独裁体制が3代続いている。ソ連の援助で豊かな時代もあったが、今のGDPは2兆円(日本の0.4%)に過ぎない。その25%の5000億円(日本の10%)を軍事費に充て、軍事国家の道を進んでいる。再三のテロ攻撃やミサイル発射で周辺国を威嚇し、巧妙に開発を進めて核保有国ともなった。日本と正式の国交はない。1970年代から日本政府認定で17人(実は800人以上か)の日本人を拉致し、2002年には5人を返還したが、補償もなく拉致の全容は未解決である。

 朝鮮半島は中国大陸の辺境地であり、その先に日本列島がある。永く大陸の支配者と対立しては屈し、時に日本と大陸との回廊となった(元寇や秀吉の唐入り)。近代は日中露や米ソの勢力争いの場となり、今も3大覇権国(米中露)の緩衝地帯として韓国と北朝鮮に分断されている。覇権国に翻弄された朝鮮は、時の強者に屈服しながらも怨念を失わなかった。この葛藤の解消に朱子学的な小中華思想を取り込み、不都合な現実を否定するか、好都合な妄想に陶酔する性向をもつことになる。

 日本からの恩恵(近代化、経済援助)という現実を否定するために、統治時代の「親日派」を排斥する法律や日本文化の流入を制限する法律まで作る。違法性が問えなければ、私刑にかけて土下座させる。慰安婦、徴用工などの虚構を築き上げ、日本を貶めて倫理的な優越感にひたる。この自慰行為に惑溺する余り、妄想がいよいよ確信となり、官民あいまった病的な迫真性に世界中が騙されてしまった。WARS流行も日本を貶める機会として利用しようと狙っている。片や北朝鮮は、金一族を有徳の王者と崇める虚構の中に浸り、将軍様のご威光でWARSの流行もないらしい。

 朝鮮半島には、民主国家と王朝国家という対照的な国体が共存する。ところが、抗日闘争という共通の歴史から、反日が両国の国是となっている。大戦の負け犬日本は、格好のイジメ標的である。最近では軍事力や経済力が充実し、韓国はレーダー照射などで、北朝鮮はミサイルで、現実の敵対的行為を行っている。住民は、南北朝鮮が合体した高麗連邦が倭国を圧倒する日を妄想しているようにも見える。民族自立に沿った正統性という意味では、北朝鮮に分がある。特に国内政治が荒れた時には、反日で団結する危険が高まる。

 わが国は、半島住民の悲惨な受難史と、それに由来する事大主義や反日感情を理解し、不用意に同国人に対するような親切心で行動してはならない。法理を理解しない古代人に裏切られるか、心の傷あとを刺激して恨まれるだけとなる。脱亜論を著した福沢諭吉の姿が1万円札から消える期に当たり、150年前の嘆きを遺訓として検証し活かす時である。


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