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支流からの眺め

正直な者・誠実な者はコロナでも割を食う

 武漢ウイルス感染症(WARS)流行との関与は、人さまざまである。一般人は外出や外食を自粛する。症状があれば受診し、陽性となれば家族や周囲の者は濃厚接触者となる。医療・介護職は、感染に神経を尖らせつつ職責を務める。保健所員は入院調整や追跡調査にあたる。客商売の経営者は時間短縮や客数制限のうえで営業する。交通機関の職員は空いた車両を定刻通り走らせる。専門家は意見を述べ、政策担当者は施策を思案し、評論家やテレビ局員はその解説や報道に励む。

 この中で正直でない人がいる。例えば、症状があっても診療を受けない者である。風邪薬を飲みながら普段の生活を続け、万一悪化すれば相談するつもりでいる。こうすれば自分の行動は自由である。濃厚接触者も発生しないので、その行動も自由となる。もっとも、故意にまき散らす気はないので、マスク着用は守りながら症状はないことで押し通す。正直者は診断がつけられ、体調が許す状態でも自宅待機を強いられ、家族や職場の仲間も濃厚接触者とされ行動制限がかかる。

 自粛要請に従わず、平時は混む観光地を楽しむ者もいる。営業自粛に従わない飲食店は、要請を無視し店を閉めた後も裏営業で収益を上げる。ごく小規模の店は、売り上げよりも大きな補償金で潤う。目ざとい病院は、空いていた病床をWARS用病床として申請し病床の補償金を頂く。専門家は内輪の評判を気にして学説を変え、政治家は世間の空気を読んで政策を打ち、解説者やマスコミは視聴率を取れるように演出する。いずれも違反ともいえないが、誠実や正直な態度ではない。

 誠実や正直は身の危険を伴う。大阪の心療内科医院は患者に放火され、社会復帰を支えていた西沢院長を含む25人が殺された。埼玉の訪問診療医である鈴木院長は、患者家族の言いがかりの呼び出しに応じて撃ち殺された。二人の医師は、誠実な人柄から多くの患者から慕われていた。医療者は拒絶(診療拒否)できない。良医との評判で患者が増えると、困難で問題のある患者を抱え込む危険も高まる。病む人に寄り添おうと誠実になればなるほど、相手の要求度も上がる。

 正直な発言も危険である。その最たるものが、言葉狩りやCancel cultureである。この標的になるのを怖れて、注目度の高い人ほど正直にものを言わない。かくて、有るものが無いことになる。公正であるべきテレビ朝日も、自社長の横領を正直には報道しない。月並みだが、真面目だけでは生き残れない、人の言うことは額面通りではない、真実は知らされずに眠っている、ということである。
 
 なお、不正直を勧めてはいないし、ましてや誠実な者を揶揄する気など毛頭ないことをお断りしておく。

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