なぜ?県の「絶滅危惧2類」昆虫が海岸に大量発生 研究者もびっくり「貴重な記録です」
9/21(木) 9:30配信 記事
西日本新聞
男性がハマスズ(砂丘の生き物)を発見した福岡市東区の三苫海岸
「希少なはずの『ハマスズ』を見つけました」。福岡市東区の男性(26)から、西日本新聞「あなたの特命取材班」に情報提供があった。ハマスズは福岡県のレッドデータブックに載る絶滅危惧種の昆虫で、県内で最後に生息が確認されたのは約30年前という。ところが今回見つかったのは少数個体ではなく、何百匹も…どういうこと? (黒田加那)
【画像】福岡市で発見されたハマスズ
昆虫好きの男性は9月1日、福岡市東区の雁の巣地区の海岸でハマスズらしき虫1匹を発見。さらに翌日、約2キロ離れた東区の三苫海岸周辺を訪れると、数百匹近いハマスズがいるのを見つけ、「絶滅危惧種なのに、なぜだろう」と驚いた。
記者が撮影した写真を、九州大総合研究博物館の丸山宗利准教授に確認してもらうと、こう断言した。「これは間違いなくハマスズ。貴重な記録です」。コオロギの仲間のハマスズは体長7ミリほどで、砂浜の砂に似たまだら模様が特徴。海岸や河原をすみかとするが、全国的に減少しているという。
2014年に改訂された福岡県版レッドデータブックのハマスズの記載は-。開発や乗用車の進入による海岸砂丘の減少、荒廃によって生息域が縮小し、「絶滅危惧2類」に分類され、県内では1990年代中ごろに岡垣町で確認されたのが最後、となっている。
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そんな希少種の、思いがけない大量発生。どう受け止めればいいのだろう。
地球温暖化や人為的な影響も気になるが、丸山准教授は「悪い前兆ではありません」ときっぱり。三苫海岸周辺への人の出入りはそう多くなく、ほぼ手つかずの砂浜が残る。「(東区の)志賀島以東の玄界灘に面した地域は砂丘が豊富に残る。海岸の昆虫が十分に調査されていないだけで、ハマスズはさらに見られるかも」と丸山准教授は推測する。
県のレッドデータブック改訂は、10年に1度。24年度に予定される次回改訂へ向け、情報収集を進める県保健環境研究所の中島淳研究員も、絶滅危惧2類の種が増加する事態に意表を突かれた。「調査不足などが原因で、本来よりも(絶滅の恐れのランクが)過大評価されていた可能性がある」(中島研究員)として、近く三苫海岸周辺を詳しく調査する意向だ。
発見者の男性は、ハマスズ2匹を標本化のため同研究所に寄贈した。希少種の存在が分かれば、保全の道も開けてくる。中島研究員は「生息に関する情報があれば、ぜひ教えてほしい」と話す。
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マータからコメント:地上で絶滅した生き物達が、また地底から地上に戻されているかな?なんて思いました。こういったニュースが他にもありましたら、ぜひ教えて下さい。