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海?湖?川?海峡?世界の分類がビミョーな水域の話

最近、ジャパネットたかたのCMで「世界で一番大きい湖は?」というクイズを出し、「正解はカスピ海」って言って、「かすぴかい」であいうえお作文をするというのがあります。

さて、カスピ海は果たして海なのか、湖なのか、というと、どっちも正解だと思います。海は地球上に一つで、内陸にあるものは全て湖と定義すれば、カスピ海は湖ということになります。「カスピ『海』」という名前が付いていて、水も海水で、海の生き物が生息していて、人間の歴史の中で海だと認識してきた点があるので、海とも言えます。カスピ海は古くは「Hyrcanian Ocean(ヒルカニア洋)」とも呼ばれ、seaよりも大きいocean(大洋)で呼ばれたこともあったぐらいですから。カスピ海沿岸の国によっても主張が分かれていて、海だとしたら領海が適用されるので、その関係でもめているようです。カスピ海が「海」なのか「湖」なのかというのは永遠のテーマといえるでしょう。私はどっちかといえば海だと思います。
おじいちゃんおばあちゃんのおうちにあったギネスブックでは、カスピ海とアラル海は「内海」(この場合「うちうみ」と読んだ方がいいのかしら。「ないかい」だと瀬戸内海、羽地内海など外洋とつながっているものを指すから)に分類して、湖とは別として扱い、世界最大の湖はスペリオル湖と記され、カスピ海は世界最大の内海だと書かれていました。

アラル海
カスピ海から近く、カスピ海同様に内陸にある海水の「海」と認識されてきて、現地でも「アラル」という名称で呼ばれるが、言語によっては直訳すると「アラル」という名称で呼ばれている。ここ数十年で水域が大幅に減少し、もはや海と呼ぶのは変になっている。現在、小アラル海、東アラル海、西アラル海、バルサ・ケルメス湖の四つの水域に分かれている(ウィキペディア「アラル海」参照)。アラル海を海としたら、バルサ・ケルメス湖は海跡湖といえる。

死海
塩分濃度が非常に濃くて生物がほとんど住めないことから「死海」の名が付いた。「海」という名前が付いているが、湖(塩湖)と考えるのが妥当でしょう。塩分濃度が濃すぎても「海」とするのも変かなと思う。

ガリラヤ湖
淡水湖だが、英語では普通「Sea of Galilee」と呼ばれる(一応Lake of Galileeということもあるらしい)。聖書に登場し、聖書の中でもさまざまな名前(湖だったり海だったりする)で呼ばれている。日本語でも「ガリラヤ(の)海」ということもあるらしい。

マラカイボ湖
ウィキペディアによると、塩湖で海(ベネズエラ湾)とつながっているため、海とも定義できるとのこと。その場合、マラカイボ湖は湾といえる。

中南海
北京の紫禁城の西側にある人工湖(お堀)。中海と南海があり、合わせて中南海と呼ばれる(両者は水路でつながっている)。中国政府の代名詞にもなっている。人工湖の場合「海」という名前が付いているのも少なくない。

イースト川
マンハッタン島の西側にハドソン川、東側にイースト川がある。幅は島の西側を流れるハドソン川よりイースト川の方が狭い。イースト川は両方の出入口が海となっている。川という名が付いているが、ウィキぺディアで調べたら川ではなく海峡だった。つまり海の一部ってこと。私が小さい時も、ニューヨークの地図を見て「これが川なの」って疑問に思ったよ。

中海
境水道を通じて日本海とつながっている。「中『海』」と名前が付いているので海とも考えられるが、ウィキペディアによると湖とのこと。境水道は、中海を海とした場合は海峡であり、中海を湖とした場合は河川だといえる。実際、中海の塩分濃度は海水の半分程度の汽水だという。かつて淡水化が行われていたということもあって、海じゃなくて湖とするのが妥当かもしれない。ちなみに宍道湖も汽水湖であり、宍道湖から中海に流れる大橋川も塩分を含んだ川だ。

阿蘇海
天橋立で仕切られた水域。水道を通じて外海の宮津湾とつながっていて、海とも考えられるが、ウィキペディアによると塩分濃度が外海の2/3程度の汽水の湖とのこと。天橋立は砂州で、橋のように見えることから「天然の橋」という意味合いでその名が付いたらしい。

漫湖
国場川と饒波川の合流地点に広がった水域。水は汽水。現在、埋め立て(漫湖公園は湖を埋め立てて作られた)やマングローブの繁殖によって水域が狭くなっていて、湖というよりは川って感じ。漫湖の幅より何倍も大きい川幅を持った川は世界中にごまんとあることだし。一応、国場川の一部とも考えられている。特に那覇大橋から那覇港までの間は国場川として扱われる。私が行ってた大学の「環境保全」という授業で先生は「漫湖は湿地(干潟)であって本当の湖じゃない」って言ってた。ウィキペディアでも「湖ではない」とのこと。琉球王国が成立したころは「那覇湾」といって海の一部だった。のちに埋め立て(干拓?)によって外海と隔たりができて、漫湖となった。当時は湖と呼んで申し分ない広さがあったでしょうね。本来海だったので海跡湖といえるでしょう。

自然にできた地形に対して、分類したり名前を付けたりするのは人間だから、厳密には線引きできないあいまいな所もけっこうあるのね。

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