こうも当たらない天気予報は 正直ウンザリだ
けど どちらかと言えば優しい雨は嫌いじゃない
正面の窓に流れる水滴の筋を見ながら
さて今日はどうしようかと思い悩んでいた
鉢植えのパンジーや先輩の奥さんに貰ったシクラメンには
自然に掛かる当たり前の水滴は
僕が与える水道水よりも もしかするとウレシイ事なのかもしれない
優しい雨はキレイに咲いた花にとってかけがえのない
大切な人のようなものなのかもしれない
ピーピーとガスコンロのやかんが鳴り始めた
やかんの口を上に開けて 2、30秒間
沸騰させるのが常だった
そこまで神経質にならなくても大丈夫だよ
と言われた 過去の記憶を思い出す
見かけより繊細なのは後天的なものだろうし
全てにおいてこういった性格ではないけど
何かの拍子に固まってしまったルーティンは
そう簡単には戻らなくなっていた
会社に勤めてた頃には
毎日の流れの中にそこかしこと決め事があった
駅までの途中に小さな駐車場がある
車道を通っても5秒と違わないのに
そこの間をすり抜けないと気が済まなくて
それも一番右の車止めブロックの左を
必ず通っていた
初恋亭夢中