1953年の作品。 母親役の浦辺粂子が、 誰よりもいい。 主演女優の京マチ子よりも良かった。 いつもの、端役の婆さん役とは 一味違って、 いや、 一味どころか大いに違って、 いわば、映画に命と魂を吹き込んでいた。 あの、激しい兄妹喧嘩のシーンでの 浦辺の口をひん曲げての凄まじい演技、 あそこは圧巻。 浦辺粂子は、 ただ者ではない。 田舎の細い道がしばしば出てくる。 今まで僕が映画の中で見た道のなかで 一番いい。 成瀬巳喜雄、悪くない。