岐阜多治見テニス練習会 Ⅱ

国宝 待庵

若き日の
心の隅の
埋もれていた憧憬が、
或る日、不思議な縁により、蘇り、現れ出した。

2017年5月16日、
嵐山の宿舎から
京都府乙訓郡大山崎町へ向かった。

JR大山崎駅から歩いて17秒、
そこに妙喜庵待庵はあった。
予備知識がなければ、
そこは寺院にも見えず、
普通の民家の一つとしか見えない。

まさか国宝の茶室があるとは!

千利休作、と伝えられている。

写真や映像では、若い頃から知っていた。
実物を見るのは、やはり、心がときめく。
国宝だから、
茶室の中には入れない。
躙り口や連子窓から覗き見するだけだ。
それでも、心がときめく。

二畳の茶室。
あの狭さ、あれは無限大に繋がる。
あのむき出しの土や竹、あれは最も洗練された美に繋がる。
あの儚さ、あれは永遠性に繋がる。

大地震に耐えるような建築物などには興味がない。
原寸大の模型にも興味がない。

いつ壊れるか分からないもの、
古くて脆いもの、
それでいて、時の深い重みを何とか凌いでいるもの、
待庵。

一度あの茶室の中で茶を喫したいものだ。

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