NHKの番組で「一本の道」という番組がありました。
ヨーロッパに残されている中世の古道をアナウンサーと現地の日本語を話せる人が5日ぐらいかけて1日8キロから12キロぐらい歩くものでした。見ていると残された古道に沿って現代の道もあるのだなと気づくこともありました。
その道は時に牧場に入っていったり、渓流に沿っていたり、泊まる宿も石造りや木造の宿だったりで、「ああ、こんな古代の道が残されてそれを歩いて行けるなんていいなぁ」と見るたびに思いました。
ところで、私のふるさとにもそんな古道が残っていたのです。私は人があまり歩いていないそんな道が好きで、小学生の頃から独りで歩きました。川に沿ったり、畑の中の道だったり、人家の前を通ったりでした。
熊なんて出てこなし、小さな子が独りで歩いていても安全な時代でした。
いまでも、その道は思い出すことができます。たぶんいまは道が舗装されたり曲げられたりして、跡形もないところもあるかもしれません。距離にしても子供の足で1時間半ぐらいだったでしょうか。あの頃もっと遠くまで行けたらもっと続いていたのかもしれません。明治か大正の頃に新しくできた道は新道、古い道は旧道と呼ばれていました。
道に沿った川、私の子供の頃は清流でしたが、昭和40年代の頃に見る影もなく汚れ、水量も痩せて見るも無惨な有様になっていました。田舎にはプールというようなところはなかったので、かつての川は私たちの水浴び場でした。
あの道は私のこころの中にだけある風景です。公共交通機関がないふるさと、車を止めたいまは遠い遠いふるさとです。
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