「ライバルが強すぎた」コロナ禍でインフル激減の理由
3/22(月) 18:00配信
朝日新聞デジタル
今冬は、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が起こるのではと心配されていた。だが、インフルの流行はないまま流行期が終わりそうだ。患者数は過去3年間の平均の1千分の1未満にとどまるが、なぜこれほどまで患者が少なかったのか。
■記録的な少なさ
国立感染症研究所の資料によると、全国約5千カ所の定点医療機関から報告された昨年12月から今年3月上旬までの平均は0・01人。流行入りの目安とされる1人には遠く及ばない=グラフ。この冬の患者数は、最も多かった2月1~7日でも0・02人にとどまる。
北里大学の中山哲夫特任教授(ウイルス感染制御学)はインフル患者が少なかった理由について、「今年はライバルのコロナが強すぎた」と話す。
どういうことか。
あるウイルスに感染していると、他の似たタイプのウイルスには同時に感染しにくくなる。たとえば、インフルが流行すると、RSウイルス感染症の流行がおさまるという現象が世界的に起きている。
こうした「ウイルス干渉」が起きていたのではないかと、中山さんは指摘する。
新型コロナもインフルも、鼻やのどから侵入するという似た性質がある。
これまでの冬は、インフルにはライバルはいなかった。だが、この冬は新型コロナという強力なライバルがいたために、インフルの感染が広がる余地が少ない状態になっていたとみられるという。
■世界的な傾向
だが、12月以降の日本の新型コロナの感染者数は約30万人。例年は推定約1千万人が感染するインフルに比べると、かなり少ない。
中山さんは、感染症の流行を考える際には「世界的な規模で見ないといけない」と話す。
インフルの流行する季節が北半球とは反対になる南半球でも、昨年夏は例年に比べて感染者数が非常に少なかった。
また、人口当たりの感染者数が日本に比べて10倍以上高い国もあるが、そのような国でも、インフルの患者数が例年に比べ抑えられていた。
世界的にインフル患者が少ないことに加え、海外からの人の流入がかなり制限されたことで、日本にインフルがほとんど入ってこなかったと考えられるという。
朝日新聞社
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最終更新:3/22(月) 20:24
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