ヒメアジサイは、同庭園の入り口近くに植えられ、牧野博士の子孫らが土をかぶせ、水をやった。区の担当者によると、まだつぼみだが、6月初旬から空色に咲き始め、同月いっぱいは楽しめるという。
牧野博士は1862年に高知県で生まれた。1957年に94歳で亡くなるまでに1500種以上の植物に名前をつけ、日本各地で植物採集をして約40万点の植物標本を集めた。来春から放送予定のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルになっている。
ヒメアジサイは牧野博士が長野県の民家で見つけ、花が優美なことからこの名前をつけ、自宅の庭に植えていた。60~70年ごろ、博士の次女の手で高知県立牧野植物園(高知市)に分けられ、系統保存されてきた。その後、自宅のアジサイはなくなってしまったという。
植樹に参加した牧野博士の曽孫、牧野照美さん(71)は幼い頃、牧野博士に抱っこされたことをうっすら覚えている。「優しい人だった」と振り返り、「ヒメアジサイが戻ってきてくれてうれしいし、高知の方には感謝したい。きれいな花が咲くのが今から楽しみ。多くの皆さんに見ていただければ」と話した。(滝沢貴大)