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プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

☆< ウェディング・ハイ >

2022年03月23日 | ☆映画館で見た映画。
「これを見たい!」と思って見に行ったというよりは消去法の結果。
4月半ばまでに有料で見ないと、貯めてたポイントが消滅するので。
ここ2、3年、こればっかり言ってるな。
「これは見に行く!」と盛り上がって見に行く映画がなかなかない。さびしい。

今思うと16日に見に行ってて良かったな。
その晩の地震で、またしばらく映画館封鎖するようだもの。


あまり期待しないで見に行ったわりには面白かった。
もっとウェディングプランナーをがっつり主役に据えた(だけの)ドタバタだと
思っていたが、いい意味で想定とずれていた。

本当は篠原涼子を主役扱いしなかった方が良かったと思う。ポスターとか。
篠原涼子はあくまでも群像劇のなかの一人でしかないし、最後を彼女が
締めるのも取ってつけ感があってあまり感心しなかったし。

台本が上手く作られていた。バカリズムの手柄なのかなあ。
わたしの予想ではみんながイタイ話だと思っていたのだが、
イタイはイタイけど誰でも持っているイタさを上手くすくっていた。
それが凡百の作品だと単に失敗談にしてしまうところ、
ちゃんと成功させて(あるいは期せずして上手く行って)、いい気持になる。

とはいえ、序盤は共感性羞恥の嵐でツラく、見に来たの失敗か?と思っていた。
3分の1くらい進んで以降恥ずかしさは薄れたのでその後は楽しく。
最後の下ネタはちょっとカンベン、だったけど。

役者のお手柄は個人的には片桐はいりかなあ。顔かたち含めて。
最近エッセイを読んで讃嘆したので、贔屓が入ってるかもしれないけど。
上手いね。恩師っていうポジションとね。芝居とね。
あの一言は凡百の役者じゃ出せません。輝くね。

この人も年をとった。
照明、明るくしてもいいけど、あそこまでは必要なかったんじゃないか。
とは思った。全体的に。

太鼓とダンスと解体ショーとマジックの組合せ、いやいやないやろ、と思いつつ
これが意外に良くて。金取れるわ、こりゃ。
見てて楽しかった。ダンス部はてっきりヒップホップだと思ったら
創作ダンスだったんですね。それでこそ片桐はいりが活きて来る。

向井理の存在をすっかり忘れていた。
靴下の派手さが目について、これが何かになるんだろうとは思っていたが
そこまで靴下が目につく=ズボンの丈が短い=サイズが合ってない=盗品
とまでは気づかなかった。

全体的に丁寧に撮っていて好感が持てた。
えー、具体的にどこというのは記憶にないが……
こういう転がる話は工夫なく撮っても面白いことは面白いので、
雑に撮っちゃいがちってのはあると思う。
でもこの作品は画を工夫してましたね。小道具とかも含めてね。

少し品下れる部分があるので、そこは好きなテイストではないが、
バカリズムの次があったら見てみたいと思うくらいには楽しかったな。
バカリズムとしての言動は(あんまり見たことないけど)ひねくれ者な
イメージだけど、こういうあったかいものを書くんだな。


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☆ < 燃えよ剣 >

2021年11月10日 | ☆映画館で見た映画。
10か月ぶりの映画館。

映画館に行くほどの映画か?と思いながら行った。
そう思いながら行ったのは、映画館の来場ポイントが12月頭に切れちゃうので、
それまでに料金を払って1度映画を見ないと、3回タダで見られるポイントが
無効になってしまうから。

岡田准一はけっこういい演技をすると思うし、自分基準ではかなり見ている方の
役者だが、それだけにちょっと飽きてるかもなあという気分もあった。
岡田准一の時代劇で見たのは「花よりもなほ」「関ヶ原」「散り椿」……
映画じゃないけど「軍師官兵衛」は何話か見たし、時代劇とも言い難いけど
「天地明察」も時代物っちゃ時代物。まあだいぶ見たよ。

そしたら、なかなか面白い映画でした。

まず、やっぱり映画館で見る映画はいいね。
映画館で見るってだけで、テレビで見る映画の10倍くらい面白くなると思う。
それは集中して見られるという理由が一番大きいと思うけど、
カミングスーンの映画の予告編を見て、これもいいなと思った。
長年映画館通いをしていて、そんなこと初めて思ったけど。


原作が司馬遼太郎。
わたしは司馬遼太郎をほとんど読んでないのだが、日本歴史小説の王道という
イメージがあり、それを映画化したのなら王道の時代劇になると思っていた。
そしたら映画はけっこう癖がありましたね。

表現として「気持ち悪さ」を採用していたと思う。
わたしは殺陣も血のりも好きな方ではなくて、絵面としてはちょっとイヤだったけど、
この気持ち悪さが「普通の時代劇」になることからこの映画を救っていた。

「普通の時代劇」が悪いわけではない。むしろこの気持ち悪さがちょっとでも
基準を超えると途端にイヤな映画になるから、危険ではある。
が、普通の時代劇は……ちょっと飽きている。

出来ればこういうグロい方向じゃなく、目新しい味つけをして欲しい気もするが。
でもグロに行くか、ユーモアに行くかしかないですよね、今のところ。
そうそう新機軸を打ち出すことも難しい。

それから話のテンポが速かった。通常の1.2倍くらい。
わたしは邦画の弱点はそのテンポの悪さだと思っていて――弱点なのか特徴なのかは
感じ方によるだろうけど、面白ければじっくり丁寧に描いていると思えても、
面白くなければテンポが悪いと感じるわけで。

テンポが速いせいで話がちょっとわからないところがあったりしたけど、
100%理解しなくてもいいと思えば、そんなに不快ではない。
こんな辛気臭い、グロい話をじっくり見せられてもツライしね。


役者さんは好きな人が揃っていた。それゆえにこの映画を見に行った感じ。
まあ岡田准一は安定。実は土方歳三は、何年か前の山本耕史が決定版だと思っていて、
それを越えたかと言われると越えてない気はするが。
しかし動きの癖は役者の工夫を感じた。

岡田准一は殺陣も乗馬もやりこんでるから、こういう役柄の時はここぞとばかり
多用してくるよね。これも役者としての努力。

鈴木亮平。一か所だけ、てきぱきとした口調の箇所があって、
こないだの「MER」以来の口跡に感動していた。
この人はこの口跡を活かした役柄をたくさん受けるといいんじゃないか。
気持ちいいもの。滑舌が悪い役者が目につくなかで、滑舌がいい珍しい存在。

ただこの作品では、土方と近藤の、熱い友情をそこまで感じなかったのがね。
土方と沖田はいい関係性だったけれども。
近藤はキャラクターとしてちょっと薄かった。白化粧は止めて欲しかった。

沖田総司の山田涼介はなかなか。
わたしはこの人、「もみ消して冬」でしか見たことないけど、演技は良かった
イメージがある。今回の沖田は多少の「気持ち悪さ」はあったが、唯一の癒し系。

柴咲コウは好きなんですけどねー。
近年ちょっくら言動に色がついてきて不安……。まあ意見も述べられない
こんな世の中も間違っているとは思いますけれど。
今回のお雪はいい意味でちょい足しで、ちょうど良かった。

あとは知らない人だった。
……ああ!吉原光夫!なんか見覚えがあると思ったら!
「エール」のバグ職人――もとい、馬具職人ですね。

尾上右近は近年のしてきている歌舞伎役者ですね。素顔を初めて見た気がする。
容保はいいキャラクターだった。幕末の流れは断片的には知ってはいるけれど、
会津藩がそこまで悲愴な決意をもって京都守護職を受けたとは思ってなかった。
いい役でしたね。

名前の字面だけ知ってた山田裕貴。変な役をがんばりましたねー。
徳川慶喜の重みを全く感じなかったのはマイナスだが、
奇妙な味つけは成功していたと思う。ひたすら締めまくる人。

伊藤英明も「陰陽師」では目を覆うばかりにアレだったわけだが……
普通になりましたね。今回の芹沢鴨は違和感はなかった。
しかしクレジットの最後に出てくるほどだとは思わない。
なぜトリを取るんでしょう?事務所がでかいの?


ロケを楽しんだ。海外ファンタジーは教会や古城などをたっぷり使えて、
うらやましいなあと思っていたのだが、
今回は海外ファンタジー並みにロケ地をうまくやってましたね!
お寺とか、こういう風に使えばいいんじゃん!

だが、壬生の屯所に設定されていたのが長谷寺だったので笑った。
奈良じゃん。わたし程度ならいいけど、近所の人は長谷寺を京都連呼されたら
違和感ありまくりだろう。
まあ京都じゃないとダメってことになるとロケが出来るところなんかないからね。


映画館で見て良かった。テレビでは良さが半減する映画。


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☆< バイプレイヤーズ ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~ >

2021年04月30日 | ☆映画館で見た映画。
「バイプレーヤーズ」のシーズン3が始まって、見たい!と思っていたが、
いかんせん、テレビ東京系はこの辺では入らないのであった……。
わたしが見たいと思うドラマの半分くらいはテレビ東京系。
ああ、入るようにならないだろうか。でも入るようになったらドラマをたくさん
見なければならなくなって大変。

(ちなみに、後にBSテレ東でシーズン3の放送が始まったんだけど……
最初気づかず、1話と2話は見逃しています。3話から見る。残念。)

なので劇場版はすごく見たいと思っていた。


で、見た結果。
話はぐちゃぐちゃだけど面白かったです。

これは何の面白さかというと、ふだん着の役者(と思わせられている)の姿を
愉しむということですね。もっといえば役者同士の関係性。
これを現実だと、おおむね信じて見る。そういうシリーズ。

なので、このドラマの中で仲良くて、実生活では仲が悪い、とかは想定しない。
実際に有村架純は交友範囲が広く、意外な人と仲がいいんだろうなと思うし、
(心の底ではどう思っているか知らないが)メインのバイプレイヤー同士は
仲がいいんだろうなと思って見る。
そしてその中でのアドリブ。

今回は富士山麓にある大規模な撮影所という設定。
シーズン3と整合性があるのかないのかは知らないが、映画だけの話でいえば、
そこではバイプレイヤーたちが大勢集まり、日々ドラマ・映画を撮っている。
富士山麓なんて遠いところに毎日通えへんやろ、と内心ツッコむ。

ここで作られている設定のドラマや映画がね。パロディオンパレードで笑えた。
「わたしの番です」とか、半沢直樹とか、えーと、覚えてないけど
わたしでもわかる作品色々。その瞬間瞬間が面白い。切り取り方が面白い。
もー、テレ東はパロディがお家芸だからー。
こういうのずるいよねー。面白いからいいけど。

一番面白かったのは木村多江のところかな。木村多江は「チコちゃんに叱られる」
での熱演から見る目が変わった。その前はあまり好きじゃない女優さんだったけど、
あれだけ演技にハマれる女優が悪い女優なわけがないじゃないですか。

バイプレイヤーズたちは相変わらずです。遠藤健一が今回フィリピンに行ってるので、
常時登場は松重・トモロヲ・光石。おっさん3人が背景でごちゃごちゃしていて、
今回一応のフォーカスは濱田岳・菜々緒・柄本時生の映画作成組。

濱田岳が監督となって映画を撮りたいというのは、百歩譲っていいとして、
菜々緒・柄本時生とその他の人がわざわざ映画を自主制作しようというのが、
必然性を感じない。まあいいけど。

天海祐希の立ち位置があまりにも無理がある……。
天下の天海祐希が、いくら趣味としてもケータリングサービスに何日も費やす。
……まあいいけど。

そういういい加減な話でも、濱田岳や天海祐希を見ているだけで楽しいので良い。
北村一輝とかねえ。村田雄浩も。前述の木村多江。
向井理も珍しく顏芸を発揮していた。大倉孝二。勝村政信。渡辺いっけい。
ふせえり。そうそう、滝藤賢一も。りょう。高畑淳子の役柄がすごかった。

そして出ているのに気づかなかった役者もものすごくたくさんいた。
尾美としのり、安藤玉恵、堀内敬子、浜野謙太、升毅、吉田羊、相島一之。
伊武雅刀、甲本雅裕、野間口徹は見たかなー。速水もこみち。

これは間違い探しのように、画面を止めながら、確認しながら見たい気がする。
しかもわたしのテレビでは画面が小さいから、大きなテレビで。
もったいないくらい豪華なゲスト。

これ、ドラマ版は業界視聴率30%といってあおってますけど、
業界人は何を見たくてこのドラマを見たいもんですかね?
知ってるあの人のアドリブ具合とかでしょうか。


ただ、これから見ようと思っている人に言いたい。
この映画は基本コンセプトがわかってないと絶対につまらないから、
今までのシリーズ、全く見てない人はいきなりこの映画を見ない方がいい。
絶対に見ない方がいい。

映画として見るにはあまりにもユルいですから。
お金を払ったことがもったいなくなりますから。
わたしは面白かったけれど、それはシーズン1、2込みでの面白さ。
映画が初の出会いだと、骨格もない、クラゲみたいな話ですから。


この映画はいろいろな俳優の顏ぶれを楽しむ。
そして「所長」に対する愛情の映画だと思います。
最後を見て、これは映画人による暖かな弔辞なのではないかと思った。
昔撮った、そしてもっと撮るはずだった映画を、ふんわりと「銀河鉄道の夜」に
集約させて。たしか愛犬がクーちゃんじゃなかったでしたっけ。うろおぼえですけど。
最初の犬は本犬?同じ犬種?

うん。やっぱり弔辞ですね。




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☆< 騙し絵の牙 >

2021年04月24日 | ☆映画館で見た映画。
面白かった。見るの疲れたけど。

見るの疲れたのは、画面の切り替わりが激しかったから。
わたしとしては切り替えを2分の1くらいに減らして欲しかったが……
でも切り替えがこの映画の肝の一つだろうから、そこは変えられないところだろう。

わたしは普段企業ものは見ないが(ギスギスするのイヤですからね)、
これは予告編で見た時、コミカル要素が多そうなので見たくなった。
大泉洋が主役だし、周りの俳優もけっこう気になる。

てっきり出版社同士の争いだと思ったら出版社内の派閥争い、お家騒動の話。
いや、これはけっこうやりきれない話ですよ。出版社同士なら単純な
敵と味方でいいけれども、同じ出版社内だと外に対しては心ならずも
団結して見せなければならない部分もある。事態はより複雑。

そこでの足の引っ張り合いがねえ。面白かったし、痛ましかった。
同じ会社なんだから、もう少し協力しろよといいたくなる。
ここ数十年言われ続けている出版不況、それを会社ぐるみでのりきって
行かなきゃいけないんじゃないか。

でも一枚岩ではいかないことが現実ですよ。むしろ内部の権力争いの方が
はるかに憎悪が強いかもしれない。骨肉の争い。

もう少し、文芸側にアドバンテージが欲しかった。文芸側が相当悪役側に
描かれている気がしたから。あれでは権威主義で頑迷としか見えないけど、
文芸に対する愛はちゃんとあると思うし、そこは愛情をこめて描いて欲しかった部分。
単に赤字、売れない、というだけで断罪されるのは切ない。


あのどんでん返しは見事。あれはすっぱりとやられた。
当然ぶっちゃけるとは思ったけど、全く思っても見ないことを言われて愕然。
そうやって騙される、騙された!と思えるのは快感。

だが、あそこのどんでん返しが見事だっただけに収束部はちょっと物足りなかった。
あの人の失墜はあんな3人だけの場ではなくて、せめて役員会議くらいの
物々しさがないとバランスが取れないんじゃないかなあ。
でもまあ役員会議は何度かありましたからね。あまり出すとマンネリになるけど。

最後の大泉洋は、わたしの好みからすれば感情を出しすぎ。
ニヤリとして終わってくれた方が余韻があったと思う。


本屋さんの話は良かったですねえ。見る前日に、昔の小規模本屋について
たまたま思いを致したところだったから、共時性だったなー。
あの2人が親子だというのは、普通に考えてそうなんだけど、
どんでん返しがあるか?と構えてしまっていたから、
早い段階で「お父さん」と呼ばせておいてほしかった。念のために。

小学生は、もしあれば今でも町の本屋にたむろするだろうか。
家で任天堂switchをやるのに、あるいは習い事や塾に行くのに忙しくて、
本屋で立ち読みするひまはないのではないか。

しかし本屋を改装するお金なんてどこから出たんでしょうね?
ラストについてはわたしは全体的に納得出来ていない。


※※※※※※※※※※※※


役者が良かった。

大泉洋は何をやらせてもいい。というほどたくさんは見ていない。
でも映画はけっこう見てる方だな。あくまでも当社比だが。
今回の、つかみどころのない役柄にぴったりだった。あそこまではまる人も少ない。
いいねえ、軽さ、面白さ、腹の知れなさ。

松岡茉優。わたしはこないだの「おカネの切れ目が恋のはじまり」で初めて知ったが、
あのドラマでなかなかいいと思ったんだよね。
今回見て(脚本のキャラクター設定的には不満があるものの)、かなり良かった。
この役は出番も多いし、ここがしっかりしてなかったら全然話にもならないが、
演技的にちゃんとしていた。満足。

けっこういい女優になるかもしれない。もういい女優なのかもしれないが。
「万引き家族」(ずっと前に録画してあるがまだ見てない)と
「蜜蜂と遠雷」はいずれ見たい。

塚本晋也。……わたしは山本晋也と塚本晋也を混同していたことにたった今気づいた。
なんでこの名前で「本晋也」が被るんだ。そうはない名前でしょ。

なので、「え、これ塚本晋也?(山本晋也を思い浮かべながら)」と思っていた。
こんないい演技が出来る人には見えなかった(山本晋也を思い浮かべながら)。
メガネを取ると雰囲気が変わるんだなあ。

……そうしたら別の人でした。
いい演技でしたよ。出版社関連のドロドロとはまったく別の世界を作っていて。
ここは同じ世界のものとは思えないところが大事。

池田エライザは「名探偵で建築を」でついこないだ初めて見たが、
今回も独特の雰囲気をまとっていてワンポイントで効いていると思った。
モデルの経験が大変活きているね。空気をまとう術を知っている人。
今後もちょっと楽しみにしている。

宮沢氷魚は初。この役には合ってたね。

齋藤工は点景。好きだからもうちょっと見たかった。贅沢な使い方だったけどね。
中村倫也は……最近ずーっと似たような役柄ばかり見ているので食傷。
すごくいい役者で好きだけど、これだけ続いちゃうとなあ。
今回は特に面白い役柄ではなかった。というか、この人のこの役が
面白く描けたなら、収束部にも不満は持たなかったと思う。

名前がそれぞれわからないんだけど、トリニティの編集部員たちが面白かった。
三人三様。ここのキャスティングは上手かったね。

木村佳乃は良かった。良かったが、首の細さが気になっちゃって。
痩せすぎているから年齢を感じるなー。今回首が目立つ服ばっかり着てたけど、
映画的な必然性がないなら首を隠せる衣装を着せてあげて欲しかった。
そうすれば憐れさを感じなかったと思う。感じさせたかったのなら成功している。

小林聡美は適役。相変わらず面白くて見てて楽しい。
嫌味になりそうでならないところも絶妙。

国村隼は久々に見られて楽しかった。安定と信頼。
だが映画的には前半だけの出なので、これで最後国村隼も絡められたら厚くなった。
佐藤浩市はいつもの、でマンネリを感じる。
ここ数年、脂が落ちて面白くなったかなあと思っていたが。


※※※※※※※※※※※※


ものすごく不満、というわけではないけど、収束が弱いよなー。
Amazonと世界初の新しい提携って言ってはいるけど、全然ふわっとしていて
現実感がまるでない。いい加減な感じがする。

最大のネックは、そんな大きな提携なら社長の頭越しに決まるわけないんだよなー。
創業家の御曹司はともかく、会社組織である以上社長が全く知らないってあり得ない。
そして本屋改装費用もさー。ずいぶん急に大きくてしゃれた建物が建つじゃない?
一体どこからそんなお金が……。
そういうところだよ。しっかり話を作って欲しいのは。


しかし全体的にはかなり面白い映画でした。見て良かった。

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☆< あのこは貴族 >

2021年03月22日 | ☆映画館で見た映画。
わたしはアニメ「ハイキュー!!」が大好きで。
そこから声優にも興味を持つようになった。それまで声優といえば
エンドクレジットに並ぶ単なる名前でしかなかったのだが、
世の中を見回すと、声優さんはラジオの仕事を多くやっているんですね。

わたしが気に入って聴いているラジオがあって、
そのコーナーでパーソナリティがひたすら映画について語るというものがあり。
しかし映画に詳しい人だから、わたしが見る映画とはまったく傾向が合わず。

唯一「スパイの妻」はラジオで熱く語られていたので、
それでもその気になって見てみたのだが、わたしには面白くなく。

そして今回「あのこは貴族」という映画がおすすめされていた。
「自分が年末に選ぶ年間ベスト1はこれではないかと思う」……とまでいうから。
だってまだ3月ですよ?これからこの人は30本、40本映画を見るであろうのに
この段階でそう言わせる映画って……

くそー。見たいぞ。門脇麦は贔屓だし、石橋静河は「この恋あたためますか」で
注目した女優だし。水原希子はそんなに好きな顔じゃないけど、
「高台家の人々」でけっこう良かったし。

でもこっちでは上映館はないだろうと思ったの。むしろないことを期待していた。
行くの面倒だから。
が、幸か不幸かチネ・ラヴィータでやってたんですよ。
しかも今週は1日2回上映だが、来週からは1回になる。時間も遅くなる。
見るなら今週中に見ないと。

でもそのラジオを聴いたのが火曜日の夜。……レディースデイ終わってる!
そうするとなにかい?正規料金で見ろってことかい?
自慢じゃないが、正規料金で見たことなんて……「猫の恩返し」以来ないぞ!
(嘘。多分1回か2回はあったと思う)
しかも駐車料金のこととか考えると、普段1200円とかで見ている映画が倍以上の金額。

ううっ。もし面白くなかったら、恨むぞ、内山昂輝!











そして、見た結果。










大満足だったのでした!





面白かったけれど、明確にどこがいいと言えない映画。
あらすじやテーマは根本的にはそんなに好きじゃなかったんだよね。
結末も、ふんわりしすぎていて……わたしはツライ話は見たくないし、
幸せな結末の方がうれしいんだけど、この話をカチッと作るには
この結末ではどうかなーという気がした。

が、見ていて満足な映画でした。
場面ごと、台詞ごとに充実感がある。こういうのも映画の醍醐味だなあ。

最初のタクシーの運転手さんの台詞が無神経だったので、
この調子で無神経な台詞を聞かされ続けるのではないかとオソレをなしたが、
幸いなことに無神経な台詞はこれだけでした。

あとの作りは繊細も繊細、しかも線の細さを感じさせない繊細。

家族の会話も、その雰囲気も、わかるわかると思わせる。
お姉さん2人がけっこう蓮っ葉なのもむしろそれらしい気がする。
門脇麦のお父さん、お母さんにしては両親が老けすぎていることが違和感だったけど、
よく考えたらお姉さんが十数歳離れているなら、そのくらいの年齢感。

いろんな人ととっかえひっかえ出会って、高良健吾が出て来た時の安心感といったら!
そりゃ恋に落ちますよ。あの男たちの後なら特に。
そこで門脇麦と同化する。一緒に高良健吾に恋をする。さすがにタクシーの中で
「こんなことってあるのかしら」とつぶやくのにはひいたが。
タクシーの運転手さん、よく受けられましたね。エスパーか。

雨男の設定も効いていた。高良健吾の家族との顔合わせの時に降っていなかったのは、
つまりそういうことですよね。
そういうわかりやすいところは良かった。

わたしとしては門脇麦パート、水原希子パート、もっとどっちかに寄った話に
した方が良かったかなと思った。
良かったというよりは、そうするべき話、そうした方がわかりやすい。
でも寄らないことがこの映画の眼目なんだろうな。
みんな悪くない。みんな少しずつ自堕落で(←本来は違うが周りに流されるという意味)、
少しずつ健気で、一所懸命生きてる。

たっぷりした美味しい練り切りを食べている感じ。
フランス菓子のような――華やかさとか洋酒やスパイスの存在が強く、
手がこんでいるということがわかりやすい派手なお菓子――ではないけれども、
きっちり繊細に作られている。
全て神経を使って作られていることを感じる。丁寧な仕事。


※※※※※※※※※※※※


が、けっこうあちこち場面が切り替わり、また時間軸も変わるので、
よくわからないところもあった。高良健吾と水原希子が再会するところは、
どこの時間軸なのか瞬間的にはわからなかった。

高良健吾が門脇麦にアルバムを見せたところはどこなんでしょうね?
調度からして実家だと思ったのだが、その後に両親との初顔合わせが来る。

結婚式を行なったところはどこ?結婚式場?それとも高良健吾の実家には
和館の隣に洋館があった?

水原希子と友達のシーンも何度もあるうちのいくつかは東京なのか地元なのか、
瞬間的にはわからなくて。水原希子がどんな仕事をしているのか、
具体的に語られないのも気になった。

いや、もっと気になったのは、自分の名刺がないからと言って、
自分のオトコの名刺をもらって見ず知らずの人に渡すかね?というところ。
これはビジネスとしては引く行為ではないか。別に高良健吾と同じ会社って
わけではないでしょう?

それから石橋静河が2人を引き合わせるのは、やはり疑問に思った。
対決させようと思うのでなければ、会わせることにどういった理由が……。

出しゃばりすぎではないだろうか。
そこまでして、石橋静河は何かあった時責任を取れるのだろうか。
門脇麦の性格は知ってただろうけど、水原希子の方は見知らぬ人でしょ?
なんか語っているけど、ここは納得出来なかった。


離婚までの過程はもう少ししつこく描いても良かった。
修羅場を見たいわけじゃないんだけど、どうしようもないと思わせるシーンを
もうちょっと入れておかないと。想像させることもいいけど見せるのも大事。
「もう離婚かい」と感じた。

あの場でビンタはない……と思ったが、フィクションとして可とする。
派手な場面にしたかったんだろう。

あとは最後がなあ。
正直にいえばうれしかった。高良健吾の声が突然聞こえて来た時。
「もし良ければ、後で」という言い方にキュンとした。
だが元夫婦、離婚を経験したカップルがあんな風にまた新鮮に出会えるだろうか。
うれしかったんだけどね。でも夢物語だよね。実際は無理かなあと思って。


※※※※※※※※※※※※


門脇麦は良かったですよ。好きな女優だ。
やっぱりちゃんとした脚本で演じる俳優は2割増し、3割増しで輝きますね。
その俳優が作品に光を与える。
今後も順調にお進みください。

水原希子は顔がタイプではない。
この役柄で「いい人」でいるのは難しかった気もする。でも敵視せずに見られた。
身を引く際は潔すぎてリアリティがなかったが。
二の腕が細すぎてアワレに見えたので、衣装や撮り方をもう少し考えて欲しかった。大学入学の頃の垢抜けなさが秀逸。上手いと思った。

高良健吾は、……この人、「こうら」なんですか。初めて知った。
ずっと「たから」だと思っていた。そして沖縄出身だと思っていた。
あんまりがっつり見たことないんだよなー。ちょこちょこしか。
ちゃんと名家の人に見えました。それだけでもお手柄。
そう見える人って、そんなにはいませんからね。

ちなみに門脇麦は良家の人だと思う。なので、貴族というのは疑問。
高良健吾は名家。

あっ!内山昂輝が「誰もがきっと好きになるシーン」といった
ジャムのシーンですが、わたしは好きじゃなかったぞ!
せめてスプーンで……と思った。あそこは何を表現したくて指ですくったんですか?
指ですくいたいなら、小瓶にして、最後のひとなめにして欲しかった。
それなら全然文句はなかった。
唾液を瓶に入れるとどうなるかということがわからないアホな人に見えてしまう。

あの台所、良家にしては狭くてわびしすぎますよね?そこ疑問。

石橋静河は、前述の言動の謎があったので若干すっきりしなかった。
でも演技的には不満はなかったので、引き続いて贔屓にしていきたい。
門脇麦と2人でくっついて歩いているところは可愛かったですね。
女の子たちが心底楽しそうにしていると、それだけで幸福感がある。


高齢者チームは人数が多すぎて、今一つ印象にない……。
高橋ひとみは典型的な名家のお姑さん。銀粉蝶は良家にしてはあまりに
明け透けな物言いではないかと思った。
良家はあまりズケズケ言わないものだという頭がある。
そこは「嫁入った人」のリアルなのかもしれないが。


ああ、やれやれ。とりとめなく書いた。
正直、内山昂輝が大絶賛する理由はよくわからなかった。
あとでラジオを聴き直しますが。

が、とにかく見て良かったです。高い単価になったけれどもそれより満足度が高かった。
どうもありがとう。



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☆< 新解釈・三国志 >

2021年01月07日 | ☆映画館で見た映画。
outubeでさんざん宣伝をしていて、いいところを軒並み映していたので、
映画本体がスカスカになっているのではないかと思った。
宣伝でいつにも増しておバカな映画だということは確信し、
ハードルを下げるだけ下げて参加(映画館に見に)した。

結果として面白かった。思ってたよりかなり映画でした。

ま、普通の映画を求めて見た層にはつまらなかったんじゃないかと思いますよ。
たとえ福田雄一作品に慣れた人だとしても。
ましてや三国志を見ようと思って行った層は気の毒としかいいようがない。
福田雄一という人は、真正面から真面目な心で見て楽しい作品はあまり作りません。


youtubeで見ていた部分も映画で見るとちゃんと話の流れに沿っていて、
恣意的にぶっこんできたという感はなかった。
岩田某がやった趙雲が、今思うとなんだかミョーに残る。いちいち踊るあのダンス。

大泉洋と関羽と張飛、この辺意外に映画。この2人がいい感じに演じてくれたから
すんなり入れたかな。この3人の時点であまりコテコテにやりすぎると
駄目だっただろう。
……が、すでにこの時点でコテコテだと感じる人も多い気がしてきたので、
あんまり大きな声でいうのは止めておきます。

笑わせてくれて、楽しかったですよ。
いつもの福田組のメンバーがいつものようにやってくれて満族。いや漢族。いや満足。

橋本環奈がもうちょっと出るかなーと思っていたが。
小喬役をやった人ももう少し出るかなーと思っていたが。

渡辺直美の登場シーンは思ったよりも長かったですね。
これははまり役(?)で、普通の美女がやっても面白くもないところ、
渡辺直美が演じることで3倍くらい面白かった。
佐藤二朗はともかくとして、城田優が渡辺直美に骨抜きにされるのがね。


ただ最後は眠りに落ちてしまった。
なので最後の5分10分は見ていない。まあいいか。

しかしまあ、セットには金をかけてますねー。
チープの極みのヨシヒコの初期と比べてみいや。
でもあの頃の方が面白く見られたんだよな。そのチープなところが、
可笑しみを醸し出す重要な要素になっていた。
潤沢に資金が使えるようになって失われたものもある。

でも今回は映画館に見に行って後悔はなかった。
まあ後悔した方がいるのはわかります。福田作品はそういう意味では取り扱い注意。

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☆< スパイの妻 >

2020年11月18日 | ☆映画館で見た映画。
劇場で予告編を見た時に若干食指が動いたんだけど、
でもシリアス系の映画は好きじゃないしな。
蒼井優、高橋一生は良さそうだが、東出昌大も出てることだし、止めておこうと思った。

が、気を変えて見に行ったのは、わたしがふだん聴いているラジオのパーソナリティが
「見るべき一本」と言っていたから。

この人はかなり映画を見ているらしく、
映画についていろいろコムズカシイことを喋っている。
「きっとこの人とわたしが同じ映画を見ることはないな」と思ってたが、
その貴重な機会なのか、もしかしてこの映画は。
と思ったので急遽見てみることにした。


で、その結果。








面白くなかったですねえ。

ハードルを上げ過ぎたということはある。
ラジオの中でだいぶ褒められていたからさ。普段辛口なその人が褒めるんだから、
相当な名作を期待してしまった。事前情報を入れずに見たらもう少し印象は良かったかも。
とはいえ、そのラジオを聴かなければこの作品は見てないわけで。



根本的に、わたしはこの作品、脚本に納得できないんですよね。




以下、ネタバレ……の方向に行くかもしれない。




脚本の根本的な、の前に。
まずわたしはかなり細かい。創作物に対して重箱の隅をつつくような見方を
してしまって、楽しむ能力が足りないといつも思う。

今回はまず、東出昌大の軍服姿でした。
軍服のサイズが合ってなかった。ダボダボな感じ。
背中側から見た時、とりわけ決まらない。

軍服はきちんと着ることを求められる最たる制服ですよね。
それをダブダブに着ているということは、この人は軍人としてひねった何かが
あるのではないか?と考えた。(今確認したところ、特高警察でした)
そしたら別にひねったところなかったですもんね。単にサイズの合わない服を
着せられていただけだった。

そうなると、あー、もしかして現実の苦労で痩せて体型が変わったのかも……
という要らぬ想像をしたりして、映画の世界に没入出来ない。
だからスキャンダルがあった役者の作品は見たくない。気が散るから。
猫背に見えたのは錯覚?もうちょっとピリッとやって欲しかった。


次に、自宅の室内装飾に違和感があった。
裕福な生活をしているわりにはだいぶ寂しげで、それにも何か意味があるのかと
勘ぐった。たとえば実は夫婦仲は良くないとか、実は会社が思わしくないとか。
そういうのをミスリードに感じてしまうのは仕方ないでしょう。

これはどうも、素直に予算が足りなかった模様です。
予算が足りなくても、もう少し家庭のあったかみとか出した方が良かったのでは。

中盤くらいで、蒼井優が高橋一生を問い詰めているシーン。
食べているのは夕食のメニューっぽいんだけど、光は夕暮れの光。
それで人物の顔は光と影の強烈なコントラストが出来て、それを狙ったのは
わかるが、そのライティングで夕食を食べるってのが納得できないんだよなあ……。
電気つけるでしょう、普通。と思ってしまう。
コントラストをつけたいのなら、なぜ紅茶ではいけなかったのか。
もっといえば飲食シーンじゃない方が良かったよ。食べながらする話ではなかろう。

そういう細かい部分を乗り越えて欲しいのだ。



が、この映画の脚本にはそういう重箱の隅よりもいろいろ納得できないところが。
最大の問題は蒼井優の変心。
関東軍のフィルムを見ただけで、甥っ子を生贄にするほどの変心は無理があった。

それに甥っ子が確定したら、高橋一生に対する嫌疑はさらに深まるのであって、
決して軽くはならないんだよね。

そのフィルムを映すのならまだしも……って、内容的に映して欲しくないけれども、
フィルムの内容を知らないこっちには全然インパクトがないから、へ?と思ってしまう。

せめてフィルムにそんな衝撃の役割を負わせるならば、もっとうまくやらないと。
高橋一生に死体の山の話をあらかじめさせるのはインパクト減。

これだってわたしは、「そもそも実は蒼井優の方がスパイだったのでは?」と
考えましたよ。どんでん返しがあると聞いていたので、蒼井優が実はスパイという
展開は当然ありだと思った。でなければ変節が激しすぎて不自然。


そしたら、この映画最大のどんでんはあれですからね。
全然インパクトがなかった。もっとA級を期待していた。
っていうか、高橋一生にしてみれば当然の行動だよね。
最後まで気持ちよくだまされてあれだったら気持ち良かっただろうけど、
蒼井優の前振りがダイレクトすぎて。

そして、あの状況で白昼堂々、夫婦二人が自家用車で港に向かうってあり?
特高が目をつけているはずでしょう。まさか黙って出国させはしないでしょう。
せめて夜陰に乗じて、とかするべきだったのでは……

白黒の写真をたった一枚、数秒見ただけの女が夢に出て来るにしては、
あまりにも鮮明すぎるんだよなあ……。これは重箱ですか。
精神錯乱を装ったとしても、拷問もせずに精神病院に入院させるだけなんて、
特高はそんなに甘くないと思いますよ。女だからって手加減しないと思いますよ。

他にもいろいろあって、脚本が受け付けない。雑。

あ、そうそう。細切れに話を繋げて、観客に「え?え?どんな状況?」と思わせて
あとから説明していくという手法は嫌い。
いや、手法としてはありだけど、それも数の問題ですよねー。
3つ、せいぜい4つくらいなら積み重ねるのはいいが、
5つ6つと続いていくと、興味が続かない。のれない。
だから東出の制服に気が散ったりしてしまうのだ。


それに対して役者は健闘してました。
ものすごく良かった!というわけではないが、蒼井優も高橋一生もまずは文句なく。
見ていて楽しかった。ちゃんとした役者さんの演技。

まあ舞台的な演技は好き好きですけどね。これは演出側の問題。
わたしは蒼井優の無駄な動線が気になって微妙だったが。
特に山で東出昌大に会った時、なんでわざわざ向こう側にまわって
頭を下げる必要があったのかと疑問だよ。重箱ですか。
そもそも山で会うってのも変じゃないか?山に行かせるのが唐突で……
ウィスキー?を飲んだ時の蒼井優の動線も変だった。

昭和初期の女優さんの演技を写したのは面白い試みだったと思うが、メタですよねー。
女優の演技は演技であって、昭和初期の奥様の喋り方とは違うと思う。
それをわざわざさせる監督の目的が今一つ疑問。


良かったところはね~~~~……
蒼井優と高橋一生と蒼井優の衣装ですね。でも後半はダレてダレて、退屈だった。
映画館でも途中で2人くらい退席していました。気持ちはわかる。


ただ、パーソナリティが褒めていた、横にナメるワンカットのカメラワークなどの
良さには気づかなかった。わたしが見えない良さもあるんだろうと思われる。


次は「新解釈・三国志」だー。予告編見たけど、相変わらず馬鹿だねえ。
楽しみ。でも手を抜いたユルさだったら容赦なく批判するぞ!
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☆< 風雲児たち 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと )>

2020年10月07日 | ☆映画館で見た映画。
シネマ歌舞伎。三谷幸喜だーっ!風雲児たちだーっ!と
テンションがあがって前売りを買い、それで安心してしまって、
風雲児たちのなかの何の話かも、キャストも把握していなかったから、
突然船の話から始まって戸惑った。
よく考えれば一口に「風雲児たち」といっても、色々な話がありますからね。

大黒屋光太夫の話だったんですね!

大黒屋光太夫といえば「おろしや国酔夢譚」がありますが……
さて、歌舞伎で三谷幸喜、大黒屋光太夫とはどうなることか。


かなり期待が高く――しかし前半は少々退屈になってきていた。
わりと絵柄が変わらないし、話も地味だもんね。
でも前半部の苦労を描かなければ後半にも繋がらないし、
多人数のキャラクターの見せ場を作ってあげるのが三谷さんの作劇法だから、
まあ仕方ないかなと思う。

後半になってから話が面白くなった感じ。
ただ舞台がロシアで、衣装が西洋時代もので、八嶋智人が出て来て、
特に鳴り物や語りがないとなると、ほぼ歌舞伎ではないですな。
この辺は普通の舞台劇になっていた。
舞台の広さも全く行かせてなかった。

脚本的には――三谷幸喜が大好きな「風雲児たち」を素材に書いたんだから、
つまんないわけない!と思って見に行った期待よりは、ほんのわずかに落ちたか。
前半の地味さは納得出来るけれども、納得できないのは
最後の一番盛り上がるべき「別れ」ですな。

あそこで猿之助が光太夫を「あんたについて来た結果がこれだ!」と糾弾し、
光太夫が土下座して謝り、そこからキスになって、猿之助が取り乱し、
それを振り切って光太夫がむりくり離れていく、愛之助も帰りたいと取り乱す、
それは正解じゃないと思う。

猿之助が光太夫をこの期に及んで責めるのは余計だし、
幸四郎の土下座がコミカルで全然重みがないし、
そこからキスするだけの盛り上がりには決定的に欠けるし、
猿之助が実際にすがるのも変だし、
それを幸四郎が振り放してというのも変だし、
愛之助が間抜けに見える。

ここは責めなくても良かった。むしろ光太夫が重々しく謝罪をして、
猿之助が「運命だ」と平静に言い、こらえきれなくなった光太夫がキス、
その衝撃のまま光太夫が出発し、その後姿を見て耐えられなくなった猿之助が
渾身の慟哭。しかし光太夫はその時もう花道まで来ていて、
耳にかすかに聞こえる叫びを振り切るように出発。じゃなきゃおかしい。

これはそのまま「おろしや国酔夢譚」の流れかと思いますけどね。

愛之助がいることで、若干緊迫感は削がれるなあ。
愛之助はサンクトペテルブルグで見せ場があったから、
この場にはいなくても良かったんじゃないかなあ。

猿之助の慟哭を存分に見せた上で、陰からそっと姿を現し、
その後2人の慟哭でも良かった。
そして猿之助には最後の最後は取り乱して終わるのではなくて、
正教会十字にすがって欲しかった。

ここは三谷幸喜の明確な失敗だと思う。



たーくさんいた役者たちの中で……

まず主役の幸四郎。まだ幸四郎と呼ぶには全然違和感があるけれども。
わたしは昔から、この人を評価してないんだよね。
この人、線が細い美形なので色悪はけっこうはまったんだけど、
どっしりした役がねえ……。

今回の大黒屋光太夫は「おろしや国酔夢譚」で緒形拳が演じた役。
未曾有の危機、絶望的な状況の中でみんなを導く、カリスマ性と肝っ玉の太さが
ないと話にならない。
が、幸四郎は今回単に調整役だったですな。最初のシーンなんてあまりにも軽すぎて。
あの「六百里」のところですよ。あの軽さでよもや光太夫はないと思った。

エカテリーナ謁見の場面も、本来なら光太夫の見せ場になるはずだったのに、
どう考えて白鴎の方がその場の主役だったですからね。
白鴎の迫力と輝きが強すぎて……。3倍くらいあった。
白鴎ももう少し手加減してやればいいのではないかと思ったくらいだ。
あなたの息子がもっと骨太で、がっつり組み合えるのならば
ガチの対決もいいだろうが、幸四郎にそこまでの力量はありませんよ。

わたしは何となく高麗屋を好かない。松本白鴎はすごくいい役者だと思うけど、
うっすらうっとおしいし、松たか子はいい舞台女優だと思うけど、
やはりうっすら虫が好かない。そして幸四郎は好きではない。

が、今回初めて存在を知った染五郎は可愛かったですね!
幸四郎が「親じゃあねえが」と2、3回言って観客が受けていたのを聞いても
息子だとは気づかなかったが。歌舞伎はこういう内輪受け好きですもんね。わたしも好きだ。

真面目そうに見えるので、今後愚直に歌舞伎に邁進して欲しい。
高麗屋はわりと歌舞伎外にフィールドを広げがちで、それはすごくいいことだと
思うけど、歌舞伎での力量があってこそのことだと思う。

幸四郎は歌舞伎に浸かる前の若い頃に他のフィールドに出ちゃった気がするから。
まあ幸四郎も人に合った役ならいいのかもしれないが、今回の光太夫は不可。
染五郎には親だけではなく、広く先達を見て欲しいです。


今回役柄的に得をしたのは猿之助。
一番歌舞伎的な見せ場があった。むしろ光太夫は猿之助の方が合っていたと思う。
そうすると幸四郎の出番がないわけだが。幸四郎が庄蔵を出来るわけでもなく。
今回の当てがきは猿之助に一番特化していただろうな。

別れの場面、「俊寛」の演技は良かったなー。前後の流れが超絶悪いに関わらず泣けた。
そしてエカテリーナを猿之助がやっていたのは全く気づかなかった……。
女形の顔は見分けがつかん。
ただ、ポチョムキンを目くばせで黙らせるというより、威厳で黙らせる脚本に
して欲しかった。


愛之助は良かった。細かい表情の演技が良かった。
ロシアに残るというシーンは良かったなー。
しかしこの人ががっつり歌舞伎をしているのを現時点で見たことがないので、
歌舞伎役者としてはどうなんだろうなーと思う。役者としては好きですけど。

あとは……小市良かった。が、本人を知らない……。
市川男女蔵らしいです。写楽の浮世絵でしか知らんなあ。

白鴎はやりすぎなくらい上手い。出て来ただけで全舞台を制圧する。
華があるというか、華というより溶岩のような底力というか、
まあまずすごい役者だと感じたよ。
が、一人であれをやっちゃうと舞台のバランスが崩れる。
今回の幸四郎が気の毒なくらいだ。

八嶋智人は三谷さんの自家薬籠中のものだから、脚本を書く方も演じる方も、
のびのびしている。なんだったら一番生き生きしていた。
親子二役という外し技も持ってくる……。お楽しみですね。

女形のみなさんは外国の衣装をつけていても、しっかり女形なんだなあ、と感心。
あ!あれが良かったですよ、愛之助の恋人のマリアンナ。
坂東新悟。多分まだ若いよね?今後が楽しみ。覚えておこう。
役柄的にも面白かった。面白いだけじゃなくて、しんみりもした。
その機微がうまくでていた。


最後のシーン、死んだ人も含めてみんな出て来て一列に並んで見栄を切るのは
良かったな。あれが歌舞伎のいいところ。

しかし総じて、歌舞伎の良さを十全に活かせたとはいいがたいは言い難い。
まあしょうがないよね。三谷幸喜はあくまでも他の畑から来ている人だから。

舞台としては面白かった。わたしは三谷幸喜による「風雲児たち」を
心待ちにしているので、またやって欲しい。
今回も良かったけど、また正月の特番ドラマで見たいな。

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☆< プラド美術館 驚異のコレクション >

2020年08月05日 | ☆映画館で見た映画。
大変疲れる映像でした……。

以前に「エルミタージュ幻想」という映画?を見た。
これが退屈で退屈で……。爆睡した記憶がある。
90分をワンカットで、そして豪華絢爛たる宮廷絵巻を見せてくれたり、
見どころはあるんだけれども。


今回のこれも美術館の映像作品。単なるドキュメンタリーになるのか、
何か設定をした上で見せるのか。
でもいずれにしても絵はたっぷり見せてくれるはず。
とにかくきれいな絵を見せてくれればいいや、と思って行きました。

そしたら!――絵を見せてくれなかった!

とにかくパンするというか、ナメるというか、一時も静止することがない。
延々と続くスライドショーみたいな感じ。
それに加えて1カットが短い。絵にせよ風景にせよ2、3秒くらいしか
見せてくれなくて、ひっきりなしに絵が変わる。

ほんと疲れましたよ。なんでこんなことしたかね?


わたしは絵を見たかった。絵はずらずら出て来るけれども、
とにかくナメるだけで全く全体像を見せてくれない。
NHK並みにとは言わないから、もう少しちゃんと見せてくれないとさあ。
わたしみたいに絵を見に行った人は全く不満だと思う。

内容は「プラド美術館の歴史」みたいな感じでしたな。
こういう内容だったらBBCのドキュメンタリーでいいよなーと思ったよ。
ちゃんと絵を見せてくれる分だけBBC制作の方がいいよ!

画面作り、という点だけでも上記「ナメる」「カットが多すぎ」が致命的。
もうその時点でダメダメ。


時間の関係で吹替で見ざるを得なかったんだけど、この吹替もねぇ……
まずジェレミー・アイアンズって71歳だよね?
なんでこんな若者に声をあてさせる?

喋りだしから驚いた。全然声が合っていない。なんでこのキャスティング?
世に声を当てる人が多数いる中で、なんでこれ?
おかしい。おかしすぎる。

吹替をした人は現在38歳。
なんで実年齢30歳以上離れた人をキャスティングするのか!
プロデューサー出て来い!っていうレベル。

声優さんとして研鑽を積んできた人なら、若くても老人を演じることは可能だろう。
でも今回の内容では演技力云々の話ではないわけですよ。
ナレーションで「演技」ではない。演技じゃないのに
71歳の声を出すのは、プロだって相当に難しいと思いますよ。

それに加えて今井翼という人は今回の仕事を相当に勘違いしている。
抑揚はいらないんだ、この場合!静かに語って欲しいんだ!
それなのにずっと無意味にいきってるので、聞いていて大変に疲れる。

ここはむしろ演出がちゃんと注文を出すべきだろう。それをしていない。
ちなみに他にいろいろ出たいろいろな人の声も合ってないんだよなー。
これは好みもあるだろうけど……。
今回、真面目にキャスティングしましたか?と聞きたいよ。


ある程度退屈なのを想定して行ったのだけれど、こんなに疲れさせられるとは
思わなかった。ああ残念だ残念だ。絵も見れないし。


あ、でもフラメンコの女性は良かった。
今までフラメンコといえば、華やかな衣装で美女が踊りまくるというイメージしか
なかったけど、衣装を究極まで地味に、なんだったら体の美しさが出ないように
ストイックな衣装にすることによって、フラメンコも「矯められた力の芸術」
なんだということがわかった。
能と通じるものがありますな。ちょっと見方が変わった。




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☆<グッドバイ>

2020年02月21日 | ☆映画館で見た映画。

大泉洋主演。小池栄子・緒川たまき・木村多江・(水川あさみ・橋本愛)の共演。

魅力的な作品でした。
……わたしは映画好きというほどではないにせよ、けっこう劇場で映画を
見る方だと思いますが「面白かった!」でもなく「名作!」でもなく、
魅力的だと思ったのはそんなにない。

単に面白かったというよりも一段上を行く作品でした。作りが魅力的。
無から有を生み出すフィクションの良さを味わいました。

戦後すぐの話。……うーんうーん、戦後すぐかー。
わたしの戦後のイメージと違うなあ。主にファッションの点で。
まあその分野はわたしの詳らかにしないところだけれども。

その舞台っぽい作りが好きでした。と思ったら、元々舞台だったんですね。
そして賞も取っている。ケラリーノ・サンドロヴィッチってのも見に行った要因だが、
奥さんが緒川たまきだというのは初めて知った!


大泉洋が主人公にぴったりでしたね。可愛げが。
愛人を11人持つ男。それを全員精算して、奥さんと子どもを実家から呼び戻す、
というところから話が始まるので、11人全員登場するのかと思ったのですが、
さすがに4人で打ち止めでした。

その4人の愛人プラス本妻の競演が面白かったですねー。
やっぱり本作の手柄は小池栄子だと思うー。いつの間にかここまで来てましたか。

わたしは小池栄子が女優になりたての頃見た何だかで(多分「下妻物語」)、
「グラビアアイドルにしてはいい演技するな」と好感を持ったのだが、
それ以来がっつり見たことはなく。ゲスト役ではちょこちょこ見てたが。

今回見てびっくりしましたよ。
こういう言い方をしたらなんだが、最初、これ本当に小池栄子!?と思ったくらい。
声も喋り方も作って来ましたねー。そして汚い役ときれいな役の対比が!
正直、小池栄子にこんなに「美人で上品」という連呼がはまるとは……!

表情も見てて楽しかったしねー。可愛かったですよ。目がきらきらしていて。
そうか「魅力的な作品」だと思ったのは、
小池栄子の魅力が良かったという意味なんだな。
雰囲気が似ているという意味ではないけど、「アメリ」のオドレイ・トトゥの
表情の魅力を思い出させる。


で、それに次いで緒川たまきと木村多江がどんと控えていたと。
緒川たまきは若い頃から独特な雰囲気でしたねー。好きな女優さん。
久々に見た本作では、その独特な雰囲気にプラスして、もっとぶっ飛んでました。
それはそれで面白かった。笑えました。

木村多江は最近「あなたの番です」の怪演や、
「チコちゃんに叱られる」での奇演が常態なので、今回は意外と普通の役。
しかし普通の役を演じつつ、
そこから透けて見える怪優ぶりが役に面白みを与えていた。


劇場ではところどころ笑いも起き、面白かったです。
終盤は、まさかそう来るとは!という流れだった。
ちょっと無理も感じたけど、濱田岳の演技で自然に引っ張られた。

……あっ!濱田岳も良かったですね!
濱田岳もえらくなりましたねえ。クレジットが戸田恵子より後。

あっ!戸田恵子も良かった!実は見ていて、誰だろう?と思っていたが、
言われてみれば戸田恵子以外の何ものでもなかった。


これ、太宰治の「グッド・バイ」の翻案なんですねえ。
太宰治は高校の頃に何冊か読んで、その時すごく嫌いだったので、以来読んでない。
まあ映画が面白かったからといって小説は読まないと思うが。

 

 

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