プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

せんくら 仙台クラシックフェスティバル2023。

2023年10月04日 | その他映像関連。
せんくらは初期に1、2回行ったような気がするが、それ以来行ってなかった。
いつでも行けると思うとなかなか行きませんね。
今年はようやく重い腰を上げました。

その気になってプログラムを見ると、行きたいプログラムがたくさんあって迷った。
興味が湧くものは5つ6つあったけど、3日間詰めるのもちょっと面倒で、
2日間で3つに収めた。まあ6つも行くと金額が万を超すというのも理由だった。
気軽さがなくなる。

久々に。音楽を聴いて、良かったですよ。

せっかくなので軽く感想を残しておく。
子どもの頃にピアノを習っていた、若い頃に仙フィルの定演に何年か通った
(もらったタダ券により)というだけの人の感想。念のため。


9月30日 16:45~17:45 4人のピアニストによるガラ・コンサート。

松田華音
ラフマニノフ「12の歌」より第5曲「リラの花」
ラフマニノフ「音の絵」より第6曲「赤ずきんちゃんと狼」
ラフマニノフ「楽興の時」より第6番

「リラの花」の冒頭がオーガンジーのようにふわあっと始まる。
この人はペダルの使い方が上手いんじゃないかな。響きが柔らかい。
久々のピアノ。トップバッターの弾き手だからそこまで期待値は高くなかったが、
思いのほか満足度が高かった。

小井戸文哉
スクリャービン 2つの詩曲
スクリャービン ピアノソナタ第4番

硬い弾き方で、あまり好みじゃなかった。スクリャービンの曲というのも馴染みがない。
指がよく動いていた。

牛田智大
ショパン バラード第2番
ラフマニノフ ヴォカリーズ

少年の頃のヴィジュアルしか記憶にないので、大人になったなーと思った。
小さい音の繊細さ。メロディを単音で弾く時の左右のバランスが良かった。

福間洸太郎
ショパン 英雄ポロネーズ
ラフマニノフ 「楽興の時」より第3番、第4番

この人は最年長らしくて司会を任されていた。素人っぽさもありつつ、
一所懸命喋っていて好感が持てた。
演奏は、軽やかなところはすごくいい。反面、ガツガツいく時にもっと音の
エッジが立って欲しいような気がした。だから「英雄ポロネーズ」は
選曲としてはあまり似合わなかったように思う。

演奏には、お喋りをするような親しみやすさを感じる。
本人にとっては不本意かもしれないが、映画音楽なんかを弾いてくれると似合うと思う。


9月30日 19:45~20:45 仙フィル歴代コンマス・主席演奏者による8人演奏。

渋谷由美子
森下幸路
西江辰郎
神谷未穂(以上ヴァイオリン)

佐々木真史
井野邉大輔(以上ヴィオラ)

原田哲男
吉岡知広(以上チェロ)

モーツァルト ディヴェルディメントK137
メンデルスゾーン 弦楽八重奏曲 変ホ長調 作品20

演奏前に10分ほど仙フィル事務局の方らしき人によるトークあり。
相方として演奏者のうちの誰だかが出て来てくれて、
「渋谷さんと森下さんの音を久々に聴いて、当時の音を思い出し感涙した」
という感動的なお話をしてくれたんだけど、残念ながら名前を忘れた……

わたしは渋谷さんが懐かしくてねえ。
演奏家としてどうこうということはわからないんだけど、その佇まいが好きだった。
当時のコンマス。定演でスカートの裾を翻してツカツカと歩いて来る姿を見るだけで
テンションがあがった。
ごくまれに、曲の(コミカルな)演出で、しっちゃかめっちゃかなステージ上、
渋谷さんが指揮者の腕をひっぱったりしていた。
コンマスが森下幸路に交代した時は釈然としなかった。

お変わりなくて嬉しかったですよ。相変わらず裾を翻してツカツカ歩いていた。


演奏は、可愛くて、明るくて、まろやかな音。
コンマス・主席奏者の集まりだから、技量的には何の不安もない。
柔らかな音に心をマッサージされているようだった。

だが8人に対して青年文化センターのコンサートホールは少し広すぎたかもね。
わたしが聴いてたのは中央の席で、バランスは多分良かっただろうと思うが、
やはり少しボリュームが物足りない。
だからこそオーケストラが聴きたくなった。

曲の合間に現コンマスの神谷未穂がMCで、各人のミニインタビューをしてくれたのが
楽しかった。時間がなかったので各人ちょっとずつだったけど。
当然渋谷さんはトップで、楽しそうに喋っていた。
MCも上手だったですね。音楽業界の横の繋がりはけっこう広いんだなあと思った。


10月1日 19:45~20:45 グランドフィナーレ

仙台フィル 
ピアノ独奏 福間洸太郎
指揮 松本宗利音(まつもと・しゅうりひと)←どんなDQNネーム、と思ったが、
ドイツの指揮者・シューリヒトの夫人が名付け親というから文句をつける筋合いはない。

実はグランド・フィナーレの一つ前の「フィンランディア」を聞きたかったんだけど、
手違いによりこちらのチケットが来た。まあしょうがない。

……しょうがないが、昨日もけっこうラフマニノフを何曲も聴いて、ここも3曲
ラフマニノフで、まあ曲自体個別識別が出来ているわけじゃないからいいんだけど、
やはりわずかに食傷気味。フィンランディアが聴きたかったなあ。

ピアノは前日に聴いた福間洸太郎。燕尾服?でよりフォーマルに。

仙フィル。
当時の音なんて覚えてないが、こんなにまろやかだったかなあ、と思った。
多分人数増えましたよね?全体を見渡せる位置ではなかったので、
どの楽器がどのくらいいるかはっきりわからなかったが、
とりあえずヴァイオリンは相当増えた印象。当時は十数人じゃなかったか。
今、20人くらいいる?

そりゃ舞台上にバルコニー置いている場合じゃないよなあ。
バルコニー取った今の状態でも狭く見えたもの。

シンバルをあんな使い方するなんて初めて聴いた。

現コンマスの神谷未穂が、渋谷さんとの前日にはなんだったら若手感まで
出していたのに、この日は肩で風を切るように姉御的に入って来て笑っちゃった。

福間洸太郎。
穏やかにお話をするような弾き方は昨日と同じ。
そしてもうちょっとエッジを立てて欲しい気がするのも昨日と同じ。
オーケストラとピアノが似た音域を出す場面でオーケストラが盛り上がると、
ピアノが聞こえなくなる。
わたしの席は反響板の恩恵をあまり受けない席だったせいかな。
軽やかな音は気持ちがいい。手首の柔らかな、優しい音。



楽しかったよ。ずっとニタニタしながら演奏を聴いていた。
やっぱり生演奏の功徳はありますねえ。音の波がマッサージしてくれる。
まろやかな音で。

ありがとう。楽しかった。
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<  ハイキュー!!のラジオの話。>

2021年08月05日 | その他映像関連。
わたしは「ハイキュー!!」がすごく好きで、近年にない大名作だと思っている。
ちなみに他のマンガを読んでるのかというと、ほぼ読んでないんですけどね。

他のといえば「俺物語!!」の前半はかなり面白く読み、後半は飽きて読まず、
「花よりも花のごとく」も面白かったんだが飽きてしまい、
ここ20年の新作(?)は多分その2つくらい。
とはいえ、それまで読んだことがなかった「スラムダンク」と「ワンピース」も
この20年の間に一気読みしたので、そういうものも含んではいる。

でも「スラムダンク」も「ワンピース」もさしおいて、面白いですよ、
「ハイキュー!!」は!!


しかしそんなことをいいつつも、わたしはマンガの方は10巻くらいまでしか
読んでおらず、もっぱらアニメに拠っている。
まずマンガを読んだらどうだ?という意見はあるかと思いますが、
アニメで見たいんだよねー、最初は。

でもアニメもなかなか進まなくてねえ……。
大事に作ってくれてるからこそだろうけど。


そんな心のスキマをわずかながらも埋めてくれるのは、
1ヶ月に1回の「ハイキュー!!烏野高校放送部」です。
アニメイトが作ってくれているラジオ番組で、このサイトで聴けます。

ハイキュー!!烏野高校放送部


主人公の声優の、村瀬歩と石川界人がパーソナリティを務める、基本的には
月一回のラジオ番組。アニメではよくありますね。こないだ100回を越えました。

わたしがハイキューを知ったのはシーズン2の再放送からだし、
ラジオを知ったのはそこからさらに後だったから、聴いている期間は短いけど、
よく考えてみるとラジオは2014年からやってるんですねえ。足かけ8年。
当初は大変ぎこちなかったらしい村瀬&石川ペアも、息ぴったりの相棒として
成長しました。

このラジオの何がいいって、声優たちが「ハイキュー!!」を熱く語るところ。
というか、語れるところ。

いや、我々見る方はね。いくらでも熱く語れると思うんですよ。
みなさんが苦労して作り上げた純度の高い完成品を見ているオタクな我々は。

しかし中の人たちが本当に熱く語るのは実は難しいことじゃないかと思う。
なんとなれば、彼らは裏側も知っている。他の凡百の作品であれば、
適当にやっているところだってありますよ。
脚本だって、視聴者の嗜好に迎合したりもするだろう。
視聴者がつかなければ商業的な成功はないんだから。そういう意味でなら、
どの作品でも真剣に追求していると言えるかもしれない。視聴率を。

しかしそれと人生の真実としての創作物の価値が常に結びつくとは限らない。
創作の世界において、人生の真実を含む作品なんてほんのわずかだ。
特に溢れるように作られる昨今のアニメ界においては。
人生の真実だけが創作の価値であるとは思わないが、しかし多すぎる、
単に消費されるために生まれる作品たちは。

でも「ハイキュー!!」は、人生の真実が珠玉のように散りばめられた作品。
具体的には、名言が山のようにある。その珠玉を大事に大事に、
丁寧に作品として作り上げた原作と、その原作を大切にしたアニメという
奇跡を起こしている作品。

さらに奇跡を積み上げているのは、そのキャスティング。

わたしは「ハイキュー!!」まではほとんど声優個人のことは知らず、
声優の名前はいくらか知っていても、思い入れなどは何もなかった。
が、このラジオでいろいろ知ってみるとですねえ。

キャストと役柄がこれほどマッチした作品は他にないのではないか、
空前絶後、今後もあり得ないのではないかと思ったりする。

そのキャストたちが、倦むことのない愛情をこめて作品を語る。
100回越えてですよ?全部が全部作品について語っているわけではなく、
単に騒いでふざけている回もないではないが、
今に至るまで愛情を持ち続けられる、語り続けることが出来るというのは、
その作品がいかに濃密な内容を持っているかを物語っている。

また、驚異的なのは、時々登場するゲスト。
役柄としては小さい役といえば小さい役なのに、みんながみんな、
語るべきことを持っている。
それは出番が短いとはいえ、ちゃんと役柄が生きている証拠。
小さな役にも見せ場があり、人生の真実に触れた台詞がある。
ありますか、そんじょそこらにそんな濃密な作品が!


……ラジオの良さを語っているのか、作品の良さを語っているのか、
なんだかごっちゃになってきましたが、
「ハイキュー!!」好きな人でラジオの存在を知らない人は、もったいないので
早く聴いた方がいい。
なんとなればラジオはアーカイブが近々4回分しかないから。順次消されてしまうから。

今年の年明けの内山昂輝がゲストの回なんて良かったなあ。
作品の中身にも触れつつ、声優同士のわちゃわちゃもありつつ、
(内山昂輝は何度もゲストで来ているが、その間の内山――村瀬――石川の
関係性の変化も本当に面白い)聴きながらニヤニヤしてしまう。
もうアーカイブから消えてしまいましたけどね。

最初から聴きたい人にはラジオがCDにもなっています。
これって珍しくはないんですか。番組付属ラジオが8年も続き、CDにもなる
なんてこと。よく知らんけれども。
こちらは第13巻が昨日発売されたばかり。

自分で買うかというと買わないのだが。10億円が当たって
死ぬほど収納がある家を新築出来るようになったら是非欲しいと思う。
……いや、一枚くらいなら今でも買えないわけではないが、
13巻もあると、そしてさらに続くとなると、
全部買う前提じゃないと買えないような気がして。


アニメも早く次が出ませんかねえ。
予想としては、……まあ第4シーズン2期が去年の10月(予定は7月)だから、
早くても今年の年末のジャンプフェスタで製作発表、放送は来年夏、という流れか。
来月の8月19日、ハイキューの日に発表、来年1月からの放送、
……なんてことはないだろうな。

待ち望む。




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「笑の大学」(舞台をテレビで)

2021年07月21日 | その他映像関連。
「笑の大学」はそれはそれは昔に、映画館を稲垣吾郎で見ました。映画館で。

今となってはほとんど内容は覚えていないけど、そこそこ面白かったという印象。
ただ、舞台の方が面白いんだろうなあ、という感想を持ったのは覚えている。
それから十数年経ってテレビで舞台版を見てみた。

西村まさ彦と近藤芳正。わたしは映画も2人劇だった気がしてたんだけど、
映画の方はけっこうな人数が出て来てたんですね。
貫一・お宮が真島秀和と木村多江なんて……。十数年前だと、彼らの役者としての
立ち位置も今と違ったんだろうし、久しぶりに見てみたい気がする。


こういっては酷だろうが、やはり舞台の方が面白いですよね。
西村まさ彦と近藤芳正はお互いの呼吸もわかってるし、これは舞台で十全になる脚本。
これを映画に作り直すのは難しかったろうなあ。
しかも稲垣吾郎と役所広司。稲垣吾郎、決して悪くはないと思うけど、
テンポがいい役者ではない。役所広司もテンポや軽みで売る役者ではない。

映画だと小品として世に出すということが難しいからね。
映画というだけでわざわざ感がある。ここからしてもう、舞台版にはかなわない。
映画の監督も、引き受けるのに難色を示したらしい。
「すでに舞台で完成している話をどうやって映画に」と。
だよなあ。

芝居としては多少短めだが、とにかく1時間何十分を2人で演じるわけで、
その台詞量といったら半端ない。途中、ちょっと滑舌が悪いところや
間違ったところもあるけれど、それにしても大変な芝居。
2人の役者はさすがである。おつかれさまでした。


が、最後の最後、下ネタで締めるのはどうかと思ったなあ。
お見事!じゃなくてもいいから、もっと普通に終わらせてくれれば良かったのに。





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< ナウシカ歌舞伎 >(感想・その2)

2021年03月13日 | その他映像関連。
総論はその1で書き、今回は各論。
そう大げさにいうほどのもんじゃないが。


菊之助は。
やはりこの人ありきでナウシカは成立したもんだと思うよ。
わたしはあまり愛着のある役者ではないけど(見る機会がない)。

この人の血筋≒ネームバリュー≒歌舞伎界に占める位置でこそ、できたプロジェクト。
こんなに人を集めて、セットも衣装もここまでお金を使う舞台なんて、
そのへんの役者には出来ませんからね。


正直、今回のナウシカの造型は……これでいいのか?という疑問は若干あった。
ヒロインとして魅力的でないことはないけど。でもこれがナウシカか?
ナウシカはもっと強くて猛々しいものを秘めていなければならないのではないか。
それはあくまでも秘められたもので、表面に出て来てはいけないけれど。

そう思うと、菊之助のナウシカはちょっと優しすぎた。なよやかすぎた。
ただ可憐さはあった。声も美しくて、所作もきれいで――まず文句はつけられない。


現時点では菊之助以外がナウシカを演じてもだめだと思う。
その時、その場の舞台は成功するかもしれない。が、ナウシカという演目を
継続できる可能性があるとしたら、それは音羽屋や成田屋などわずかな家だけだろう。

菊之助は美しい顔を持ち、女形が不自然じゃない人。
歌舞伎の女形は単に女性らしく見えるということだけが価値ではないが、
ナウシカだったらやはり可愛い女性に見えて欲しい。
他の同年代の御曹司で、女形「も」やる人はいるけど、可愛いとはいえないだろうな。
線の細さで幸四郎が可能性を残すが、わたしはあまり評価しない。年齢も年齢だし。

菊之助も年齢的にはぎりぎりだったな。
初演時に50歳とかではさすがに無理があったに違いない。
出来るなら10年以内に2回くらい再演して――20歳過ぎくらいの丑之助に受け渡す、
という形が良さそうだ。6時間舞台の主役を20歳そこそこで張るのは
無理があると思うので、間に一人くらい挟むとしても。


※※※※※※※※※※※※


今回の「ナウシカ」では、とにかくクシャナが良かった。
クシャナ良かったよおおおお~~~!七之助!
まあ元々わたしはあそこの兄弟が贔屓なので、贔屓目で見てしまうかもしれないが。

クシャナが、いたねえ、そこに。
出番もかなり多くて出て来るたびにうれしい。
見ててうれしいほどにはまっている役柄ってそうはありません。

まずクシャナとして求められるのは凛々しさ。それは十分だった。
次に包容力。ナウシカを受け入れるのも、クロトワを許すのも、
第3軍団の兵士たちに慕われるのも、包容力があるからだと思うんだよな。
これも感じたねえ。

父と兄に対する葛藤はもう一歩踏み込んで欲しかった。脚本的に。
でも七之助が演じている部分は十分。

今後七之助以外がクシャナを演じることがあるとしたら、物足りなく感じてしまう
だろうというような出来でした。完璧。眼福でした。


※※※※※※※※※※※※


松也が~~~~。ユパさまやってんかいっ!
と驚いたが、なかなか良かったです。

ユパさま45歳だからね。一体宮崎駿は何を考えてこのキャラクターを
45歳に設定したのかといいたいが、これで45歳だからね。
松也36歳の実年齢と、そこまで乖離しているわけじゃないんだよね。

松也は、特別贔屓とはいえないが、出て来ると贔屓目で見てしまう役者。
多分「知られざる物語 京都1200年の旅」のナビゲーターで見たのが最初なんだよね。

この番組を、猿之助=亀治郎が好きだから、年に数回は見ていて
――好きなのに数回しか見ないのは、旅番組としてはそんなに面白くなかったから―猿之助が忙しくなった頃に、実際の旅人が歌舞伎の若手に変わったんだよね。

それが松也。わたしは猿之助が見たかったのでがっかりし、
松也に変わったことがあまりうれしくはなかった。

その頃はちょっと暗い感じでしたよ。イメージとしては上目遣いの狷介な人。
テレビには慣れてないようだけど、どうせこの人も歌舞伎の御曹司なんだろう。
すぐ大きな役をやるようになる、その手前で顔を売ってるだけなんだろう。
……と思っていたが、この人苦労人なんですねえ。さっき知った。

歌舞伎の世界で若くして父を亡くして苦労する……というのは実によく聞く話だが、
この人もそうだったんだって。
20歳そこそこで父の代からの弟子を3人抱え、借金も抱えて苦しんだそうだ。

今から考えれば、わたしが初めて見た頃はその苦労の時期がようやく終わるか
終わらないかの時期か。苦労が表情に影を落としていたのか。

でもとにかくその番組で顔を覚えたものだから、松也が出て来ると
その度に「あ、松也だ」と思い。松也だと思うたびに少しずつ親しみは
感じていくわけですよ。贔屓とまではいかないが。

「おんな城主 直虎」の今川氏真役は良かったですねえ。
白塗りの、腰抜けの、お公家さん風大名。でもあの話では最後の方まで
ちらっと出て来て、見てくれに反して義理堅いふるまいをするんだ。
無力だけれど。いじらしかったね。

「オペレッタ狸御殿」も、おや、松也だ。と思った。
それでもなかなか歌が上手かったので驚いた。ほほー、こんな才能が……

近年はけっこうテレビで見るようになっていましたね。
あんな上目遣いの狷介な人っぽかった人が、ずいぶん明るくなった。
順調に大きくなっている。


そしたら、今回はユパさまの役だって!ええっ、松也が!?
でも重厚さが出ていた。やっぱり脚本的にそんなに見せ場は作れなくて、
場つなぎ的になっちゃうんだけど、その中でかなり健闘していた。

わたしが見た録画の時は、場面転換にだいぶ時間がかかったらしく、
ずっとテトの後をついてまわらなきゃいけなかったようだが、
その間に場を白けさせなかった。
死ぬ時はもう少し見せ場を作ってあげたかったねえ。

歌舞伎で松也を見られたのは初めてなので、見られて良かった。


※※※※※※※※※※※※


その他の人は、あまり知らないので言及できません。
そもそも役柄自体を思い出せてない。

歌舞伎は設定を詳細に理解する必要はないという前提でいうなら、
ケチャの中村米吉が可憐で良かった。
でも女形をやるならもう少し華のある名前の方が良かろうなー。

チャルカはそもそもいい役。中村錦之助がはまっていた。
クロトワもいい役。片岡亀蔵はたしかどこかで楽しませてくれた記憶が……
あ、「阿弖流為」の蛮甲ですな。こういう役がはまるんだね。

「右近」と聞くとわたしの中では前の市川右近なのだが。←現市川右團次ですね。
ユパさまは、わたしは右團次のイメージだった。
尾上右近はこれから来ますね。わたしが知らないだけでもう来てるのか?
ほほう、「ワンピース」でルフィか。イメージ違うけどなあ。
わたしが見た時は猿之助だった。

中村吉右衛門、市川中車を声に持ってきているのは上手い使い方だったのでは
ないでしょうか。


※※※※※※※※※※※※


ストーリーはもっと練り上げて欲しい。
特に後半。特に終盤。特に最終盤。

たしか原作も大風呂敷をたためずに終わったはずだから、その派生作品である
歌舞伎にきっちりとした結末を望むのは荷が重いかもしれないけれど、
これから創り上げて欲しい。

ジブリの鈴木Pも言ってましたよ、「風の谷のナウシカという名前さえ変えなければ
何をしてもいい」と。
これはある程度の基礎的な信頼があるのと同時に、この原作をまとめるのは
無理だな、という判断があるせいではないかと思う。

――ま、わたしは鈴木Pの言葉を聞いて「宮崎さんはそうは言わないだろうけどなあ」
とは思いましたけどね。むしろ宮崎さんは他の誰がどんな風に作っても、
世界の全ての人が素晴らしいと言ったとしても、他人が介入したナウシカを
気に入ることはない気がする。


終盤。連獅子を持ってくるのは、歌舞伎的にはよくわかる気はするけど、
ナウシカとしてはそれじゃあ収まらない気がするんだよね……
歌舞伎をよく見ている層にはアピールするかもしれないが、
6時間の話の最後に近い見せ場が連獅子というのは地味だ。

そこに限らず、舞踊部分はだいたい邪魔だと感じた。
菊之助の舞踊が見せ場なのはわかるが、中盤の舞踊は長すぎた。

そして話のあの流れででクシャナとヴ王の親子の葛藤の話になってしまうと
ナウシカの主人公の立ち位置が微妙になってしまうわけでね。
そこで最終盤のバラバラ感になってしまう。尻すぼみ。


難しいけど、新しい結末を作るべきなんじゃないだろうか。
そうすることで忠臣蔵のように伝統になり得る演目なんじゃないだろうか。
期待したい。



どこをどうしたらいいかはわたしも目下、ノーアイディーア。
そのうち原作のマンガを読み直して検討したい。


 
久々に長文を書いてしまった。
最近そういう欲が全然なかったので、内容はともかく、
書くことが出来てうれしいですよ。
どうもありがとう。


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< ナウシカ歌舞伎 >(感想・その1)

2021年03月10日 | その他映像関連。
年末頃だろうか、尾上菊之助のドキュメンタリーをテレビで見た。
わたしにとって、尾上菊之助はあんまり親しみのない役者。
バラエティにも出ないし、(わたしが見る)ドラマでも見かけない。
唯一、蜷川幸雄の「グリークス」でオレステスを演じていたのをテレビで見たくらい。



ドキュメンタリーを見て、真面目だなあと思いました。
実直に真面目。面白みはないのかもしれない。
役者にカメラの前で喋る面白みは必要ないかもしれないが。

へー。「ナウシカ」作るのかあ。
そりゃーチャレンジだなあ。かなり大変そうだ。
実際ちらっと制作風景も出ていたが、やっぱり大変そう。
見てみたいものだが、ちょっと歌舞伎座には行けないし、チケットもお高いだろう。


※※※※※※※※※※※※


そしたら!この正月にテレビでやってくれました。ひゃっほう。

……が、放映時間に「は?」と思う。
3時間ずつの6時間??どう作ればそんなに長く……と思ったら。

まさか原作マンガ7巻全部の内容をやるとは思わなかったね!
ひっくり返るほど驚いた。いやー、それは無謀だろう。
絶対破綻する。まともな話になるわけない。

そういう思い込みにより、とにかく斜に構えた状態で見始めるわけです。
あの複雑な話をどんな立ち位置で語ろうというのか。
多分、途中で見るのを止める出来だろうと思っていた。話になるわけがないと。

――そしたらまあ、話が実直ですねえ。
もちろん映画そのままとは言わないが、思ったよりもはるかに映画をなぞった形。
端折っているところもあるけれども、細かいエピソードもわざわざ拾って。

この「わざわざ感」がネックになると思っていた。
こういう大作を芝居にするならば、わたしは切り取り方の問題になると思ったんですよ。
いかに大どころをつかみ取り、そこを際立たせ、それ以外の細部をいかに大胆に刈り込むか。
それが成功の唯一の方法だと思った。そこにしか活路はないと。

でもこの作品は、呆れるくらい一つ一つのエピソードを積み上げていくの。
「これを語っている尺で話を進めた方がいいんじゃないか……」とか思いながら
見ているのだが、舞台はじりじりと進んでいく。
映画のあのシーンはどう描くつもりなんだろう、
カットするんじゃないか、ここはどうするんだろう。
そんなシーンもほとんど映画通り。

そんなにわざわざ描いて、絶対飽きると思ったんだよなー。
映画と歌舞伎の没入具合は違う。映画ではもう少しダイレクトに説明できることも
歌舞伎では3割くらいしか伝えられない。歌舞伎は情報量の多い台本には向かない。

が、予想に反して飽きませんでした。我ながら大変意外なことに。
前口上を多用していたとはいえ、情報の説明は十全だったとはいいがたいのに。
我々は映画を見てるし、なんだったらわたしはマンガも持っている。
でも読んだのはずいぶん前だし、話はうろ覚え。

こんな話だったけかなーと記憶を掘り起こしながら見ている。
が、十分な情報を与えられなくてストレスを感じるはずの脳から特に不満は
聞こえてこない。目からは快感が伝わってくる。
=面白く見続ける。


※※※※※※※※※※※※


全7幕(?)の大作。さらに場は細かく割られ目まぐるしいほど。
わたしは一般的に、作品の場面転換は少ない方がいいと思っている。
あまりに多い転換は未熟で興を削ぐと。

映画の部分は1時間半くらいだろうか。実直にいちいち描いた。
映画はいいだろう。ストーリーは頭に入っている。
だがそれ以降の話は覚えてない。絶対に飽きるはずだ。

……が、これもけっこう飽きない。
ストーリーをぼやーっとしか覚えていない状態で。

土鬼国はどういう立ち位置だったかなあ……。
ナムリスとミラルパを覚えてない。
マニ族僧正は大事な役のわりに登場シーンは超短いよねー。
森の人、蟲使いの立ち位置も覚えていない。

その程度で見ても十分楽しめました。不思議だ。


※※※※※※※※※※※※


6時間見終わって思うが、これ、愚直に作ったことの勝利かも。
わたしは、先に言ったが、この企画を成立させるためには大ナタをふるって
原作を精製するしかないと思ってました。6時間ってのもそもそも無謀だし、
マンガ自体にしたって――書こうとしたことは素晴らしいのかもしれないが、
全体的にすっきりかっちり成立しているとはとても思えない原作。

これを舞台の板の上で、わけのわかる話にするのは無理だろう。

が、菊之助は――菊之助がどの程度脚本に関わっているのかは知らないし、
脚本家の信念かあるいは無策によってこうなったのかもしれないが――
これをあまりいじらずに歌舞伎としてあげた。

ここには歌舞伎の家に生まれ、歌舞伎にずっと浸かって生きて来た人の
歌舞伎への信頼があるんじゃないだろうか。

むしろ他の選択はないのかもしれない。もっと他の劇の形式を知っていたら
選ばなかった作り方かもしれない。
一つ一つ積み上げて作り上げた直方体。シンプル。
それだけで十分人々を動かす。
その歌舞伎の力を信じていたということなんじゃないか。


※※※※※※※※※※※※


これはもしかすると残る作品になるかもしれないなあ。
今後のメンテナンス次第だろうけど。

忠臣蔵は誰でも知っている、当時のセンセーショナルな事件を基にして作られた。
でも現代はもうそんな作り方はできない時代。東日本大震災を基にしたり、
コロナ禍を基にしたりはできない。江戸時代の歌舞伎が持っていた
ジャーナリスティックな役割は今の歌舞伎には全くない。

そうすると、みんなが共有できるのはみんなが見た映画、ドラマ、アニメ。
そういうことになるのではないかと思う。

歌舞伎は観客が共有している知識を頼りにして作られる。
歌舞伎の中だけですべてを説明することはできないから。
近年新作歌舞伎として作られるものに「ワンピース」や「ナルト」など
大人気アニメが出て来てるのは、みんなが知っている物語だから。


今回のナウシカは何度も繰り返し演じられれば、古典として残っていく可能性が
あるかもしれない。話をもっと整理していければ。
数年に1回は上演して、歌舞伎を見る人に定着していければだけど。

テーマが深いしね。
歌舞伎の演目にテーマの深さは必須ではないけれど、深い方が話に広がりが出る。
最終的には、原作を越えて話が整理されたら最高。そこまでは求めなくてもいいけど。

これは思い切って6時間かけて全7巻を描いたお手柄。
映画部分だけではそうは思わなかったと思う。
大河ドラマです。いわば。

今後ブラッシュアップ出来ればいい。
だがブラッシュアップが出来なければ、今回のただのお祭りで終わってしまうだろう。
「あのナウシカを歌舞伎にしてみました」というだけの。

人数も衣装も、セットにも大変金がかかるこの舞台、
今後長く上演するつもりで作ったのかどうか。
繰り返し演じていくつもりなら、その取り組みは100年後に吉と出るかもしれない。


……と、総論的な感想は以上。
各論的な感想はまた別に。


マンガの方も読み直したくなったなあ。
あれは5巻だか6巻までが出ていて、間が空き、最後の7巻は何年も経ってから出たはず。
帳尻合わせの感が無きにしも非ずだったような気がする。
それがゆえにそこまで感銘は受けず、1回読んだだけだった気がするけど。
もう1度読んでみよう。どんな終わり方をしているのか。



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< 夢の本屋をめぐる冒険 >

2021年02月02日 | その他映像関連。
世界のお店を紹介する番組は山ほどあり、珍しくもないのだけれど、
これは取り上げたお店が良かったな。

パリにあるシェイクスピア&カンパニー書店。
わりあい最近、この店についての本を読んだ。



面白い店だったねえ。
2000年頃のお店について書いてあるはずなんだが、その年代感が合わない。
50年くらい合わない。1950年くらいの話に思える。


現在のお店はどうなんだろうと興味があった。
インターネット上で確認すると、だいぶこじゃれた本屋になってしまっていて、
ちょっと残念な部分があった。バンカラなところが真骨頂だと思っていたのでね。


テレビに映ったお店はバンカラ風なところは欠片もない、とても素敵なお店。
本に書かれているお店とは違ってしまった感じ。
美人のオーナーとすてきな本、乱雑だけれどそれもおしゃれ、というような。

こちらを先に見ていたら文句なく魅了されたに違いないのだが、
バンカラで定着してしまったので、こんなおしゃれなお店になってしまったことに
ちょっぴり複雑。
でも、行きたいなと思わせる魅力的なお店ではあった。


中国の「先鋒書店」。これは初耳。

番組で取り上げた支店の一つは元駐車場だった広い建物。
駐車場の床をそのまま残してあるので、屋外感がある。
矢印とか。中央線とか。ちょっと面白い。
あと礼拝堂のような大きな十字架とか、傾斜した部分とか、
そういうところが造型的には面白いところ。

この本屋さんは場所自体の魅力というより、その取り組みが面白いんじゃないかな。
イベントも数多く発信しているようだし。

何より面白いと思ったのが「盲選」。一瞬何事かと思うが、これが本の福袋。
客は中身を知らずに袋ごと本を買っていく。
面白そうだなあと思うよ。ココロが狭いわたしは絶対に買わないけどね。
むしろ作らせてくれるのだったら、作る方は作りたい。

これは本屋さんどこでも実行可能なアイディアだから、
日本でもやってみる本屋さんが出てもいいんじゃないか。

前に地元の本屋で処方本を見たことはありましたけどね。
文庫本1冊が処方薬風紙袋に入れられて、たとえば「失恋した時」「出かけたくない時」
「夜中に孤独を感じた時」とか書いてあるの。
これはこれで面白かったけど、1冊だと外れた時につまらないんだよなあ。
最低5000円で作れるのなら、ちょっとは楽しめるかもしれないが、
めくらめっぽうの本に5000円出すのもツライ話だ。


※※※※※※※※※※※※


この番組、なかなかの良品だったのは間違いないけど、
しょせんは(?)ドキュメンタリーの小品。
それをこと改めて書いたのは、実はとても書いておきたいことがあったから。
すごく余計なお世話なんだけどね。

この番組では門脇麦と千葉雄大が小さな本屋のオーナーとバイトという立場で
寸劇(寸劇じゃないか)をするのね。そしてその小芝居部分以外は
一緒に本屋のVTRを本人として見るという趣向なのよ。

この本人に戻った時の2人の空気感がすごく良かった!
この人たちはもしかして気が合うんじゃないだろうか。
結婚してください!と思ったくらい。

……わたしが結婚してくださいと願ったとして、ご本人たちがどう考えるか不明だが、
すごくお似合いに見えた。2人でいるところをまた見たい。
大変余計なお世話ですが。


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< 歴史総合イベント 桃山文化やしき >

2018年02月03日 | その他映像関連。
ポスターを見て、ナニコレ?と思い、サイトを確認し、ちょっと面白そうだったので行ってみた。
一言では説明できないが、伊達政宗生誕450年にコジツケて、
いろいろなジャンルのアレコレを持ってきたイベント。主催は青年文化センター。
一応前面で桃山文化と謳っているとはいえ、範囲はけっこうユルく、
要は歴史的、伝統文化的であったら何でもいい感じ。


――で、これがけっこう面白かったんですよ!
サイトもいつまで残してあるもんだかわからないので、一応イベントの内容を挙げておくと、


桃山ファッションショー
和楽器演奏
柳生心眼流兵法演武(新陰流じゃないの?)
能の謡・仕舞のワークショップ

和風フラワーゼリー体験(作るの?)
南蛮菓子販売
戦国兵糧食販売
簡単みそ汁づくり体験

桃山美術展

小袖着用体験
着物着用体験
ダンボール甲冑展示・着用体験
茶席体験(2種類)
仙台みそづくりワークショップ

講座6つ


ああ、けっこうあったんだなあ。
事前申し込みが必要なものがいくつかあったが、当日行って楽しめるもので十分楽しんできました。


いや、実はわたしは能のワークショップを主目的に行ったのよ。
だが説明が面白くなくて、途中で出てきた。もう帰っちゃおうと思った。
むかっ腹を立てつつ建物から出ようとしたところ、そろそろお昼であることに気づく。
街の方でゴハン食べようかとも思ったのだが、面倒になったので建物内の「けやきの杜」に入る。

「けやきの杜」は美味しくはなかったです、正直言って。もう少しがんばれ。
日替わりはポークカツと書いてあったが、あれはメンチカツだ。看板に偽りあり。
でもまあ混まなかったし、窓から見える地下の練習場で個人練習をしている
トランペットとかジャグリングが見てて面白く、居心地が良かったので本を読みながら長居したのよ。

そうするうちに和楽器演奏の開始時間が近づく。
せっかく地下鉄代をかけてわざわざ来たんだから、これくらいは聴いて帰るかと思い、
全く期待感なく聴いてみたところ……これが良かったんです。



いい仕事だった、東北大学邦楽部。
大学生の部活動程度と甘く見てたら、ついうかうかと感動してしまいました。
尺八が良かったね。いい音を出していた。琴も良かった。
尺八なんて首振り三年というくらいだから、入学から2、3年でこんなに音が出せるようには
ならないだろうと確信していたが、今回5人?6人?いるうちメンバーは全員、
大学入学以降に和楽器を始めた人たちだそうだ。
びっくり。
まあ尺八の人は修士課程で5年目、琴の人たちも部活とは別に先生に習っているそうだけど。

和楽器演奏が1時間くらいあり、その後演武を挟んでもう一度演奏するらしかったので、
それも聴いて行きたくなった。
その間暇だったので、調子にのって小袖着用体験と着物着用体験もしてしまう。

小袖は薄い打掛ごときものだった。福々しい体形のわたしは似合いました。まさにお局さま。
着せてもらって、写真を撮って脱ぐ。
着物の方は、安っぽいといえば安っぽい素材ではあったが、
「16時まで戻って来てくれればいつまで着ててもいいです」というアバウトなものだったので、
小1時間着ていられて楽しかった。見栄を張って着付けする時オナカをひっこめていたので、
そのままの状態で紐を縛られて苦しかった。自業自得。

着物を着つけてもらっていたので演武はちょっとしか見られなかったが、
……鎌の朱房(ごときもの)がなかなかほどけなくて、がんばってほどいているところが
面白かったですね。

和楽器演奏、2回目も楽しんで聴けました。あの会場のサイズ感は良かったかもね。
これが大ホールとか、小ホールになったらまた違うんだろう。
今回の会場は交流ホールで、中央に小さい舞台を作り、観客席は椅子を並べて……
うーん、100席ちょっとくらい?200席はないと思うね。
マイクはあったが、ナアナア的な(←いい意味で)距離感がちょうど良かった。



※※※※※※※※※※※※



その後帰ろうと思っていたのだが、ここまで来たら桃山ファッションショーも見ていくか、
という毒も食らわば皿までの気分になり居続け。
そしたらこのファッションショーも良かった。予想よりもだいぶレベルが高かった。

桃山というから小袖に終始するかと思いきや、十二単衣から始まったのにはびっくりした。
小袖(室町時代遊女)、腰巻スタイル(お市の方)、打掛け(五郎八姫)、緋袴(春日局)、
着物(菱川師宣見返り美人図)と変遷し。髪型もちゃんと作っており、衣装自体のモノもいい。
それに装束の専門家らしき人の解説もちゃんと入って。
眼福でございました。


いい企画しましたねえ、青年文化センター。
全体的に素人くささはあったが、初回ということを考えれば悪くない。
そうですね、改善点は……やっぱりステージと、甲冑展示、着付け体験のスペースを
一緒にしてはいけないんじゃないだろうか。
ダンボール甲冑は見事な出来で良かったけれど、ついてる担当者の談笑がうるさいんだよね。
こっちは演奏を聴いているのに。
着物着用体験は楽しかったんだが、やっぱり一人しか着付けをする人がいないと
若干雑になりがちかね。スペースと鏡をもっと増やしてくれると落ち着いて姿も見られるのだが。



またこういうのあったら行きたいです。関係者各位、がんばってください。


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< ロッキー・ホラー・ショー >(舞台視聴)

2017年12月23日 | その他映像関連。
相当キワモノだという話を聞いていたし、バリバリ保守的なわたしが見て大丈夫なんだろうか?と不安だった。
もともと地下鉄でポスターを見た時に「見てみたいな~、でも1万円は高いな~」と思って指をくわえていた。
そしたら後日グルーポンで安く出たんです。
でもコワイので一応ネット上の感想を拾い、……それでもコワかったけど勇気を出して行ってみた。
行って良かった。かなり楽しかった。

キワモノはキワモノだけど、健全なキワモノでした。……健全?
ミュージカルとしての前衛ぶりははるか昔に「キャッツ」を初めて見た時の方が戸惑ったな。
ストーリーが理解出来ない……。英語で見てたからそのせいか?と思ったけど、
ストーリーがないミュージカルというのはその時初めて見た。

本作はちゃんとストーリーがありました。
まあシュール系だけども。そもそもポスターが相当エグくてですね……。
でも古田新太への信頼はある。


もう幕が上がる前の売り子さんから話は始まっているのね!
売り子さんの口上も楽しく、期待が高まる。ダンスの練習もさせられる。
席が3階席だったので、そこまで臨場感はなく(やっぱり舞台から遠い分、少し距離感を持つ)、
ダンスはちょっと恥ずかしい。
注意事項としていくつかあるうち「騒ぎたいだけ騒いで下さい」と言われたので、
安心して騒ごう!と決意する。

正直、見ている間は誰が誰やらわからなかったんですけれどもね(^_^;)。
ヒロインがソニンだというのは知っていたが、ヒーロー(?)は、あれ小池徹平なのかなあ?と確信が持てなかった。
最初に登場したのはROLLYで、彼のギターがジャーンと鳴った瞬間、その音が心に染みわたる。
特にギター好きでもないのに。ROLLYはやっぱり上手いんですか?

高いところから見たから、セットを十全に楽しめたとは言えないかもしれないが、いいセットでした。
よく考えて作られている。
衣装は、ちょっと遠くて細かい部分が見えなかったのが残念。
古田新太のSM女王的キャミソール姿が……。おっさんにしては脚がきれいだと思いました。
あんまり近くでみると小池徹平の下着姿とか、目のやり場に困る気がする。
あ!終盤の古田新太の花嫁衣裳?あれきれいだと思った~。古田新太がきれいなんじゃないけど~。
でもあのおっさんにしてこの可憐さ。

歌も良かったと思う。曲も良かった。一瞬CD欲しいかな?と思ったくらい。
リピーターが多いと聞いてはいたが、そういう皆さんはどこでどんな動きをするかわかっているらしくノリノリ。
それも楽しかった。
わたしはたまたま持っていたペンライトで参加した気分。ペンライト使用率高し。
ペンライトってそんなにたまたま持っているもんでもないと思うが、あって良かった。


今度はもっと近くで見たいと思ったね。
また舞台が来たら行くかもなあ。今度はケチケチせずに定価で……うーん、お約束は出来ないが(^_^;)。




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あおば寄席その91 柳家小三治 独演会。

2017年12月08日 | その他映像関連。
12月7日に電力ホールにて。電力ホールなんて何年ぶりだろう。10年は経ってるか。


わたしは落語を主に書物で読んで親しんでいる。家に「古典落語」のような文庫本がけっこうあったんですよ。
なので、古典落語作品は……けっこう筋としては知ってるんじゃないかなあ。
wikiに載っているのはほんの50本程度だけど、そんなもんじゃないよね?
タイトルを見て中身が思い出せるものは少ないので、その50本のうちわかるといえるのは20本くらいか。
芝居噺なんかも何本もあった気がするけど、多分50本のなかには入ってない。

まあ落語は話芸。文字で読んでも「落語を知っている」ことにはならないが。
まあ寄席にも2、3回行ったことはあるけれども。



柳家小三治は、わたしは主に高座ではなく、著者として親しみを持っている。
「ま・く・ら」「もひとつ ま・く・ら」「バ・イ・ク」は蔵書。すごく面白かった。
何度も読んで笑い転げた。

小三治。10年以上前のドキュメンタリーで、その当時で毎日手のひらいっぱいの薬を
飲まなければならないようになっていてショックだった。
病気のせいか、年よりだいぶ老けて見えましたしね……。
好奇心いっぱいで、行動力もあり、バイクツアーなんかもがんがんやってた人が。
まだ当時、60才前後でしょう。60才って言ったら老け込む年じゃありません。

77才になった今回は8月末に頸椎の大きな手術をしたこともあり、だいぶ……よろよろだった。
痛惜の思いで言う。
よろよろで、芸として見てるのが辛かった。
話を忘れたり、つっかえたり。笑芸は、憐れを誘うようではだめだと思う。
最後まで現役で行くという道を選ぶのは、それはそれで立派だと思うけれども、見てて辛くなるようでは。



全盛期の勢いはないのだろうが、それでも“まくらの小三治”は健在で。
その身体状況で、高座としては2回。負担だったと思います。
時間としてはどのくらいかねえ、18:30開演(多分少し遅れた)、
小八、世津子、小三治で20:15~20:30が中入り、その後も小三治で30分くらいだから。
一席目の方が少し長くて、まくらの部分が2、30分だったのかな。「千早ふる」で20分ちょい?
二席目は「宗論」。こっちの方がまくらと落語、どっちも短かった。
一席目のまくらが一番長かったね。

しかしやっぱり話はだいぶ取り留めがなくなっており、言い回しでちゃんと笑わせるんだけれども、
世間話の域を出ていないというか。
本で読む方が整理をされていて、まとまっていて面白いという側面もあるだろうが、
本になった当時は、言いたいことがあった上でのまくらの長さなんだよね。
でも今はまくらの時間を取ってあるから喋る。そういう時間。
まあたしかに、小三治が喋ってる、それだけで嬉しい気持ちはあるんだけれども。

まくらで笑えたところはいくつもあったが、どうも地元ネタしか覚えてない。
さいちのおはぎを楽屋で食べた、岩沼に疎開していた頃に食べたずんだ餅は美味しかった。
なんであたしが地元の人にずんだ餅のこさえ方をおせえなきゃならない。とか。
フランク永井は塩釜ですから(客席から鹿島台!という声が飛ぶ)いや、本人も塩釜って言ってたしね。とか。
そんな話を聞いているうちに、なんだか対面で喋っているような気になってきて、
色々合いの手を入れたくなってくる。みんながそんな気持ちだろう。


電力ホールは満席。
病後の体をおしてわざわざ来てくれた小三治に、多少なりとも応えることが出来ただろうか。
でも2月にまた山形で一席やるんだってよ。寒い時期だからねえ。大丈夫かねえ。


独演会というから、最初に柳家小八なる人、その次に奇術の花鳥世津子なる人が出て来た時は意外だったが、
それはそれで楽しめた。小八の噺は「金明竹」というもので、わたしはこれは初耳。
「寿限無」系ですな。どうにかして聞き取ってやろうと思って一所懸命聞いていたけれども、
知らない単語も数多く、結局2割ほどしかわからなかった。面白かったです。






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東儀秀樹×古澤巌×coba 全国ツアー 2017

2017年10月30日 | その他映像関連。
コンサートへ行って来た。

前回は東儀秀樹と古澤巌の2人だったが、今回はcobaもいた。
楽しかった(^o^)。
ただ演出が、3年前とあんまり変わってないのは良くない。
だいたい観客の顔ぶれは決まってるんだから、不精せずに何か考えんかい。
……と思ったが、狩衣のシーンがやたらと印象的になのでそう思うだけなのかもしれないな。
狩衣シーンはお約束ということで、むしろないと物足りないと捉えるべきかもしれない。←洗脳(^^;)。


パンフレット買ってこなかったので、曲はわからない(^^;)。
楽器編成は3人の他はピアノと電子ピアノとギターとドラムとベースだったので、どっちかというと
ドカドカいう曲調の方が多し。
ノリがいいのも楽しいが、どっちかといったら旋律を聴かせるものの方が好きかな。

なので、お約束の狩衣姿での笙とバイオリンの曲とかはとても好き。
あと基本的に超絶技巧が好きなので、古澤さんが最初から最後までやたら弾きまくる
(あまりにも弾きすぎて笑えてくる)何だかって曲も楽しかった。

初めて聞いたけど、cobaのアコーディオンもいいね。バンド編成と一番合うのはやはりアコーディオンかな。
篳篥とアコーディオンはそんなに負けてないんだけど、バイオリンとアコーディオンでは完全にバイオリンが
負けている曲があった。アコーディオンの音量の問題なのか。せっかくアンプ通してるんだから調整を。

わりあいcobaはMCは少な目で、少しエンリョしていた?もっと喋るイメージ。
わたしはcobaも狩衣を着るのかなと期待していたのだが、狩衣は東儀秀樹と古澤さんだけでした。
まあ狩衣で、バイオリンはぎりぎり弾けてもアコーディオンは無理かも。

1曲目から東儀秀樹がスタンディングをアオるので「ええっ!1曲目から!?」と素で突っ込んだ。
3人いるから、1人しかステージ上にいない時間帯も2回ずつくらいあるんだけれども、
cobaが「今から演奏するのはダンスミュージックなので、みなさん、願わくば、出来得れば、立ってお願いします!」と。
そういうわけで、概してノリの悪い仙台の客も(しかも年配者多いですからね)けっこう立ったり座ったりしてました。

アンコールは2曲で、最後がリベルタンゴ。まあこれがないとね。


盛り上がって楽しかった。また行きたいです。




「この曲の演奏中だけは写真撮影OKにします。SNSとかツイッターとか、どんな使い方をしてもかまいません」
という太っ腹なことを言っていた。わたしはガラケーなので撮らなかったが、
まあそう言われると考えもしなかった人でも撮りたくなるのは人情と言うもので、けっこうみんな撮っていた。

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