前回、風情ある雪の京都の下鴨神社をご紹介しておきながら、記事の長さ
がやや短かったのは、この灯籠(使い道としては灯籠なんだそうです)が
出てくると、何もかも持っていってしまうので、一旦流れを止めたかった
からです。
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ギャラクター()か何かが科学の粋を集めて造った「鉄獣」シリーズ
のうちの一体に違いない。しかしなぜそんなものが神社の境内に?と
思うわけです。
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脚が三本あって、説明板に「ヤタガラス」だと書いてあります。
科学忍者隊関係じゃないんですね。
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再度、脚が三本あるのを確認。
足の指の形も、烏のそれをよく見て真似てあるのが分かります。
前三本、後ろ一本なんですよね。
彼等とはよく遊んだり戦ったりしたから、飼主もよく存じております。
連中と対峙すると、必ず仲間を呼んできて、数の力に依ろうとする。
侮れない連中です。
そんなことより、ヤタガラスでいいのか、これ。
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部分ばかりで申し訳ないが、こんなのですよ。
鉄獣じゃないんだ。由緒正しい下鴨の境内にどうなんだろう。
ヤタガラスのデザインとして伝統的なのは、戦前の試作50銭銀貨を参考に
すると分かり易い。ただし、大正時代の鳳凰の50銭銀貨は、特別海外から
忌み嫌われているそうです。悪辣なる大日本帝国の貨幣の代表、とかでまさか
貨幣のデザインにまで憎しみが向けられているなどという歴史を今頃になって
知ると、なんだか辛いものがあります。その貨幣は、理由を知られていなくても
未だに何か縁起の悪いコインだとされているなどという噂を聞きますね。
ところでこのヤタガラスも幾分鳳凰デザインの影響が入っているのではないか。
金烏玉兎、と申しまして中国あたりでは太陽にカラスを充てて月に兎を置く
わけです。月には蝦蟇がいたり、嫦娥がいたり、桂の木があったりもしますが。
太陽の鳥は烏なわけです。黒いんだけど。本朝ではこの烏と八咫烏が混ざってます。
緑色の羽根に黄色い胴体。太陽の鳥をイメージしているのか、どうだか。
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太陽輝く地球を守れ、なんていう部隊の方々からするとヤタガラス的なものは
最終奥義のアレにつながるものがあるんではないかと、ひたすらガッチャマンを
ひきずりながら、普段は開放されていない建物も拝見して参りました。
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やはり、雪の京都、というものに求められている佇まいは、こちらでしょう。
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清浄
にして
典雅
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雪よりも峻烈な、神の坐す空気が写真でも分かります。
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冒頭でもってヤタガラスと称するモノの姿を見て大騒ぎしておいて何ですが。
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そんなには見られない光景ではあります。
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松の翠に雪の白
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そしていまのところ、ヤタガラスは塗料の緑色。
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