2011年に発表された論文を例とする、心理学で取り上げられる大きな話題のひとつに『ダニングクルーガー効果』がある。
ダニングクルーガー効果とは知識を持たない人や実力が低い人が、自身の能力の低さを正確に計れない現象のことを指す。
原因は能力不足や知識不足からくるメタ認知能力の低さである。つまり自分がどれだけの知識を有しているかを計れるだけの知識もないし、有識者との比べかたもわからない状態ということ。
この効果が現れると、人間は自分が知っていることが全てであると錯覚できるようになる。対象はどれだけものを知っているかを知りようがないので、そう錯覚できる。
そしてその間違った、あるいは圧倒的に足りない知識で、主観的には筋が通っている自信を抱くようになるのだ。自分はこの物事について全てを知っているんだぞと、そう抱けてしまう。
客観的に見れば筋も何もない間違いだらけの独り言か、あまりにも視野が狭い意見にしか見えないだろう。
だが対象はその間違いが間違いだとわからないから、分かるだけの知識がないからああやって自信に浸っていられるのだ。
この効果の実害は
「物事を間違えた状態で覚え、確信を持つこと」
「間違いを修正するだけの能力がないこと」
それそのものだ。
対策は自分がどのようにしてものを考えているかを知ることと、物事や事象をひたすら調べることだ。
調べていくうちに、理解を深めていくうちに、また次の問題が出てくるはずだ。
参考文献
DavidDunning (2011) Chapter five - The Dunning–Kruger Effect: On Being Ignorant of One's Own Ignorance.