1977年に発表された論文を代表とした、心理学のなかでも有名な題材に、偽の合意効果というものがある。
これは「自分が持つ価値基準はごく一般的で、相手にも常識として通用する」という思い込みのことを指す。存在や事象に関しての考え方から、日常生活で使う言葉に至るまで、この思い込みは発生する。
この思い込みを補強する事実や数字はないが、だからこそ勝手な思い込みが一般的に通じると信じ込んでしまう現象だ。
偽の合意効果は、共通認識を持つ集団の中で助長されやすい。思い込みが強くなればなるほど、その助長に歯止めが効かなくなるのだ。
例えば、
私は元卓球部員で、部活内では『カット』『ドライブ』『11点マッチ』などの言葉が当たり前のように飛び交っていたので、私も当然のようにその言葉を使っていた。
が、部活外で卓球を知らない人たちといるときに『カット』『ドライブ』『11点マッチ』と私とその部活の当たり前を話しても、卓球を知らない人からすれば「なんだいそれは、食べれるのか?」となってしまう。
ただ私からすればそれらの言葉は当たり前なので、そこから「この人たちは常識を知らない」と判断することもあり得るのだ。
「この人たちは常識を知らない」と判断する
この誤認と、そこから広がる食い違いは、時に大きなトラブルへとつながる。
トラブルを回避するための方法はひとつ。
自分がもつ価値基準は、あくまでも自分専用の価値基準なんだと認知することだ。
参考文献
Lee Ross,DavidGreene et al. (1977) The “false consensus effect”: An egocentric bias in social perception and attribution processes.