月猫の「まよいごと」

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べろべろばぁ 第二章 〜剥がれ始めた嘘〜

2024-02-13 07:50:00 | 記録
姑の嘘が剥がれ始めた音は
ポロポロなどというかわいい響きではなく
グワッシャーーーン!メリメリ、ガリガリ、ゴリゴリ、そんな感じのイヤーな感じの音だった。

初めにわかった嘘が何十年にも渡る嘘だった事もあるし、
姑の手のひら返しがすごかったので、みんな唖然として何も言えなかった。

義妹が義実家を訪れたとある日。
苦しそうにしている義父を発見。立ち上がる事が出来ず、下が汚れていた。
聞くと、夜中に転倒したと言う。
別の部屋にいた姑は、義父の転倒に気付いていたのに知らんぷりだったらしく、半日ほど経過していた様だった。
義妹はいくら夫婦仲が悪いとはいえ、あんまりじゃないかと
実母に対し不信感を持ったのだそうだ。

慌てて救急車を呼んだ義妹。
すぐに私達に連絡をくれて大騒動に。

その辺りから姑がソワソワし始めたらしく
怪訝な顔をしている義妹の周りをウロチョロウロチョロし始めたものだから
イライラした義妹は椅子を用意して座っておく様に指示。
少し深い椅子に座った姑はまるでどこぞのお偉いさんかの様だったらしく
ますます義妹は腹が立った。

そして救急車到着。
当然、何があったのかを質問され、その場にいた姑が何もしなかった事が明るみになり
慌てた姑はなんと
救急隊に自分の血圧を測れとのたまったのだ。
要するに、自分も具合が悪いんだから仕方ないでしょ作戦を決行。

激痩せしたとはいえ、
椅子にふんぞり帰って微動だにせず
腕も脚も組んでいる元気そうなばぁさんが
救急隊員さんを呼びつけ、私の血圧を測りなさいと腕を差し出すその姿、、、。





義妹は恥ずかしくて恥ずかしくて顔から火が出るかと思ったそうだ。

義父は明らかに骨折しているのがわかっていたし、顔面は蒼白。
元気な婆さんの血圧を測っている余裕はない。
それなのにストレッチャーにのせられた義父が姑の体調を心配したというのだ。
「○○は大丈夫か?」と。
運ばれる救急車の中でもだ。

あれ?
と義妹は思ったはずだ。
それまで「父は妻を蔑ろにする人手なし」と思わされるほど酷い人間だと聞かされ続けて来た義妹。
単身赴任の父親と離れて暮らしていた子供の時分から聞かされていたのだ。

そんな父が意識を失うレベルほどの痛みの中、妻を心配?
あれあれあれ?

義妹は混乱し、私達にそれをそのまま伝えてくれたのだが、
長男である私の夫はピーンと来た様で、鳩が豆鉄砲を食ったような私の横でひとり冷静な顔をしていた。

夫は薄々、気付いていたのだ。
我が父がそんな人間ではない事を。

そして夫が動き始めたのだった。





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