東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

23区清掃一組 「清掃事業年報(令和5年度)」-23区のごみ量は区収集ごみと持込ごみを合わせて2,485,559.30トン-<区収集ごみ1人1日当たりの最少は北区の426g>

2024年08月30日 18時26分02秒 | 東京23区のごみ

 

東京二十三区清掃一部事務組合「清掃事業年報(令和5年度)」が公表された~

令和5年度、23区のごみ量は区収集と持込ごみを合わせて2,485,559.30 トン、
区収集ごみは1,648,836.61トンで、前年度と比較して62,927.16トン、率にして3.7%の減少、
持込ごみは836,722.69トンで、前年度と比較して 8,330.40トン、率にして1.0%の増加。

事業系持込ごみは、コロナ前(令和元年度984,155.20トン)との比較では、まだ減少傾向が続いている~

それにしても、令和5年度もごみ量、速報値と確定値がどんぴしゃだった!!

驚いたのは、区収集ごみの1人1日当たりのごみ量、
例年上位の杉並や中野をとばして北区が最少の426g/人日
北区は、令和4年10月から「容リプラ」「製品プラ」一括回収モデル事業、令和5年4月から区内全域でのプラスチックの分別回収を実施しているので、その成果ともいえる。

ここのところ、各区とも不燃ごみや粗大ごみのピックアップ回収による資源化でごみ減量に励んでいる。また、容リプラや製品プラの一括回収も進んできた、この先のごみ減量最少区の番狂わせが楽しみだ、、、

 

 

以下、グラフは清掃一組「清掃事業年報」から作成

とりあえずは、
気になる清掃工場の処理状況から~

23区は、プラスチック類を「可燃ごみ」としてからは、、、
いまや、中間処理はほとんどが清掃工場での焼却処理、、、
粗大ごみや不燃ごみは全体の処理量からみれば数パーセント程度、、、

◆清掃工場搬入 総括表◆

清掃工場搬入量(令和5年度)
 2,487,202.72トン

23区の清掃工場での焼却ごみ
区収集の可燃ごみが63%
事業系の持込ごみは32% ←例年は35%

事業系の持込ごみは令和5年度合計で836,722.69トン
そのうち、清掃工場への持ち込み量(直接搬入)は継続と臨時の合計で818,718.25 トン
持込ごみの約98%は清掃工場での焼却ごみということになる~

 

◆清掃工場別処理量◆

◆23区清掃工場 区収集・持込 搬入内訳◆

令和5年度の搬入内訳、約32%(例年は35%)が事業系の持込ごみ
清掃工場により、区収集と持込ごみの割合は大きく異なる

粗大ごみ破砕ごみ処理施設の可燃分は、破砕ごみ処理施設の休止にともない、湾岸清掃工場に運ばれ焼却。令和5年度は、不燃ごみの可燃分は、中央、港、新江東、有明、品川、目黒、大田新、大田第一、練馬の9清掃工場に運ばれて焼却処理。粗大ごみの可燃分は14清掃工場に運ばれて焼却処理。令和5年度は、湾岸部の清掃工場に集中している、、

 

◆清掃工場別 稼働日数◆

令和5年度の清掃工場の稼働日数は平均は272日、
世田谷の稼働日数は238日で改善したと言えるのか?
「計画年間稼働日数」の283日に届かない工場は故障が多かったのか、それともごみ不足の調整なのか?
定期点検補修工事による休炉か、故障か、調整なのかは「清掃工場等作業年報」にでてくる~
ごみの減量よりも焼却能力の増強を選んで、長年休止していた大田第一工場の再稼働(193億円かけ整備)したものの、稼働日数は116日、200t/日×3炉あるものの1炉稼働なのかな?


◆清掃工場等焼却量の推移◆
 

プラスチック類が可燃ごみとなってからは、清掃工場での焼却ごみは増加、その後横ばいが続いていたが、コロナ禍による持込ごみの減少でごみ量減少を維持できている、、、


◆事業系持込ごみ量推移◆

持込ごみのみでみると、、変動が明瞭に、、
(持込ごみの約98%は直接清掃工場への搬入、弁当がらなどは不燃ごみ処理施設で受け入れた後に結局は清掃工場に運ばれるのかな、、


◆清掃工場等焼却量の推移◆

平成元年からの推移

 


 

23区別のごみ収集量など~

◆区別ごみ収集量(区収集分)と1人1日当たりのごみ排出量◆

区収集分といえども、区が収集する有料シールの事業系ごみも含まれるため、都心部や繁華街で事業系ごみの多い区もあり、単純に比較はできない。23区の清掃事業、ごみ減量やリサイクル、収集・運搬は各区の仕事である。ごみ減量取り組みも、意欲も施策も、区によってかなり違う、、、


※人口は、東京都総務局統計部発行の「住民基本台帳による人口(日本人及び外国人)」の令和5年10月1日現在の数値


◆区収集可燃ごみ量の推移、各区別◆

 区別可燃ごみ量の推移は、容器包装プラスチック類分別収集の実施区、未実施区の違いもあったが、数年が経過し容リプラ効果もあまりなくなった。各区と も、増加傾向は見られなくなったが、減少の努力をしている区、横ばいの区と、際立つ違いがある。令和3年度、令和4年度、令和5年度と、プラスチック資源化に取り組む区が増えてきて喜ばしい限りだ!!


◆区収集不燃ごみ量の推移、各区別◆

プラスチック類が可燃ごみとなり、不燃ごみは激減。不燃ごみの全量資源化の足立区、江東区に次いで、なんと、中央区、板橋区も「不燃ごみ資源化事業」なのか、不燃ごみ搬入量はゼロとなっている。

また、豊島、北、荒川、板橋、足立の不燃ごみ資源化も確実になっているようだ~(北、豊島、板橋、荒川、足立の5区、平成31年度までに不燃ごみの9割資源化実施(「堀船船舶中継所」は平成30年度末で休止))



◆区収集粗大ごみ量の推移、各区別◆

可燃ごみ、不燃ごみは減少を維持しているが、粗大ごみに関してはどこの区も変動が大きい。粗大ごみは、人口の変動に伴うものが大きいのか?

 ←クリックで拡大

令和元年度、令和2年度、前年度よりも粗大ごみ量が増えている区が多い、、、


◆23区「不燃ごみ」「粗大ごみ」合計推移◆

プラスチック類が可燃となってからは「不燃ごみ」「粗大ごみ」が激減、

 

◆23区 1人1日当たりごみ量(g)推移【区収集ごみ】◆

令和元年までは23区すべての区で人口は増加傾向であったが、令和2年は港、新宿、豊島、北、荒川、板橋、葛飾、江戸川で減少している。令和3年度はさらに人口減少が進む。コロナの影響か、、23区全体で4万人以上の減少、しかし令和4年度は前年度よりも28,700 人増加、令和5年度はすべての区で人口増加、23区全体で63,599 人増加
それでも1人当たりのごみ量は減少傾向続く、、、


◆23区 【区収集ごみ】1人1日当たりごみ量(g)一覧表◆

--この1人1日当たりごみ量(g)は「区収集ごみ」だけの計算--

区収集ごみ令和5年度の23区の平均は468g/人日

-順位のようになってしまったが、単純にエクセルで並び替えをしたため、同量のごみ量の区も多々あり---

なんと令和5年度は北区426g/人日で23区最少になった!!
北区は、令和4年10月から「容リプラ」「製品プラ」一括回収モデル事業、令和5年4月から区内全域でのプラスチックの分別回収を実施しているので、その成果ともいえる、、、、
23区のプラスチック資源化状況)


◆23区【区収集ごみ】1人1日当たりごみ量(g)並び替え◆


◆23区【区収集ごみ】1人1日当たりごみ量(g)一覧◆

令和5年度の1人1日当たりのごみ量、23区、すべての区で前年度よりも減少している。(17g/人日~50g/人日)

 


 

1人1日当たりごみ量 環境省の計算方式では、23区の令和4年度は871グラム

関連(本ブログ) 
【東京都】一般廃棄物処理実態調査結果(令和4年度) 東京都全体で1人1日当たりのごみ排出量は821グラム、23区分は871グラム2024年04月20日

23区は、「1人1日当たりの排出量(g/人/日)」や「リサイクル率(%)の算出方法はあまり浸透していない。多くの区で、1人1日当たりのごみ排出量に「区収集ごみ」の但し書きがつく。それは、事業系の持込ごみが23区をまたがって収集しているため、区別に実測されていないため、、、従って、一般廃棄物の総排出量の算定も区別には難しいということになっている、、、、

 



不燃ごみ、粗大ごみ、埋立ごみ、、

◆不燃ごみ処理センター処理処分内訳◆

なんと、令和5年度は、中防不燃ごみ処理センターから清掃工場への搬出が28,882.45ン
不燃ごみの破砕後の「その他ごみ」であろうが、最近は、清掃工場で水銀による炉停止はなくなったが、まだまだ蛍光管や電池類、「不燃ごみ」扱いの区があるようだけど、、不燃ごみ残さを焼却して、水銀などの問題は解消できたのか? 結果的に、不燃ごみ86%は清掃工場で焼却となった~ 京浜島と比較すると、不燃の直送分が少ないからか?


◆京浜島不燃ごみ処理センター処理処分内訳◆

令和5年度、京浜島の不燃ごみ焼却分は2,118.99トンで17%
埋立が7,848.17トンで62%


◆粗大ごみ破砕処理施設 処理処分内訳◆

令和5年度、粗大ごみの破砕処理後、81,299.14 トン(86%)は清掃工場で焼却

 



◆灰溶融施設、スラグ生成量の推移◆

23区の灰溶融施設は令和2年度からすべて休止となった~

原発事故の影響がなくとも、もともとがほとんどの施設が安定稼働をしているとはいいがたかった。しかし、平成23年度、24年度は、夏場は全面停止、全施設で1炉稼働、主灰の単独溶融に切り替えた。平成25年には、「今後の灰溶融処理の休止」ということで、7施設のうち、5施設をを順次休止し、平成28年度以降は、多摩川と葛飾のみ稼働させるということになった。その2施設も、令和元年度末を持って休止となる~

スラグは全量有効利用(サンプル提供含む)
有効利用の詳細は~


※世田谷灰溶融スラグ生成量はガス化溶融炉(300t/日)のスラグも含む

 


 

◆23区の灰溶融処理と灰の資源化(民間施設)◆

灰の資源化詳細は、清掃一組「焼却灰の資源化事業とは」

●残灰の埋立処分量と資源化搬出量(清掃工場別)
焼却灰の資源化が進んできたとはいえ、まだまだ大半は最終処分場で埋立へ

 埋立処理量は 168,284.20トン

 

◆23区埋立処理量の種類別内訳◆

埋立処分量の約92%は焼却灰(清掃工場残灰+中防灰溶融施設残灰)
埋立処分場の延命化、埋立ゼロを目指すにはごみの焼却処理を可能な限り減らすしかない、、、


◆埋立処分量の推移 23区分◆

廃プラスチックが分別区分変更で焼却となって以来、埋立処理量が大幅減少していたが、さすがに、福島原発事故の影響で、平成23年度は、平成20年度並みに戻ってしまった。


◆23区 清掃工場残灰等 埋立処分量の推移◆

焼却灰溶融処理政策の破綻、、、
しかし、財政面からも、安全面からも、灰溶融炉の休止は大歓迎、
灰溶融処理に変わる施策として、平成26年度から「主灰のセメント原料化事業」が始まっている。そして主灰と飛灰の民間による溶融処理事業も始まって、どこまで埋立回避となるか、、、、

 
◆23区 清掃工場残灰等 の内訳 推移◆

灰溶融スラグの埋め立て分は主に大田第二工場分


◆23区清掃一組で受け入れている産業廃棄物◆

※他に、平成16年頃から事業系の不燃皮革ごみも若干量受け入れている。

 



◆産業廃棄物の埋立処理量(東京都分)◆

平成23年度、24年度は、23区分の焼却灰の埋立量の増加もさることながら、東京都分は、上水スラッジと、下水汚泥焼却灰は、放射能汚染で資源化できずにすべて埋立、おまけに多摩地域の下水汚泥焼却灰も受入ているので、大幅増加。平成29年度、30年度と産業廃棄物を大量に受け入れている。なんだろうか? 過去にはアスベストなども受け入れていた、、、

 


◆23区のごみ量推移(明治33年~令和3年)◆

この1人1日当たりのごみ量は、単純に23区のごみ総量を人口で割ったもの
(環境省の計算の資源化分、集団回収分も含むごみ総排出量とは異なる)


※平成10年度までは「東京都清掃事業百年史」参考、以降は清掃事業年報などから作成

とりあえず~


関連(本ブログ) リサイクル編 
23区 令和3年度 清掃事業年報(リサイクル編) ~23区の資源回収量は約 551,993トン(前年度比 約10,745トン、率にして約1.9%の減少)2022年09月01日 

23区清掃一組 令和3年度「清掃工場等作業年報」、稼働実績、故障件数、電力使用量、CO2排出量など~2022年09月20日

 

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