水(ミネラルウォーター)について考える

人間の生活で欠かすことのできない水・ミネラルウォーターについて。

子ども(新生児) に何を与えるか

2019-03-13 18:35:37 |  ほ乳類の哺乳

かくして、太古のほ乳類の祖先は、「体の小さな子どもを産み、親と違う食物で新生児期を乗り切る」という戟略を模索しました。

問題は、親と同じものが食べられるようになるまで、何を栄養源として生きていくかです。必要な のは、 タンパク質と脂質と 必須ビタミン、 微量元素 などです。

それさえあれば 、あとは新生児が体内で必要な物を合成できるし、いずれ腸内常在菌も助けてくれるはずです。また食物の形状には固形のものと液状のものがあるが、新生児の阻噛機能は十分でないから、与える栄養物は固体ではなく、液体か半流動体のほうが適しているのです。

さらに新生児の場合には、保温にも注意を払う必要があります。動物は体が小さいほど体表面横の割合が大きくなり、体表面からの熟放散が大きくなってすぐに冷えてしまうからです。

生まれたばかりの新生児の体表からの熱拡散を防ぐ唯一の手段は、新生児の周囲を体温まで温めることです。外部の温度を体温と同じに保つことができれば、熱エネルギーの拡散は起こらないからです。

 

そのためには熱源が必要になる。その熱源は太陽光以外には、親の体温しかないのです。つまり、親はなるべく子どものそばを離れずに温めるという工夫も必要となります。

 

以上の条件から、「親の体から分泌され、新生児の成長に必要な栄養素を含む液状のもので育てる」のがベストの選択となるでしょう。しかし、そんな都合のよい分泌物があるのだろうか?

ひとつだけあるのです。皮膚腺分泌物です。偶然にも皮膚腺分泌物は、すべての条件を満たしているのです。

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肉食動物の新生児は肉食で生きられるか

2019-03-13 18:27:46 |  ほ乳類の哺乳

では肉食動物の新生児は、親と同じ肉食が可能でしょうか。まず、肉食水生動物の子ども(新生児)の場合には、肉食が可能です。水中にはプランクトンが豊富にいるからです。

プランクトンは移動能力が高くないため、新生児が口を開けて水を飲み込めば水と一緒に入ってくるのです。あとは鰓などでプランクトンと水を分離すればいいでしょう。

 

だから、1mm程度の卵から孵化したばかりの稚魚でもカニの幼生でも、とりあえずは何かを食べられ、肉食動物として生きていけるのです。

では、陸生動物ではどうでしょうか。水中のプランクトンに相当するものといえば、陸上では、土壌中の細菌や原生動物、地表面の昆虫などが候補です。しかし、これらをエサにするのはかなり大変です。

 

まず、土壌中の微生物や原生動物は、数も種類も豊富だが、土と微生物をより分けることは不可能です。水中の稚魚のように「とりあえず口を開けておけばプランクトンが入ってくるということはないし、第一、土を掘るなどの作業は新生児には不可能でしょう。

 

もう1つのエサの候補である昆虫も、新生児が常食とするのは困難です。たいていの昆虫は運動能力が高く、生まれたばかりの動物(=たいてい運動能力が低い)に捕まるほどノロマではないからです。

しかも、昆虫の体は硬いキチンの外骨格で守られているため、これを食べるには強敵な顎関節と筋肉と歯が必要です。つまり、陸生の肉食動物の新生児が、はじめから肉食で生きることは不可能に近いのです。もちろん、陸生で卵生の肉食爬虫類のように、ある程度の体のサイズで孵化し、しかもエサを丸飲みできるなら生きていけるでしょう。

 

爬虫類の場合には、ほ乳類よりも基礎代謝が低く、ほ乳類よりも少量の食物で生きていけることも、生まれたばかりの子どもの生存に有利に作用しているかもしれません。

 

しかし、爬虫類は一般に卵をたくさん産むことから考えると、膵化後の爬虫類の子どもが肉食で生きのびるのはけつして容易なことでありません。

 

以上から、陸生動物の場合、草食動物にしても肉食動物にしても、生まれたばかりの子どもが親と同じものを食べて成長するのは不可能か、困難であることがわかる。その結果、まったく新しい育児システムが必要になるのです。

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草食動物の新生児は草食で生きられるか

2019-03-08 18:16:39 |  ほ乳類の哺乳

他方の、「親と同じもの・似たようなものを食べる」方式にも問題があります。これは、草食動物の場合と肉食動物の場合に分けて思考実験するとわかります。

まず草食動物の場合だが、前述のように、草食動物は草そのものを吸収しているわけでなく、胃や腸に共生するセルロース分解菌に植物のセルロースを分解してもらい、細菌が作り出した栄養素や菌体成分を吸収することで生きています。つまり、待られるエネルギー量や栄養素は共生細菌の数で決まり、細菌の数は胃や腸の容積で決まります。一方、体積は長さの3乗に比例するため、体のサイズが2倍になれば、容積(=共生細菌数) は8倍に増えるが、体のサイズが半分になれば、容積は8分の1に減少します。

つまり、新生児の賃が親の半分の場合、食物.から得られるエネルギー量は8分の1しかないのです。一方、体表面穐は体長の2乗に比例します。そして、体の表面から逃げていく熱エネルギーは体表面頓に比例します。つまり、半分サイズの新生児の表面積は親の4分の1 、逃げる熱エネルギーも4分の1 です。

ということは、待られるエネルギー量が親の8分の1 で、外に逃げていくエネルギーは親の4 分のlとなり、獲得エネルギーがどうしても追いつかない計算です。その結果、どんどん体が冷えていき、やがて凍死することになります。だから、草食動物の子どもは、ある程度の体のサイズにまで育ってからでないと、完全草食生活に切り替えられず、それまでの間、草以外の食物を必要とすることになるのです。

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親と異なったものを摂取する動物

2019-03-06 19:32:50 |  ほ乳類の哺乳

次に、生まれた子どもの食物の問題を思考実験します。選択肢は、「親と同じもの・似たようなものを食べる」と、「親と異なったものを食べる」の2つがあります。

 

「親と同じもの・似たようなものを食べる」を選択しているのは魚類、爬虫類、烏、不完全変態の昆虫(バッタやカマキリなど)、「親と異なったものを食べる」を選択しているのはほ乳類と完全変態をする昆虫です。

つまり、ほ乳類は新生児期のみ母乳で育ち、完全変態する昆虫は幼虫時代と成虫で食物が異なります。この2つの方式で異なってくるのは、大人(成獣)になる前に消化管の仕様変更が必要か必要でないかです。

つまり、「親と同じもの・似たようなものを食べる」方式では、消化管の構造・機能はそのままでサイズだけ大きくすればいいが、「親と異なったものを食べる」方式では、成長の途中で食物が変わるために、消化管の仕様変更が必要になります。人間で言えば離乳期」昆虫でいえばさなぎの時期です。

 

完全変態する昆虫の場合には、たとえばカブトムシは、幼虫時代には腐葉土を食べていたのに、成虫になると樹液のみ、モンシロチョウの場合には、幼虫時代はキャベツなどアブラナ科植物の菓を食べていたのに、成虫になると花の蜜のみと、蛹の時期を境に食性が劇的に変化します。

この変化に対応するために、昆虫は幼虫と成虫の問に桶という時期を必要とし、桶の内部では幼虫の体のあらゆる組織を分解してドロドロ状態にし、それを成虫の体の材料にして、あらゆる臓器を成虫仕様に組み立て直すという荒技をくり出しているのです。しかし、この「体の設計変更」の時期は、体の内部は嵐に巻き込まれているようなもので、極めて脆弱な状態です。

実際、蛹の期間はほとんど動けなくなり、周囲に擬態すぜいじやくるしか身を守る手段がなくなってしまいます。人間でも離乳期は脆弱な状態です。

たとえば、トウモロコシ栽培が定着した地域で、離乳食として柔らかく煮たトウモロコシの齢を与えるようになってから、離乳開始後に下痢が始まる乳児が増え、低タンパク血症による乳児死亡が増加したという報告があるからです。

「肉食主体の雑食動物」である人類の乳児にとって、炭水化物のみの離乳食は、時として命取りとなることを示しているのです。

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子どもはなぜ、小さいのか

2019-03-04 19:09:41 |  ほ乳類の哺乳

それにしても、なぜほ乳類は子ども(新生児)を哺乳によって育てることにしたのでしょうか?なぜ、爬虫類のように、「膵化後は世話をしない」というスタイルを選ばなかったのでしょうか?

 

この間題について、さまざまな面から思考実験してみましょう。

 

まず、生まれてくる子どものサイズの問題、つまり、なぜほ乳類の子どもは小さいのか、という問題です。

理論的に考えれば、確実に子どもを残すには、親と同じサイズで十分な運動機能を持つ状態の新生児を出産したほうがいいのです。これなら、誕生した直後から子どもは自力で生活でき、出生後に死亡する率は最低となります。もちろん、それが不可能な理由は誰でも考えられます。

出産直前の母体の体重が倍になってしまっては、母体は動けなくなり、捕食動物の恰好のエサになるからです。さらに、その体重を支えるための四肢の骨強度も倍にしないといけないし、腹部の皮膚の強度も増す必要も出てくるのです。

 

同様に、卵生の動物でも、親と同サイズの卵は作れません卵の重量(=体積)は長さの3乗に比例して増大するため、卵の直径が2倍になると重量は8倍になり、卵の殻をそれに耐える厚さにしないと卵は自重で潰れてしまうのです。

 

しかも、殻を厚くすると、こんどは卵のなかの子どもが殻を破って出られなくなってしまいます。現生陸生動物で、ダチョウより大きな卵を産む動物がいないのはそのためでしょう。このようなわけで、卵生にしろ胎生にしろ、「親より小さな子どもを産む」しか選択の余地はないのです。

あとは、子どもの生存率と子どもを作るのに要するエネルギー量を天秤にかけ、生まれてくる子どものサイズと子どもの数の最適値を決めればいいのです。

だがそれでも、なぜほ乳類は母乳で新生児を育てるのか、という謎は解決できないのです。小さく生んだからといって、母乳を与えなければいけないという理由にはならないからです。

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