玄田哲章と石田太郎。この組み合わせで、ピンと来た人はいるだろうか。
玄田さんは、アクション俳優の大御所・アーノルド・シュワルツェネッガー(以降シュワ)の吹き替えや、『クレヨンしんちゃん』シリーズのアクション仮面など、ヒーロー系キャラクターの声優でお馴染みだ。一方石田さんは、『刑事コロンボ』のコロンボや、『ルパン三世 カリオストロの城』のカリオストロ伯爵など、クセが強いキャラや悪役キャラの声を務めたことで有名だ。
両者とも声優界を代表する超大御所の声優さん(石田さんは故人)だが、実は共演していることも多いのだ。例えば、『くまのプーさん』シリーズ。玄田さんは、ジャンプが大好きな陽気なトラ・ティガーを、石田さんはのんびりやで悲観的なロバ・イーヨーを演じていた。
野太い声でマッチョなキャラを演じることの多い玄田さんが、ハイテンションで楽しそうに飛び回るキャラクターを演じるのは、いつも演じるキャラと違って新鮮に感じた。
また、クセの強い高圧的な悪役を演じることの多い石田さんが、おっとりとしたゆるいキャラを演じていると、ほっこりした気分になった。
玄田さんと石田さんの演技力の高さ、そして普段演じるキャラとのギャップ萌えを起こす声に心惹かれた。しかし、この感情は『~プーさん』の時にしか起きない貴重なことだ。なぜなら、この2人が演じるキャラとその構図は、ほとんど一緒だからだ。
二人が共演する際の構図は、「玄田=正義の味方」、「石田=悪の親玉」となっている。例えば、シュワの出世作『コマンドー』では、玄田さんがシュワの演じる主人公・メイトリクスを、石田さんがヴァーノン・ウェルズの演じるテロリスト組織のリーダー・ベネットを演じた。
また、『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』では、玄田さんが、世界平和を守る秘密組織の諜報員・「筋肉(コードネーム)」を、石田さんはテロリスト組織のリーダー・マウスを演じた。
適材適所という言葉があるように、玄田さんはマッチョな正義の味方、石田さんはクセの強い悪役が似合っている。しかし、私たちがよく知っているイメージにあてはまらず、それと真逆のことをやってギャップ萌えを生み出したティガーとイーヨー、じゃなくて、玄田さんと石田さん。
他者から抱かれているイメージと真逆のことをやる大切さを、ティガーとイーヨーの声優たちから教わることができて、とても嬉しくなった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます