【陸上】早大・花田勝彦監督が説いた「履き分け」の重要性 カーボン靴で「微細な疲労骨折が」
アシックスジャパンは6日、新作シューズ「EVORIDE SPEED 3」(3月13日先行発売)の新製品発表会を都内で開いた。
年始の箱根駅伝で総合4位と躍進した早稲田大競走部の花田勝彦・駅伝監督、工藤慎作(2年)、山口竣平(1年)をゲストに迎えたトークショーでは、市民ランナー向けに「履き分け」の重要性が説明された。
花田監督は就任した22年当初、長距離部員の3分の2が故障で苦しんでいたこと、その原因がカーボンプレート製の厚底シューズにあったとし、「最初の年は練習では使用をしませんでした」と振り返った。以降は反発性に耐えられる筋力強化などに取り組み、使用頻度を少しずつ上げていった。現在は練習の途中での履き替えなども各選手に勧めながら、本年度は大きな故障者はなし。それが箱根の結果にもつながった。
従来はカーボンプレート製を避けた場合に、練習で履くシューズの選択に困ることもあったという。今回の「EVORIDE SPEED 3」はカーボンプレートを使用していない厚底が特長。工藤は「自分の足を使って鍛えられていると感じられる。クッション性とスピードの出しやすさのバランスがいいシューズ」、山口は「色がまず良いです。カワイイですけど、速く走れそう。足入れの感じも、『2』とフィット感が違う」と印象を語った。それぞれ練習の内容で靴を履き替えているが、1キロ3分を切るようなスピード練習に使っても好感触を得ているという。
アシックス社は、「自分の足で走る感覚を追求」「自分に合ったランニングフォームを」「軽さを追求し、スピードを出しやすく」の3つの特長を押し出しており、試合でカーボンプレート製を履くランナーの練習用としてのニーズもにらむ。花田監督は「カーボンが苦手な方もいると思う。試合でも履けるシューズだと思います」と勧めた。
トークショーの後半には、花田監督が「記録を出すのは良いですが、その後のダメージを考えて欲しい」と言及する場面もあった。試合でカーボンプレート製の厚底シューズを使用した選手のMRI検査をすると、「微細な疲労骨折」をしている場合もあるという。早稲田大は現在、試合後1週間はスピード練習を避けるなどを徹底する。市民ランナーも同様で「ケガをしないための体作り、練習を考えることは必要です。そのためにシューズは大事です」と続けた。