日本には、農業分野で働いている、主にアジアからの外国人がたくさんいらっしゃいます。
農業の現場は、労働力の需要が出荷時等に集中するなど季節性の高い重労働であり、そして、日本国内の人出が不足しており、外国からの働き手に大きく頼っているのです。
ところが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止のため、各国が踏み込んでいる国際的な移動制限、すなわち出入国規制の影響を受け、予定していた働き手が確保できない困難に直面しています。
母国に帰国後、日本に再入国できない、あるいは、新規で日本に渡航できない外国の方が増大しているのです。
3月13日の新聞報道によれば、農作業に就く外国人技能実習生が、少なくとも約800人入国ができなくなっています。
長野県のレタスだけでも、3月9日時点で、3月末から4月にかけて来日予定の中国人実習生437人の来日見通しが立たず、販売額ベースで最大10億円減る怖れがあるとのことです。
(情報:3月13日「朝日新聞」朝刊)
外国人技能実習生が来日できず、春野菜の出荷が細る可能性が高いこと。
このことは、流通・消費者側から見れば、供給が減って価格が高騰する怖れがあることを示しています。
一方、2020年3月中旬、学校の臨時休校に伴う給食停止により、学校給食に納入していた農産物含む食品は急な転用もなかなか効かず、廃棄リスクにさらされています。
全面的に封鎖された中国の武漢等の地方からは、物流の断絶のため、出荷できない農産物が廃棄される絵が報道されています。
物流、国境を超えた人出の移動、現代社会の国際的なシステムに綻びが出ると、当たり前のこととして享受していた様々な供給が脅威にさらされるものです。