80年代後半。
メルティング・ポットとして発熱している時期のシカゴで多感な時期を過ごした青年は、その後東京に移り住みヒップホップDJとして名を馳せてからも、"JACK TRAX"を忘れたことは無かった。
まだハウスもヒップホップも境界がなく、ダンスミュージックという一つ屋根の下で過ごしていた時代を知る桑田つとむの1stアルバムは、92年(つまりはRelief以前)のシカゴハウスで固めたDJプレイのようでは全く無かった。
全くといっては語弊があるかもしれない。
そこから匂う香りはあのイナタイ"JACK"の賜物であり、その後の音楽の流れを変えてしまったほどの熱量が閉じ込められているからだ。
桑田つとむの1st『This Is My House』は本来の顔であるQuietstormのスキルで作られた。
チョイスされているネタは確かにハウスの文脈で愛されているモノであるし、BPMやビートは「Move Your Body」や「No Way Back」から脈々と受け継がれてきた物である。
しかし、根底に流れるグルーヴの端々からは咽かえらんばかりにヒップホップのニオイが燻っている。
そのモクモクと立ち上がるケムリの向こうには、B Boyがイーブンキックでブレイクを決め、ハウスDJがバトルを繰り広げるあの時代のシカゴ情景を垣間見られるようだ。
桑田つとむ-CHICAGO JACK MIX
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