法的手段によって債権を確実に回収?どうしても支払わない場合の対処法_saiken-pro.com様記事抜粋<金銭債権を回収できない状態が発生したときには、売掛金などの回収を目指して債権者側が主体的にさまざまな法的手段に踏み出す必要があります。どれだけ催告しても金銭債務を履行しない債務者にとることができる法的手段の種類、滞納状態にある債務者への対応を弁護士へ依頼するメリット
催告しても支払わない相手に取れる4つの法的手段
1.民事訴訟|最も一般的な法的手段
最も一般的な法的手段は、「民事訴訟(通常訴訟)」です。
民事訴訟とは、金銭債務をめぐるトラブルなどの個人間の法的な紛争について、裁判官が当事者双方の主張を聞いたり証拠を調べたりしたうえで判決を下し、紛争の終局的解決を目指す手続きのことです。
民事訴訟では、「原告が訴状を提出し、被告がそれに対する答弁書を用意する」というように、口頭弁論期日でお互いが主張をぶつけ合いながら、手続きが進められます。
民事訴訟手続内で和解が促されることもあれば、裁判所が下す判決によって紛争が解決することもあります。
先に仮差押手続をすることも可能
未払い分の売掛金や家賃、借金などの回収を目指して民事訴訟を提起する場合には、先に仮差押えをすることも可能です。
仮差押えとは、金銭債権などを保全することを目的に、債権額に相当する範囲内で債務者の財産の処分を一時的に禁止する手続きのことです。
仮に民事訴訟で勝訴判決が確定したとしても、仮差押手続によって債務者の財産を保全しておかなければ、勝手に財産を費消されたり隠匿されたりして、債権を回収できないリスクが生じかねません。
民事訴訟によって債権回収を目指すようなケースでは、勝訴の確定判決を獲得しても債務者が任意で支払わない事態に備えて、仮差押手続も検討しましょう(なお、仮差押手続のためには、法務局に、裁判所が命じる金額を一時的に供託する必要があります)。
2.支払督促|裁判所へ行かずに手続きができる
支払督促とは、金銭の支払いを命じるよう簡易裁判所の書記官に対して申し立てる手続きのことをいいます。
支払督促の申立てを受けた裁判所書記官は審査をおこない、適式であると認めたときには、債務者の言い分を聞くことなく支払督促を発付します(民事訴訟法第386条第1項)。
債務者側が異議を申し立てた場合には通常の民事訴訟手続に移行しますが、債務者側が特に争わないケースでは支払督促がそのまま効力を発します。
債務者側が金銭債権の存在自体を争わないケースでは、わざわざ民事訴訟を提起するのではなく、支払督促による簡易・簡便な紛争解決を目指すのが合理的といえるでしょう。
3.少額訴訟|債権額が60万円以下なら利用できる
売掛金や貸付金の金額が60万円以下の場合には、少額訴訟を選択して早期解決を目指すことも選択肢のひとつとして挙げられます。
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払い請求を目的とする訴訟で、簡易裁判所に対して訴えを提起することによって開始されます。
少額訴訟は通常訴訟と比べて申立費用が安いうえに手続きにかかる期間が短く、原則として1回の期日で審理が終了し、判決が即日言い渡されます。
手続きが簡易的なため弁護士に依頼しなくても訴訟が完了するケースも多く、弁護士費用を抑えることができる点もメリットといえるでしょう。
4.民事調停|当事者間での話し合いによる解決を図る
民事訴訟を提起して紛争解決まで長期間を要する事態を避けたいなら、まずは民事調停を申し立てて、債務者に心理的なプレッシャーをかけるのも選択肢のひとつでしょう。
民事調停は、裁判所を利用する手続きですが、通常の民事訴訟のような厳格な手続きはとられません。
調停員が当事者双方から事情を聴取し、証拠と照らし合わせながら、和解成立に向けたサポートをしてくれます。
民事調停のなかで金銭債務の支払いなどについて和解が成立すれば、その時点で金銭トラブルについて紛争が解決します。
債務者が調停調書どおりに支払いなどをしなければ、強制執行に踏み出すことができます。
これに対して、民事調停が不成立に終わったときには、民事訴訟を提起します。
民事訴訟を提起する前に民事調停を利用すれば、「将来的に訴訟を提起されるかもしれないなら、調停段階で和解したほうがマシかもしれない」と債務者側が判断する可能性が高いでしょう。
国が強制的に債務を履行させる「強制執行」とは
強制執行は、債権回収における最終手段として有効なものであり、強制的に債務者の財産などを差し押さえることで債権回収を図ります。
ここでは、強制執行について解説します。
強制執行の主な種類は4つ
差押えなどをおこなう目的の財産によって分けられるものの、強制執行は主に次の4種類に分けられます。
不動産や自動車 |
債務者の土地や建物などの不動産や自動車を差し押さえて売却し、得た代金を債権回収に充てる |
給料や預貯金 など |
債務者の給料や賃金、預金などを差し押さえ、それを雇主や賃借人、銀行などから取り立てることで債権回収に充てる |
家財道具 など |
債務者の家財道具や商品類、貴金属などを差し押さえて売却し、その代金を債権回収に充てる |
建物明渡し など |
執行官が建物の明渡しや物の引渡しなどを強制的におこなう |
申し立てには十分な調査と検討が必要であるといえます。
手続きには債務名義が必要
強制執行をするには、「債務名義」が必要です。
債務名義とは、強制執行の基礎になる文書のことです(民事執行法第22条)。
- 確定判決
- 仮執行宣言付判決
- 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判
- 仮執行宣言付損害賠償命令
- 仮執行宣言付支払督促
- 訴訟費用等の額を定める裁判所書記官の処分
- 執行証書
- 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
- 確定した執行決定のある仲裁判断
- 確定判決と同一の効力を有するもの
たとえば、金銭債権について民事訴訟で確定判決を得たときには、「確定判決」が債務名義になるので、これをもとに強制執行が可能となります債権回収
示談交渉によって自主的な返済を促したほうが早期解決を実現できる可能性があります。一方、債権者本人や弁護士からの連絡を着信拒否するような頑固な姿勢を見せる債務者については、夜逃げなどによって踏み倒されるリスクも考慮して、はじめから民事訴訟を提起したほうが効果的なこともある
売掛金や借金を民事訴訟で回収する段階に至ったとしても、弁護士に依頼をすれば複雑な裁判手続を全て任せることができます。民事訴訟を提起するには、訴状や証拠書類の作成、口頭弁論期日への出廷などの労力を割かなければいけません
弁護士へ依頼をすれば、書類の準備や期日への出廷などの手続きを全て代理して処理してくれます。債権者本人は定期的に弁護士から報告を受けるだけでよく、普段どおりの生活を送りながら債権回収トラブルの解決を目指す
売掛金や家賃などを滞納している債務者にどれだけ催告をしても自主的な返済を望めない状況なら、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談・依頼することが推奨されます。弁護士へ相談・依頼すれば、遅延損害金や利息などを含めて未払い債権全額について、適切な法的手段を選択したうえでスムーズに回収してくれる
請求書 |
電話番号が不明な場合、または料金未納で通じなくなってしまったなどで請求したくても請求できないときには請求書を書きましょう。 |
内容証明の送付 |
内容証明郵便(いつ、いかなる内容のものを誰から誰へ宛てて差し出したかということを日本郵便が証明する制度)を活用しましょう。内容証明は、裁判でも必ず必要な書証類となります。 |
家への訪問 |
相手が訪問できる圏内に住んでいるのであれば、実際に訪問してみましょう。労力はかかりますが、対面で目を見ながら心へ訴えかけることが出来るので、人の心を動かす上でかなりのメリットがあります。 |
判決などの債務名義があれば差し押さえを行える: 差し押さえを行うためには、「債務名義(さいむめいぎ)」が必要になります。これは、強制執行によって実現させることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を表示した公の文書のことであるとされ、具体的には
- 確定判決
- 仮執行宣言付判決
- 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判
- 仮執行宣言付損害賠償命令
- 仮執行宣言文付支払督促
- 訴訟費用に関する裁判所書記官の処分等
- 執行認諾文言付公正証書
- 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
- 確定した執行決定のある仲裁判断
- 確定判決と同一の効力を有するもの(和解に代わる決定など)
とされています。一般的に用いられる債務名義は「確定判決」「仮執行宣言付判決」「和解調書|調停証書」「公正証書」が多く、費用や時間をかけてまで訴訟や支払督促手続きを行うのは、この債務名義を獲得し、いざとなれば強制執行という手段により回収を図るためです。
債務者側からすれば、敗訴し債務名義が取得されることは、自身の資産が差し押さえを受ける可能性があることを意味しますから、訴訟に至れば、それまで逃げまわっていた債務者であっても真剣に向き合おうとするケースが大半です。
{清水 卓弁護士様記事抜粋<}ペットの飼い主は保険にも入っておらず菓子折り一つで済まそうとしていました。相手側がことの重大性を理解しておらず保健所への連絡や狂犬病ワクチン、検査などするべき事を伝えましたが2週間経った今でも保健所の手続き?が終わっていないようです。 相手側に治療費と慰謝料の話をすると慰謝料は払うつもりはないと言われました
(回答)ご主人を噛んだ犬の飼い主には、民法第718条1項本文(動物の占有者の責任)に基づく損害賠償責任が認められる可能性があります。 飼主側が「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をした」ことを立証できる場合は免責されますが、飼主が犬のリードを離していた等の事情に鑑みれば、相当の注意を払って管理していたとは言えない可能性が高いように思われます。 【参考】民法 (動物の占有者等の責任) 第七百十八条 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。 2 占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。