大切なもののひとつ。
明治中頃の生まれの
母の父の和装コートを
大正生まれの母が
洋装のコートに仕立て直して着ていたコート。
数年前に私が譲り受けて
ボタンを替えて着ているとても古いコート。
私は母が40歳を暫くすぎた頃
辛い思いをして産んでくれたのだけれど
その後 母達なりの事情で一旦は幼女に出されたそう。
けれどその後 父がいたたまれなくなり
もう一度 父と母の元に戻ったと聞いている。
父は子煩悩で優しく 母は厳しかったかな。
叱られていた記憶の方が多い。
今しがたそんな母から電話があった。
「クリスマスもお正月も毎年何もしてあげられなくてごめんね。」
その声は 思い出の中の母の険しい声とは違って
頼りなく静かで 優しい声だった。
少し心が折れそうで
そんな時をまるで見計らったみたいに
届いた母の声に
受話器を置いた私は
涙を抑えられなかった。
大切な人が 元気でいること
そしてそれを知れること
それは幸せなことです。
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