古代史ファンY

日本や世界の古代史に興味があり、セミナーに参加したり訪れたりして楽しんでいます。

ローマ人の物語

2007-01-30 00:27:38 | Weblog

塩野七生さんの〔ローマ人の物語〕15巻を読み終えました。
15年にわたる大作で、よくもまあがんばられたと、感服します。
古代史の好きな私としては、本当に、読み応えがありおもしろかったです。
単に、通史として出来事を追うだけでなく、できうるかぎりの資料を生かしながら
登場人物や、史実を生き生きとよみがえらせていて、読む者をその場に
タイムスリップさせてしまいます。西ローマ帝国の崩壊まででも、建国の時から
だと1000年以上も続いたということ自体、ほんとにすごいことだと改めて実感しました。
シーザーについても、いろいろな見方があるようですが、あの時代から後のローマ、
いやヨーロッパ全体へ大きな影響を与えた天才的な軍人であり、政治家であったことは
間違いの無い事実であり、作者が賞賛するのももっともだと思いました。
いわゆる多数の蛮族の侵入により、滅ぼされた5世紀前後の西ローマ帝国の状況や
東ローマ帝国との同胞にあるまじき関係など、知らないことがたくさんありました。
あれほど広大な大国を数百年も維持し、「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」といわれる
時代を築きあげたローマ人は、すごい人々だったのです。「法」により、そこに住む人々の
安全を保障することを、第一と考える人々だったのです。
3世紀以降、外部からのいろいろな蛮族の侵入や、キリスト教の勢力の拡大により、
状況がどんどん変わり、時代は中世へと入っていくことになります。
今、世界では不幸な戦争や紛争がたくさんおきています。終わりが見えず、たくさんの
人が、傷ついたり命を落としたりしています。かつて、全ヨーロッパから地中海を取り囲む
広大な地域を占めていた大国が、長期間存在したという歴史から、何かヒントを
得られるのではないでしょうか。
とにかくとてもおもしろかったです。一段とローマにたいしての興味が増しました。やはり
ローマ遺跡をあちこちに見にいかなくちゃ!



 


2007年初セミナー

2007-01-15 22:22:14 | Weblog
2007年がスタートしました。
新年の目標などとおおげさなことはいえません。ただ、世界が平和で、私を含め家族が健康で、穏やかな暮らしができることを願うばかりです。
14日、奈良に関わる初セミナーがありました。今回は、十一面観音です。古代から庶民の信仰が篤い仏様で、その美しい姿はとても魅力的です。11の頭上面は、衆生を救う力を示しているのですが、その前身は十一荒神という天候を支配する古代インドの恐ろしい山の神だったと言われているそうです。つまり、十一面観音は天の恵みをもたらす仏として、日本古来の神々の信仰と結びついて祭られてきたのです。
国宝の桜井市の聖林寺の十一面観音(写真)は、2メートルもある天平後期の仏像です。基本的な十一面観音の形をしていてウエストがしまったとても美しいお姿です。明治の神仏分離令の時移されたのだそうです。日本の仏教は日本の神々と表裏一体の関係で形作られて、受け継がれてきた歴史を改めて感じました。
穏やかな観音様の前に立つと自然に手を合わせ、心安らかなる気持ちになれませんか?今年も十一面観音に会いに行きたいと思いました。